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世界を滅ぼす人と魔の子の物語  作者: 褪華
第一章『ルーアドランティス帝国偏』
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05.火の粉再び

 日が沈みかけた頃に、図書棟の勉強が終わった。


「明日からもここで教えてあげるから放課後は必ず来るように」


 と、最後に釘付けされて解散となった。

 関わらないようにしようと思っていた皇女に何故ここまで関わってしまっているのか…

 どこで間違えたのか、そう考えながら寮に向かっていた。


 寮の門の前に1人の生徒が立っていた。

 昼間に絡まれたバーンという生徒だ。

 こちらに気がつくと、とてつもない険相でこちらに詰め寄ってきた。


「これはこれは…バーン様、如何しましたか?」


「てめぇ何しやがった…?」


「…? 話が見えないのですが?」


「とぼけんじゃねぇ!!」


 陰湿な目付きで胸ぐらを掴まれた。

 その目にはほんの僅かな畏怖が混じっている。


「ここまで詰め寄られる心当たりがないのですが、何かお気に召さないことでも?」


「…家に頼んで、お前を学園から追い出すように掛け合った」


 やっと話が見えてきた。

 この男児は、俺に返り討ちにされた後、すぐに家に掛け合ったのだ。

 一日で距離の離れた実家に掛け合い、学園に訴える。

 その速度と行動力は評価しよう。だがそれは徒労だ。


「学園はお前の退学に全く取り合わなかった… 何故だ…! 何故お前が! 妾子なんかが学園に守られてんだよ!?」


「さぁ何故でしょう?」


「俺の家は伯爵家だ! 学園は俺の家の言いなりだ! 子爵家の妾子なんか簡単に潰せる! そのはずなんだよ!!


「………はぁ」


 何度も何度も耳障りな声を荒らげる人間に、少しだけため息が出た。


「答え合わせをしましょうか」


 興奮気味のバーンを落ち着かせるように、トーンを落とし宥めるように話していく。


「あなたも知っているでしょう? 隣国に誕生したという勇者とやらを」


「は…? 勇者…? 勇者がなんだ… この学園には関係ないだろ」


「いえいえ、そんなことはないですよ」


 言葉を否定する。

 否定された男児は戸惑いと共に、後退りした。


「伝承では勇者には仲間がいた。[戦士] [魔術師] そして[治癒術師]。だがそれは今、1人も集まっていない」


「それがどういう…」


「分かりますか? 要は人間の国、全てが勇者の仲間を探しているんですよ 来たるべく災厄に備えて…ね」


 門前を照らす街灯が光始める。

 日が沈み、明るくも暗くもない空間が広がり始める。


「学園は… いえ、この国が今、私に目をつけているんですよ。私が勇者の仲間である[治癒術師]になり得るのではと、だからこそ国は私を閉じ込めておきたいのです。学園という檻でね」


「国が… お前を…?」


「ええ、ですので相手が伯爵家だろうが候爵家だろうが私を学園から追放する事なんて不可能なんですよ。まぁ、そのせいで中退する事もできなくなってしまいましたけど」


「お前… だからあの時、治癒魔術の杖を持ってこさせたのか…!」


「おお、正解です。理解して貰えて何よりです」


「お前… まさかそこまで計算して…」


「あなたがここまで俺を目の敵にしてきたのも分かっています。その気はないので安心してください」


「は…?」


「俺が治癒魔術をお披露目した時、称賛してた連中の中にいましたからですよね? あなたの婚約者が」


「なっ!? なんでそれを…」


「言ったでしょう? 下調べをしてきたと」


「下調べって… どこまで…!」


「使える3系統の内、炎魔術のみクラスで抜き出ている伯爵家次男''バーン・スブンクル''、その婚約者であり画家を目指して芸術科目で高得点を取り続けている伯爵家三女''ラテナ・マミナイシ''、あなたのお友達で水系統魔術と土系統魔術に長けているが気弱な性格で位の高い貴族の言いなりの男爵家長男''ルーシー・アレンジェラ''、他には……」


「ま、待て…! お前まさか…学園の生徒全員を…!?」


「当たり前でしょう?」


「ひっ…!」


 バーンは圧倒され、その場で腰を抜かした。

 その目にはもう反抗する意思は残っていなかった。


「…もう私に用は無さそうですね。ではまた、明日(あす)の学園で」


 へたり込んでいるバーンを放って、俺は寮に帰った。

最後までお読みいただきありがとうございました!

広告の下にある☆☆☆☆☆で評価してくださると、執筆のモチベが上がります!

また感想&誤字報告もお待ちしております。

火、金曜日に更新していくので是非次も読みに来てください!

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