終焉の時が…
終わる
abaudo;アバウド
悍ましいほどの邪気のオーラが盛天道子から放たれている。
そして最後にエネルギー波を放って、空間をゆがませた。
空を見上げると、空間に突如現れた大きな瞳がこっちを見ていた。
「なんだこれ?」
「これが終焉の...」
「とりゃ!」
美乃が地面を蹴って飛び上がり、盛天道子を空中で殴りつけた。
すると、盛天道子が地面に墜落して、空の瞳もオーラもうっすらと消えてしまった。
「...終わった」
そんな事よりも、盛天道子は大丈夫なのか?
俺は急いで盛天道子の落ちた元へ駆け寄った。
「...大丈夫か?」
覗いたその時には、どうやら気を失っていたようで、反応を示さなかった。
「今のうちに...」
「待て」
ハルカは太刀を両手で持って構える。
「そこを退きなさい...さもないとあなたごと斬るわよ?」
「だから待てって...」
俺は気を失った盛天道子を担いで、ハルカ達に事情を説明しながら村人の寝床へ連れて行った。
慎重に寝床へ寝かせると、ハルカは怒った様子で睨みつけてきた。
「なんのつもり?」
「いや、さっき話した通りこの盛天道子は、元々は鬼じゃなくて...」
そこから暫く経緯と説明が続いた――
「...という訳だから...悪いが見逃してやってほしいんだ」
「ふざけないで頂ける? その話に嘘偽りがないとは言えないし、第一その女が将軍様に楯突いた事に私は怒ってるの...忠告も聞かないで、こんなことやってるそっちが悪いに決まってるわ」
「忠告って?」
「それは何でもないわ、こっちの話よ」
こっちの話って...
俺達には言えないような隠し事か?
「そんな事より、この鬼は私たちのターゲットよ。 別にあなたがどう思おうが勝手だけど、ここで見逃したらきっと後悔することとなるわよ?」
「そうかもしれないけど...」
「それに懸賞金が賭けられるほどの獲物を殺せるチャンスが目の前にあるのに、それを見逃してしまう様なあなたに、黒蓮堂を退けることが出来るのかしら?」
「それは...」
思うように言葉が出てこない。
「...黒蓮堂との抗争は決して遠い話ではないの。 もたもたしてたら負けてしまうわ」
「待ってハルカ、ラズなら絶対に任務を遂行させるわ...それだけは言わせて」
「それはどうかしら? 今でさえ、情で鬼も殺せないいくじなしが、この先黒蓮堂との争いで勝てる渇望が全くとして見えないのだけど? それに貴女はこれを甘やかしすぎるわ。」
そんな時、布団が数センチほど動いた。
「ぅ...っく!」
悪い夢でも見てるのだろうか。 苦しそうに悶えている。
「今がチャンスだと思うのだけれど?」
ハルカはこれが最後の警告だと言わんばかりに、俺に強く言い放ってきた。
俺は黙って立ち上がる。
「ラズ...」
(...せ...殺せ)
そうだよな。 こんな奴に情をかけてどうする。 こんな事では母さんや幼馴染の為に誓った言葉が嘘になってしまう。
背中の鞘から剣を抜き取った。
刀身を頭より上にあげる。
このまま真っすぐ下に振りおろせば...
「父さん...母さん...」
振り下ろせ...ば。
「兄さん...幸子...」
振り下ろせ......ば。
頭上で静止させていた剣を、ゆっくりと下ろした。
「やっぱり...無理だ」
俺の言葉に、ハルカは幻滅したため息をついた。
そしてハルカは立ち上がる。
「あなたに任せた私が馬鹿だったわ」
そして次の瞬間、腰の鞘から刀を抜き取り、鬼の首に振り落とした。
次回、歪な不安の象徴
お読みいただきありがとうございます!
そろそろ秋ですね!
最近何となく涼しくなってきた感じがしますが、皆様はどうでしょうか?
季節の変わり目が一番風を引きやすいらしいので、お気を付けください。
後、今更ですが、誤字報告ありがとうございました!
それではこれからも
“あらゆるスキルの保持者、創造と破壊の魔術”
をよろしくお願いいたします。




