EP.79
「さて、アーバン・ロートシルト」
クラウスのよく通る声が、大ホールに響く。
「お前の罪は数多あるが、一番の罪は、私の婚約者を暗殺しようとした罪だ」
クラウスの言葉に、アーバンが首を振って、言い返した。
「何の事だか、身に覚えがございません。
そこの侯爵令嬢の狂言でございます。
私はそのような恐ろしい事、出来る人間ではありませんっ!」
両手を祈るように組んで、クラウスに縋るようにそう言うアーバンを、クラウスは侮蔑の目で見ている。
「戯言を抜かすな。
既に、全て調べはついている」
クラウスは冷徹な声でアーバンに言い捨てた。
アーバンはその迫力にダラダラと汗を流し、ガタガタと震えながらも、尚も言い募る。
「そ、そ、そう言われましても……。
私には何の事だか……。
皆目、検討もつきませんわ……」
ガチガチと奥歯を鳴らしながら、そう言い募るアーバンを、クラウスはハッと鼻で笑った。
「なる程、【銀月の牙】は随分と依頼主からの信頼が厚いらしい」
クラウスの言葉に、アーバンは目を見開き、完全に固まってしまっている。
「だか、その信頼厚い【銀月の牙】なら、既に掌握して壊滅させた。
もちろん、全ての証拠はこちらの手の内にある」
アーバンはへなへなとその場に座り込み、青い顔でブルブルと震えている。
「ロートシルト伯爵家の依頼で、キティ・ドゥ・ローズ侯爵令嬢の暗殺を請け負った証拠がしっかりと残っているが、これをどう申し開くつもりだ?」
クラウスの言葉に、アーバンがカッと目を見開いた。
「なっ!お父様が【銀月の牙】は依頼者の一切の証拠を残さないから、心配いらないとっ!」
言ってアーバンは、ハッとした顔をして自分の口元を震える手で押さえた。
クラウスはそんなアーバンに、ニヤリと笑う。
「残念ながら、それは営業文句といつやつだな。
実際は【銀月の牙】は全ての依頼を記録魔法に残してある。
成功報酬を出し渋る人間が一定数いるようでな、まぁ、自衛の為だ」
アーバンはブルブルと震えながら、クラウスを見つめて、その瞳に涙を浮かべて訴えた。
「も、申し訳ありません、殿下。
私はお父様をお止めする事が出来ませんでした……。
そのような恐ろしいお考えは、お捨て下さいと、何度も申し上げたのですが……。
聞いて頂けなかったのです。
お父様をお止め出来なかった私にも、非があったと認めます。
ですが、決して、決して私はキティ様を害そうだなどとっ!
考えた事も無いのですっ!」
ボロボロと涙を流し、肩を震わすアーバンに、キティは貰い泣きをしている。
いや、なんでやねん。
嗚咽を漏らさない様に口元を押さえているキティに、右手の甲でパシッと軽く肩を叩く。
所謂、ツッコミというやつだ。
何故?と私を見るキティに、ナンデヤネン、と口パクで伝えるも、まったく通じていない。
「ほぅ、あくまでも自分は暗殺に加担していなかったと申すか」
クラウスの問いに、アーバンは涙を流しながらクラウスを見た。
「はい、私はそのような恐ろしい事、関わりはございません。
全てお父様がお決めになったのですっ!」
切々と訴えるアーバンを、クラウスは蔑んだ目で見下ろし、パチンと指を鳴らした。
途端に、ステージ上に記録魔法上映用の、巨大スクリーンが現れる。
「では、これをどう説明する?」
そこに、映し出されたのは、薄暗く簡素な応接室にいる、3人の人物の姿。
1人は背の高い仮面の男。
そして、残る2人は、間違いなくロートシルトとアーバンだった。
仮面の男が、2人に話しかける。
『では、依頼内容は、第二王子の婚約者のキティ・ドゥ・ローズ侯爵令嬢を、二度と社交界に戻れぬくらいに痛め付ける、という事でお間違いありませんか?』
仮面の男の言葉に、ロートシルトが頷く。
『そうだ。殿下の寵愛を二度と受けられない程の見た目にしてくれ。
顔は念入りに。間違っても世継ぎなど残さぬよう、下腹部も潰して構わん』
ロートシルトの言葉に、アーバンが激昂して、机をバンっと叩いた。
『お父様っ!生ぬるいですわっ!
