大勝利を収める前に
大勝利を収める時に
abaudo;アバウド
「ジャック・ベア・リシアタン!」
剣尖から眩い閃光が解き放たれ、小さな光が次第に刀身全体に浸透していく。
透け透るように刀身から光が漏れて、辺り一帯をその光が照らしていた。
「くっ!?」
鬼は少しでもダメージを軽減させるために、腕でバツの形にして守りを固めた。
そして今、スキルのチャージが完全に出来上がったのだ。
さっきより一層光を放ち、衝撃波で空間を歪める。
発動可能のサインだ。
俺の最大の技。 破壊の技をとくと見せてやる。
「あっ!」
鬼が後ろへ一歩下がると、運悪く小石に足を取られガードが緩んだ。
いまだぁ!
勢いを乗せて、今鬼を切りつけようとしたその時!
「やだ、待って!?」
子供の...声?
十歳前半ほどの女の子の声が、この場に響き渡る。
噓だろ!? まさかさっき物陰に隠れてたのって...
ダメだ。 このまま切りつけたら、周りまで巻き込んでしまう。
でも、折角のこのチャンス...今なら絶対に倒せるはずなのに。
刀身が鬼に触れる四センチ手前で止まってしまった。
どうしてもこれ以上動かすことが出来なくなってしまったのだ。
「な、斬らないのか?」
「......くっ、そ」
腕がぶるぶると勝手に振動して、遂には力が抜けてしまった。
「...俺様に情けをかけたとでも?」
拍子抜けた様子の鬼が、立ち上がって態勢を元に戻した。
「違う...巻き込んでしまうと思うと...」
「ふざけるなぁ!」
鬼は敵の俺に怒鳴りつける。
「お姉さ...」
「お前たちも何でこっちに来た!?」
その時の彼女は、子供を叱る親の様に見えた。
十歳程度の女の子を抱きかかえ、鬼は草むらにいる観戦者全員を呼びあげた。
「俺様は待ってろと言っただろ?」
「ですが姉貴?」
「黙れぇ、馬鹿者! こんな事している暇があったら村で用意でもせんかぁ!」
「はいぃ」
魔物や悪魔達はぞろぞろと北へ向かって歩いて行った。
鬼は深いため息をつくと、再び俺の方を向いた。
「お主も来い」
次回、村を治める所以。
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