黒蓮堂に奪われた未来(前半)
黒蓮堂に奪われた未来
abaudo;アバウド
私はこの世界の片隅で、貴族の娘として孤独な暮らしをしている。
父様は最近力をつけてきた武士の問題や、黒蓮堂達の動きに頭を悩ましているし、母様は父様を支えるので精一杯だし、側室もドタバタして私の相手なんかしてくれない。
ただ、一人だけ、私の相手をしてくれる人がいる。
それは...
幼馴染の土岐耀京。
物心つく前から、私は耀京といた。
耀京は私より位の高い貴族らしいが、私も耀京も貴族だとかどうでもよくて普通に仲が良かった。
あの日までは...
家中が騒がしい。
私は一部屋のど真ん中で優雅に寝ていたのに、外が騒がしいせいで起きてしまった。
この服、重たい...
すると廊下からバタバタと音がなって、部屋の戸が開くと、そこには母様がやつれた姿で私に言う。
「逃げて! いいから早くこの屋敷から逃げなさい!」
乱れた母様の服には、べっとりと血が付いていて私は恐れながら外へと逃げた。
外で父様が待っていたが、父様に触れる寸前、父様の後ろにいた“人間”に父様は背中を斬られた。
父様は倒れて、血を流した。
そこからびくとも動かず、もう父様は死んでしまっていたのだ。
ふと振り返って、ついて来ていた母様を見ると...数人の人間の男達に捕まっていて、無理矢理されていた。
「いや...やめて! うぅ...はあん...くっ、辞めて...やめてください」
母様は抵抗して、男達を突き飛ばしたが、それが男達の怒りを買って、首に刀の刃を当てられた。
「逃げて!」
それが母親の最後の言葉だ。
その言葉の後、男達に首を落とされた。
私は無我夢中で走った。
あの人間たちは、きっと黒蓮堂の奴らだ。
黒蓮堂の奴らが、私の母様も父様も殺した。
許さない...許せない。
その時、私の目の前に...幼馴染の耀京が現れた。
その瞬間、私は救われたのだ。
やっと、会えた。
良かった...
「よう...」
そう思ったのも束の間、耀京は腰に収めている怪しい光を放った刀で、私の頬に傷をつけた。
耀京は私の背後に一瞬で移動していて、刀を抜いていた。
私の頬を血が伝うのが判る。
触って確かめてみると、手が赤くなった。
「どう...して」
「すまない、何を言っているのか...」
耀京?
この人...今の耀京は、耀京じゃない。
「あなたは、だれ?」
「俺は、黒蓮堂錬金術開発部代理副部長、慶舞だ...エルフの娘は、お前か?」