その程度、教会の一級治癒師にかかれば、直ぐに元に戻されてしまいます』
アーバンの言葉を聞いた仮面の男が、アーバンを手で制し、淡々と言う。
『ご安心下さい。治癒師にも治せないほどの傷を、特殊な毒を使って残す事は可能です。
顔も下腹部も、二度と再生されないように処置致しますよ』
そう仮面の男に言われても、アーバンは不服そうだった。
『それでも、あの女が生きている限り、私は安心出来ませんわ。
ねぇ、お父様。まどろっこしい事はお止めになって、一思いにあの女をこの世から消し去って下さいませ』
アーバンにそう言われて、ロートシルトはうーむと首を捻り、一つ溜息を吐いて、仮面の男に言った。
『命まではと思っておったが、娘がこう言うなら仕方ない。
おい、絶対に分からぬように暗殺しろ。
間違っても私達が関わっている事を気付かれぬようにな』
仮面の男は頷いて、やはり淡々と言う。
『私共としても、殺してしまう方が容易いので。
その暗殺依頼、しかとお受け致しました。
……しかし、相手が相手です。
頑丈に守られている王宮内では、まず無理でしょう。
狙うなら学園内なのですが』
『それなら私が、いくらでも手引き致しましてよっ!』
仮面の男の言葉に被せるように、アーバンが生き生きとそう請け負った。
この後、依頼主が仕事に関わる事を渋る仮面の男と、ゴリ押しするアーバン。
依頼主からのゴリ押しに屈し、仮面の男が渋々了承するところで、映像は途切れた。
あの仮面の男………。
エリオットだったな。
コイツら、この国の王太子に、未来の義妹の暗殺依頼をしたのかよ……。
面白すぎるにも程がある。
ただのコントじゃねぇか。
吹き出すのを必死で堪え、キティを横目で見ると、チベットスナギツネ顔で感情が完全に無になっている。
いやそもそも、アレにもらい泣き出来るのはお前くらいだよ。
「さて、アーバン・ロートシルト。
これをどう説明する?」
クラウスの刺すような眼光に、アーバンは真っ青になって、ガタガタと震えている。
「更に貴様らには、先程の準魔族との共謀の疑いもかかっている。
私の婚約者である、キティ・ドゥ・ローズ侯爵令嬢暗殺未遂の罪と共に、詳しく尋問させてもらおう。
コイツらを王宮の貴族牢に連行しろ」
アーバン達を取り囲んでいた護衛騎士と、警備兵が次々とその一団を引っ捕えていった。
「ちょっと、私に触らないでっ!
私を誰だと思っているのっ!
私は恐れ多くも、この国の伯爵家の令嬢ですのよっ!
貴方達の様な下賎な者が触れていい人間ではないのっ!
離しなさいっ!不敬ですわよっ!」
不敬とは……。(チベットスナギツネ顔)
アーバンは護衛騎士相手に激しく抵抗を続けた。
流石に護衛騎士では、令嬢相手に手荒な事は出来ない。
そんな事ものともしないのは、うちのエリクエリーくらいだ。
「仕方ないわね、ゲオルグ、貴方が連行しなさい」
「はっ」
私の指示に、ゲオルグが騎士の礼をとった後、アーバンのところに向かった。
キティが、私達の関係を不思議そうに見ていたので、ついでに教えておく。
「あいつは私直属の私兵団の団長よ」
エスパーッ⁉︎って顔で驚いているけど、キティが分かりやすいだけなんだよなぁ。
ゲオルグはアーバンの前に立つと、さっさとその両手を拘束して、引っ張った。
「私はオルウェイ伯爵家の人間だ。
これで文句あるまい」
淡々と述べるゲオルグに、流石にアーバンはぐっと言葉を呑み込んだ。
アーバンも伯爵家の人間。
同じ伯爵家でも、オルウェイ家の方が頭一つ分は家格が上な事を知っていたらしい。
悔しそうに大人しくなったアーバンを、ゲオルグがさっさと連行していく。
残った取り巻きの奴らも、護衛騎士に連れて行かれるが……。
「殿下っ!私はただアーバン様に脅されていただけなのですっ!」
「僕もっ!伯爵家の権力に逆らえず、仕方なくっ!」
「キティ様っ!数々の無礼をお許し下さいっ!
