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急な知らせ

異世界が舞台の恋愛もの、書いてみたくて挑戦してみました。

広いお心でお読みくださいませ。

見つけてくださり、ありがとうございます✨

 

 「待って、お母様。行かないで!」


 「ユリア!!お母様はユリアとお父様を愛しているわ!!忘れないで!!」


 「駄目!行っちゃ駄目!」

 「ユリア、諦めるんだ。仕方がないんだ。力の無いお父様を赦してくれ‥‥」


 そう言いながらトマス·ウィレム·フォン·クラナッハ子爵は愛娘であるユリア·フォン·クラナッハを後ろから抱き締めた。


 「お父様離して!お母様がお祖父様に連れて行かれちゃう」

 「仕方がないんだ、仕方が‥‥」


 父と娘は涙を浮かべながら玄関を見つめる。

 そこには、同じように涙を浮かべた美しい女性が自身の父親に手を引かれて出ていく姿があった。


 「あなた!ユリア!何処に行っても、愛しているわ!!」

 「もういいだろう。さぁ行くぞ、エルザ」

 「待ってお父様、待っ‥‥」


 -----バタンッ。



 暫くの間、父と娘、屋敷の使用人達は無言で玄関扉を見つめていたのだった。



 


 -----ガバッ。


 「お母様!!」


 ユリアはベッドの中で起き上がった。

 ミルクティー色の長い髪が顔にかかり、アメジストのような紫色の瞳から涙が零れた。


 (また、あの時の夢‥‥‥。お母様が此処を去ってから、もう10年が経つというのに。)


 ユリアはゆっくりとベッドから下りると、窓際に歩いていく。

 秋になり和らいだ陽射しが頬を照らす。

 目を細めながら視線を庭園に向けると、賑やかな声が響いていた。


 (あら、私ってばずいぶんと寝過ごしていたのね。異母弟(おとうと)が剣術の稽古をしているわ。ライアンってばまだ7才なのに頑張ること)


 ユリアは10才下の異母弟を見つめた。

 母が去ってからの出来事が脳裏に浮かぶ。


 10年前に祖父であるガーメット伯爵が強引に両親を離縁させて、母を連れて行ってしまった。

 そして、クラナッハ子爵家よりも高位の貴族へ嫁がせたのだ。

 嫁いだ翌年ユリアが8才の時に、母は男の子を産んだ後、間もなく亡くなってしまった。

 更に翌年ユリアが9才の時に、父は男爵令嬢ビビアンと再婚した。

 そして、ユリアが10才の時に、ライアンが生まれたのだ。

 継母ビビアンとはあまり交流は無い。

 だからといって、辛く当たられることも意地悪されることも無かった。

 異母弟のライアンとは普通に仲良く接していたので、ユリアに不満は無かった。


 (‥‥亡くなる前にお母様に会いたかったわ。でも、無理だったわよね、きっと。お母様が嫁いだのは確か、アーレンスマイヤー公爵家。子爵令嬢が会いに行っても取り次いでもらえないだろうし。そして、お相手の公爵様はお母様よりも年若かったとか‥‥‥そう言えば、お母様が産んだ男の子、名前は‥‥‥マルク‥‥だったかしら。今‥‥9才よね。そうか、私、弟が2人いるのね。どちらも、片親が違うけれど‥‥‥。)

 



 -----コンコンコン。ガチャッ。


 「あら、お嬢様、お目覚めでしたか」

 

 「ばあや、私ってばずいぶん寝ていたようね」


 「たまには良いのではありませんか?」


 笑いながらばあやがテーブルに食事や飲み物を並べる。


 「お嬢様以外のお方はもう朝食はお済みですので、お嬢様はこちらでゆっくりとお召し上がりなさいませ」


 「ははは、ありがとう、ばあや」


 「淑女たるもの、「ははは」とは笑いませんよ?お嬢様」


 「はぁーい」


 「お返事は「はい」と短く」


 「うぅ‥‥‥はい」


 「さぁ、温かいうちにどうぞ」


 ユリアは急ぎ足でテーブルに着くと食事を楽しんだ。

 ばあやのマギーはその姿を優しい眼差しで見つめていた。



 -----パカッ、パカッ、パカッ。ヒヒヒィーーン。

 -----バタンッ。

 -----ザワザワ、ザワザワ。

 -----バタバタ、バタバタ。



 「ねぇ?なんか騒がしくない?」

 「そうでございますね‥‥様子を見て参ります」


 マギーが扉に向かって行くと、外から声がかかる。


 「大変です!お嬢様!急ぎ玄関ホールまでお出でください」


 声の主は執事のベンジャミンだった。


 「どうしたの?ベンジャミン」


 「だ、旦那様が!お亡くなりに!!」


 「え?‥‥お父様が?」


 ユリアはマギーと共に玄関ホールへと急ぐのだった。




 

読んでくださり、ありがとうございます✨

ゆっくりと投稿していくと思います。

宜しくお願い致します。

皆さんに良いことがありますように✨

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