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あらゆるスキルの保持者、創造と破壊の魔術 ~俺だけ悪魔~  作者: abaudo:アバウド
妖怪騒ぎ ~九尾~
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黒蓮堂に奪われた未来(後半)

魂を斬る刀・紅魂ノ斬印

abaduo;アバウド


「チンウー? 誰...魏樂の人?」

私の質問には答えようとせず、彼は赤い光を放つ真っ赤な細い刀を、じっと見ながら言った。

「これで君の魂には傷がついた...どうだい? 力が抜けていくだろう?」

彼は何かを隠す様に話を逸らした。

「何故...私の質問に...」

「俺の質問に答えてくれるかな?」

彼は何もない所で刀を一振り、その瞬間放たれた波動が私の心臓を圧迫した。

「う...!?」

「まあいい。 君の言っていた耀京という悪魔は、俺の姿で会っているかい?」

「...う...ちが...ぅ、あなたは...耀京じゃ」

「...姿の事を言ったんだけどな」

彼は呆れたように目を瞑った。

「そうだね、君の言う耀京君を返してあげよう。 ただ...」

彼は不敵な笑みを浮かべる。

「その彼が、戻ってきた時に正気であればいいね」

彼がもう一度刀を振ると、私の圧迫されていた心臓は、楽になって解放される。

「あ、そうだ...帰る前に錬金術について教えてあげるよ...」

「...はい」

「一、錬金術はこの世に二つとして存在しない。 二、錬金術が禁忌である理由は、この世界にない物を生み出してしまう可能性があるから。 三...」

彼は指を一本ずつ上げる。

「うん? 何か言いたそうだね?」

「......」

「なるほど、何故錬金術はこの世にない物を作りだしてしまうと断定できるのか、だね。」

――なんでわかったの!?

私は言葉疎か、表情も全く変えてないはずなのに...

「それじゃ、物を作る時は何がある?」

「......過程?」

「そうだ、正解...それじゃ、今のこの魔界は過程か完成...どっちだと思う?」

「過程...かな?」

「そうそう...」

彼は嬉しそうに首を縦に振った。

「俺たちは過程の中で生きている...無から一を錬金術は作り出すから、その錬金術にも過程があるわけだ...」

過程...錬金術は無から一を作る?

「おっと、難しいかな。 じゃあ簡単に言うと、この世界が誕生した時から色々な過程があって今があるよね?」

「はい」

「この世界に似た世界を作っても、全く同じ過程は無いから今の俺達が存在するとは限らないんだ。」

「...はい」

「だから、不安定でわからない物を作り出す錬金術は、この世界を滅ぼす可能性があるから禁忌なわけだよ...どうだい? わかったかな?」

「はい...なんとなく」

彼は私に確認を取った直ぐ、満足そうにして薄く消えて行っている。

「それじゃ、そろそろ耀京君が戻って来るから、俺は帰るね」

「え...ちょっ...」

すると彼は完全に消えてしまい、耀京の姿をしたチンウーという者はいなくなってしまった。

あれ...でも、本物の耀京は何処に?

「ズザッ...」

ふと後ろを振り返ると、そこには血塗れの耀京が倒れている。

正真正銘の耀京だ...

私は直感的にわかった。

私は駆け寄って様子を伺いに行くが、起き上がった耀京は私を突き飛ばした。

直ぐ後ろの木の元で尻もちをつく。

「痛たた~...耀京?」

耀京を再び見ると、彼はもう彼ではなかった。

彼の目は赤黒く染まり、角は何倍にも大きくなって、体は浮き出るほどの筋肉があった。

耀京は鷹舞が残して言った赤く光る刀を持って、私にどんどん近づいてくる。

今の耀京はどうなってるの?

「耀京!? 耀京...耀京!」

私は彼の目を覚ますため、何度も何度も声をかける。

しかし彼は私の方に少しずつ近づいてきて、途中で頭を抱えて苦しそうにする。

磨かれた刀身の側面には、私の姿が写っていた。

その光に、私は耀京の心が垣間見える。

何人もの人も悪魔も殺して、最後は私をも殺してしまうと、恐怖の感情に支配されている様だった。

それを見た私は、どうしようもなくなってしまった。

私のせいで耀京が死んでしまったら...

私は彼を受け入れた。

このまま殺されようと決心をする。

彼は私の前で歩みをやめる。

「耀京...いいんだよ?」

どうしてだろう、こんな時に涙が出てしまって...

言葉が思うように出てこない。

最後は、やっぱり笑っていたいな。

私は耀京に、変わってしまった彼に...最後の笑みを見せた。

きっと顔はぐしゃぐしゃになってしまっているが、それでも一生懸命に笑顔を保った。

次の瞬間、苦しんだ耀京が...自分の首を手に持った刀で切り落とした。

私は耀京の持っていた刀を掴んで、ただひたすらに泣いた――


その時、彼はどんな顔をしていただろう。

何故今更こんな夢を見るのか...

二百年経った今では、耀京の顔すら覚えていない。

でも、この刀の側面を見つめると、あの頃の自分の表情は鮮明に思い出して、耀京の言葉も思い出してしまう。

「生きて」

その言葉が、今の私を作り出した...“呪い”の根源なのだろう。

でも全く、私はこの呪いが嫌いじゃない。

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