決して本意では無かったのですっ!
どうか、信じて下さいっ!」
連行されながら、アーバンの取り巻きの奴らが口々に許しを乞う。
よりにもよってキティにそれを言うのかよ……。
やはりキティが一瞬動きかけたので、私はそれを制して、残念そうに首を振った。
その私にキティは瞬時に全てを察して、小さく頷いた。
どんな理由があれど、奴らがやった事は王家に連なるキティへの侮辱罪と暴行未遂、それに暗殺未遂。
ロートシルト家に捜査が入れば、件の本を書かせたのが誰かも明るみに出るだろう。
その他の悪巧みと共に。
そうなれば、もっとも重い、国家への反逆罪に問われる。
そうなれば、奴らは全員テロリストとして扱われるのだ。
もうこれは、キティ個人が許す許さないの問題じゃない。
クラウスでさえ、どうする事も出来ないだろう。
キティも、いま自分がすべき事はそんな事では無いと気付いてくれたようだ。
キティはステージ上から、パーティに集まった生徒達に向き直り、居住まいを正して声を上げた。
「皆さま、大変お騒がせ致しました。
この晴れの日のパーティにて、騒動を起こしてしまった事、どうかお許し下さい。
全ては私を守る為に、殿下と皆様が考えて下さった事なのです。
私が不甲斐無いばかりに、皆さまには大変なご心配をお掛けしてしまった事、心より陳謝致します。
どうか、これよりは、この晴れの日のパーティを心ゆくまで楽しんで頂きたく、お願い申し上げます」
キティはそこで、最上級のカーテシーをとる。
途端に会場中から、歓声と拍手が巻き起こった。
「キティ様っ!そんなっ!私達などにもったいないっ!」
「キティ様っ!素敵っ!」
「御身の危険がありましたというのに……」
「なんて清らかで清廉な方なのっ……」
「高貴なる魂に祝福あれ。
我らの王子妃キティ様に幸いあれ」
『高貴なる魂に祝福あれ。
我らの王子妃キティ様に幸いあれ』
会場中を包む様な大合唱に、キティは困ったようにクラウスを見た、が。
クラウスは恍惚とした表情で、その大合唱を浴びている。
王子妃ってところでいちいちニヤニヤするのやめろ。
流石のキティもドン引きだわ。
キティがコホンと小さく咳払いをすると、クラウスがハッと我に返り、やっと生徒達に向かってスッと片手を上げた。
途端に会場中が、水を打った様に静まり返る。
「皆、騒がせてすまなかった。
我が婚約者の一大事だった故、どうか許してほしい。
キティの言う通り、今宵は存分に楽しんでいってほしい」
そう言ってクラウスが指を鳴らすと、楽団の演奏が始まった。
皆んな、それぞれにダンスや食事を楽しみ始め、キティはホッと息を吐いた。
皆、その場ではもう先程の事を話題にはしていない。
私達への配慮だろう。
でも、明日からは大騒ぎになる筈だ。
箝口令など元から敷くつもりもないしな。
その為のこの舞台なのだから。
だがキティは心配そうにしている。
まぁどうなるか分からないと不安でしかないだろう。
そんなキティにミゲルが、目をキラキラさせて近づいて来た。
「キティ様、お見事でした。
あのクラウスを咳払い一つで動かすとは、私、感銘を受けました」
ミゲルに明後日な褒められ方をされて、キティはハハハッと乾いた笑いを浮かべている。
「そ、それより。どうして皆様には、フィーネさんの力が通じなかったのですか?」
キティの問いに、ああっとミゲルは頷いて、右手首を見せた。
ミゲルがその右手首に左手をかざすと、師匠の術式の紋様が浮かび上がる。
「これは、帝国と協力して研究していた、魔族の力を跳ね返す術式です。
成功まで難航しまして、やっと最近完成したのですが、効果の程を試す機会が無く。
件のカフェテラスでの一件でやっと、本当の成功を確認出来たのです」
ミゲルの言葉に、キティは目を見開き私を見た。
あっ、ヤベ。
ぶっつけ本番で魔族の力に対抗しようとした事がバレた。
とりあえず横目でテヘペロ顔をしてみる。
が、やはりぺ◯ちゃん顔では誤魔化せなかったようで、思い切りキティに頬をつねり上げられてしまった。
痛い痛い痛い!
