月光の狐
月光の狐
abaudo;アバウド
俺達はここの村人たちから多大な信頼を取り、豪華な夕食と温泉にも入れてさっきまでは伝統芸能まで披露してくれた。
俺と美乃の働きは無駄じゃなかった。
...しかし、さっきまで騒いでいたのに、今は静か過ぎる。
皆疲れて寝てしまったのか?
そういえば、盛天道子と戦ったのも昨日の出来事か。
たった昨日の事なのに、なんだか懐かしい気がするな。
「バタバタッ!」
外から何かが走る音がした。
ふと外を見ると、障子に動物の影が出来ている。
形的に狐の様だ。
「おいしょ」
こんな所に迷い込んだのか? それとも食い物でも探しにきたのか。
俺は障子に触れて...ゆっくりと開けた。
しかし、障子の向こうには狐の姿どころか、何者の痕跡も無かった。
何処かに逃げたのだろうかと辺りを一瞥してみたが、痕跡は全くとしてない。
気のせい...か。
そうして障子を閉めて、俺は布団へと戻った。
それから暫くして、また外から音が聞こえた。
月光に照らされて、障子の向こうにまた狐の影が見える。
今度は勢いよく開ける。
しかし、そこにはやっぱり何物もいない。
「俺も疲れてるのかな...」
その時、目の前に三つの火の玉が浮かび始める。
「うーん...」
ふわふわと浮かんでいる火の玉を詳しく見てみる。
でも、それはただの火の玉であって何の情報も得られなかった。
千里鑑定眼ならなんとかなるかも...と思ったが、やっぱり火の玉だった。
「なんだ...幽霊か」
残念だな...九尾だったら良かったのに...
そんな事を思いながら、また布団へと戻った。
それから、三時間ほどたった。
狐の足音や影は未だに障子越しにうろついていて、火の玉はずっと動かない。
なんか変だな...
もしかして...
何となくの気持ちだったが、自分のステータス画面を開いた。
すると自分の状態の項目に、幻覚幻聴と載っている事が分かった。
つまりこれらは幻影で、足音とかも幻聴...
急いで幻覚と幻聴の項目を選び、削除させる。
(幻耐性獲得)
それと同時に耐性も手に入れた。
そして幻耐性がつくと、俺にのしかかっている者が薄っすらと見えてきた。
「うっ// くぅ...」
尾が九も生えている、狐耳の少女の姿が――




