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第2話 異世界召喚とかウケるんですけど笑


 まぶしい光。

 なに、何が起きたの?


 すぐに光は引いていき、エイミはホッとして目を開けたが。


 目の前に広がっていたのは、見たことがないほど天井の高い部屋。


 彫刻みたいな飾りがあって、白くて丸い柱が奥まで続いている。

 壁にある綺麗な窓からはキラキラと光が差し込んでいた。

 とにかく広い。美術館みたい。


 いやいやいや。

 ここ、川崎じゃないな?

 

「驚いたかな? まあ無理もない」


 いきなり大きな声で言われてびっくりした。

 マントをひるがえして目の前に現れたのは、金髪のイケメン。

 その恰好にエイミは目を丸くした。


 王子だ。

 ファンタジー漫画とかゲームに出てくる王子みたいに、マントとなんかそんな感じの服着てる! 剣までぶら下げてるし、オーラもパない。マジの王子だ!


 もしかして。

 ……これはもしかすると……。

 スマホのコミックアプリで読んだことがある……あの……!


 目を丸くしたまま、ドキドキしたまま止まってるエイミの前で、王子はにこやかに両手を広げた。


「ようこそ、異世界メルファリアへ! あなたは聖女としてこの世界に召喚されたのだ!」


 わーっ!

 異世界召喚キタ――――――ッ!


「マジ!? マジで異世界召喚!? アタシが!? 超ウケるんですけど!!」

「面白い言葉遣いのお嬢さんだね! 非常に興味深いな」


 イケメン王子はキラキラした青い目でエイミを見つめてくる。目から好感度のビームが出てるみたい!


「私はアークリンデ北大陸諸国連合議長国、ロードセリア王国のリュミエール王子だ。大陸連合の議長補佐を務めている。以後、お見知りおきを」

「しゅごい……マジの王子様だ……」


 金髪の周りにキラキラの星が飛んでいく。

 だめだ、驚きと感動で頭がアホになってる。

 ずり落ちたメガネを戻すのがやっとだ。


「ずいぶんな大荷物を持ってきたんだね。ゲンダイ世界からの転移者としては珍しい。旅の途中だったのかな?」

「あ、えっと、家を追い出されちゃって……」


 そうだ、荷物背負ったままだった。

 エイミはまた、よっこらしょ、と大荷物を下ろして一息ついた。

 っていうか荷物ごと来られるんだ異世界って……。


「ゲンダイ世界では苦労していたようだね。このメルファリアに召喚されたのは聖女にとっても行幸だったかもしれないな」


 リュミエール王子は優しい声で語り掛ける。どうしよう、胸のドキドキが止まらない。


 あのマッチングアプリ、やっぱ神だった。ガチで運命変わったかも。こんなイケメンが召喚してくれただなんて。


「おっと、勘違いさせてはいけないので言っておくが、私は君の召喚者ではないよ」

「え?」


 エイミは思わず低い声を出した。


「じゃあ、アタシを召喚したのは?」

「後ろ」


 王子はにこやかにエイミの後ろを指さす。

 恐る恐る振り向いたエイミの目に映ったのは……。


 首元まである真っ黒な服。真っ黒なマント。

 手にはゴツゴツした杖まで持ってる。


 白い髪の毛は長く、メッシュみたいに一筋の黒髪が流れていて。

 赤い目は不気味に暗くて、ご丁寧に目の下には徹夜したみたいなクマ。


 青ざめた肌の、いかにも「悪役ですよ」って感じの怖いおぢさんがそこに立っていた。


 この感じ! 見たことある!

 お姉ちゃんがお客さんからもらったRPGゲームにいたキャラ!


「ラスボスの悪役皇帝だ―――ッ!」

「誰が悪役だ……!」


 おぢさんは苦虫をかみつぶしたみたいな顔で唸った。




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