ツインテビンタでっ!ツインテビンタでお願いしますっ!
私の頬をつねりながら、キティはハテ?と何かを思い付いたようだ。
「でも……では何故私は無事だったのでしょう?」
あの時フィーネは、確実にキティにも力を使った。
その事を言っているのだろうと、私はキティの首元を指差して答える。
「それは、そのネックレスのお陰」
私に言われて、キティは自分のネックレスを持ち上げた。
「それ、ブルードラゴンとシルバーホワイトドラゴンのミックスをクラウスが狩って、その核から作ったのよ。
どちらも浄化と守護に特化しているから、そのミックスなんて、超一級素材よね。
討伐難易度と共にSSR級。
更にそこにアイツの魔力も込められてるから、SSGR級よね」
私がアハハッ!と笑いながら説明すると、キティはふーっと意識を失っていく。
が、キティは遠のく意識を必死に繋ぎ止めて、ガシッと私にしがみ付いた。
「これ、どうしたらいいの……?」
真っ青な顔でそう聞かれ、私はなんて事ないといった顔で答えた。
「どうもこうも、今まで通り肌身離さず付けてなさいよ」
私の答えに、キティはぐっ……と首を押さえた。
捩じ切れるほどに重く感じるだろう、そうだろう。
「それが、クラウスの愛の重さよ……」
私がそう耳元で囁やくと、キティは首をガッと気力で持ち上げた。
おっ、耐えた。
クラウスの愛の重さを受け止めた。
メガトン級なのに、すげぇなっ!
ネックレスの(精神的な)重量と戦っているキティにその調子その調子〜っと囃し立てていると、クラウス、ノワール、レオネル、ジャンがこちらにやって来た。
「キティ、怖い思いをさせてごめんね、怒ってる?」
キティの手を握り、怯えた表情をするクラウス。
コイツがしおらしいのはキティの前だけだよな、本当。
大型犬が耳ペッタンコしてるみたいにキティには見えているらしいが、いやそれ狼とかその類。
可愛いく見えてんのは、赤ずきんちゃん、お前だけだよ。
はたから見てるこっちは変な震えが止まらないわ。
続けてノワールが眉を八の字に下げて、口を開く。
「ごめんね、キティ。こんな方法しかなくて。
どうしてもあの女に強い力を出させたかったら、分かりやすい舞台が必要だと、シシリアに言われて……」
そう謝罪するノワール。
何気に私に責任を押し付けてくる辺りが、流石我が劇団の看板役者。
まぁ、コイツの功績はハンパないからな。
甘んじて受けようではないか。
続いて珍しく穏やかな表情でレオネルが謝罪する。
「騙し討ちのようになって、本当に申し訳なかった。
場も収めてくれた事も、合わせて感謝する」
こいつ解脱したまんま帰ってこないけど、大丈夫かな?
「キティ嬢が毅然とした態度でいてくれて、本当に助かったよっ!
いざという時に、1番強いのは、キティ嬢かもなっ!
でも、本当に、驚かしてすまんっ!」
ペコリと頭を下げる、ジャン。
お前秘技視線逸らし使いすぎ。
流石に後半フィーネも違和感感じてたからな。
「貴女に何の説明も無く、全て委ねてしまい申し訳ありませんでした。
貴女の高貴な魂に救われました。
本当にありがとうございます」
優しく微笑む、ミゲル。
そうだな。
お前も後半泣きそうな顔してたからな。
ずっとノワール、レオネルに頼りっぱなしだったよな。
もっと反省しろ。
キティはそんな皆に向かって、ブンブンと頭を振った。
「そんな、私こそ不甲斐無くて申し訳ありませんでした。
……それに、私、皆様の事を信じていましたから。
フィーネさんの力になど、絶対に屈しないと。
ですから、皆様、謝ったりしないで下さい。
私はそんなに、絶望的な状況では無かったのですから」
そう言ってキティがにっこり微笑むと、皆、安堵の表情を浮かべた。
「さっすが、キティ嬢っ!
まぁ、俺達はこの魔族避けの術式のお陰で助かったけど、クラウスなんか素で跳ね返してたからな」
ジャンの言葉に、キティは信じられないといった感じで目を見開き、クラウスを見た。
「貴重な術式だからね、5つしか用意が間に合わなかったんだ。
まぁ、俺はそんな物無くても弾けれるなって確信していたから、別に最初から必要無かったけどね」
何でもない事のように、そう言うクラウスに、キティはふら〜っと意識が遠のいていった。(本日2回目)
が、ここで倒れたら先程自分が収めた会場がまた大騒ぎになる、と耐えるキティ。
偉いゾッ!
キティは倒れそうになる己を鼓舞し、ギュッとクラウスの手を握った。
「そのような危険な事、もう二度となさらないと約束して下さいまし」
上目遣い(身長差ゆえ)でクラウスに懇願すると、クラウスは自分の口を手で押さえ、頬を赤らめた。
「か、かわ、可愛い。
どうしたらいい?今すぐ王宮の自室に攫っていけばいい?」
……そんな事は懇願していないと思うが、気持ちは分かる。
ちょっと小脇に抱えて攫いたくなるくらい可愛かった。
キティがキッと睨み付けると、クラウスはますます顔を赤くして、デレデレとしている……。
キティは、たまには私の話を真面目に聞けっ!といった勢いでクラウスに詰め寄る。
「魔族の力を侮ってはなりませんっ!
御身に何かあってからでは遅いのですよっ!
良いですか?
その様な危険は事は、二度と、なさらないと約束して下さいましっ!」
丁寧に大事なところを区切って伝えるキティ。
クラウスはシュンとして、また大型犬の耳ペッタンコ(幻覚)技を使う。
いやそれ、赤ずきんちゃん早よ逃げて〜って居ても立っても居られない気持ちになるからやめろっ!
「はい、ごめんなさい」
素直に謝るクラウスを、キティは頭ナデナデしたいのをグッと堪える動きをしてから、大きく頷いた。
よし、躾は最初が肝心っ!
コイツを甘やかすなっ!
あと、赤ずきんちゃん、早よ逃げてっ!
しかしクラウスは頬を染めたまま、ボソッと呟いた。
「…………良い……」
伝わってない。
まったく、キティの言う事の重大さが伝わってない。
キティが密かに両指を組んで、パキパキと関節を鳴らした。
そしてふふふ……と笑う……。
それを見た私はビクッと体を震わせた。
……分かりました。
無限くすぐりの刑ですね?
「両手とそのワフワフの髪でくすぐってくるんですね、分かります。
ご褒美です。ありがとうございます」
わふわふツインテとロリッ子の小さな手に感謝を込めて、礼儀正しく礼をすると、キティはちげーよっ!て顔をする。
えっ?
何で?
頑張ったご褒美だよね?
もちろんその感触は一生ものだよ?
生涯大事にするよ?
だからおくれよっ!
わふわふツインテ無限くすぐりの刑っ!
ハァハァ……。
お、お願いしますから………!




