鬼の想い
鬼の想い
abaudo;アバウド
俺の目の前には、紅がかった肌と白い髪。額に長い角が二本生え、巨体の強そうな女が目の前に立っていた。
見事なスタイルと筋肉に、持って行かれるように視線が向いた。
「兄ちゃん?」
「にいちゃんも混血の生物だろ?」
混血の生物?
「それにあんたからは年長のオーラを感じる、だから兄ちゃんさ」
「...」
「そう警戒するなよ...あ、そうか。 自己紹介がまだだったな...俺様の名前は盛天道子だ。 この村の村長をやっている!」
こいつが討伐対象!?
聞いてた話となんだか違う...俺が勘違いしていただけか?
「...どうした?」
まぁいいか。 相手がどんな性格だろうと、討伐対象に変わりはないからな。
――獄炎抑留!
鬼を円の炎が包む。
「ん? なんだこれ?」
――サイレントウェーブ。
鬼の足元に水流が出来て、鬼は足を掬われた。
「あわぁぁ...痛ってて~」
鬼は腰を強く打ち、それと同時に獄炎抑留が一度爆発を起こした。
――水上爆発。
――火源暴発。
心の中で小さく唱えると、無残にも獄炎と水流のどっちもが大爆発を起こし、地面の砂が舞い上がった。
なんだかこんな事するの、久しぶりな気がする。
前にはよく見ていた光景だな。
「...ったく、戯れたいなら勝手に始めんなよ」
鬼は傷一つ付かず、全く攻撃を受けていない様子で頭を掻いていた。
「もう、髪が短くなっちまったじゃねーか」
鬼の髪の毛が顎ぐらいまで短くなって、逆にショートの髪が似合っている。
結構なダメージを与えたと思ったんだけどな...
「それじゃ、ちょっくら相手してやるか」
鬼は圧倒的な威圧感で、肩を回した。
さっきの変な夢を見ていたせいか、なんだかイライラする。
俺の目を見て、鬼は元気いい声で言う。
「大丈夫だって! 俺様はあんたの事がすでに気に入ってるから殺しはしないよ」
「そうか、だがこっちは本気でやらせてもらうぞ」
「おぅ、こい!」
俺と鬼の視線がぶつかり合う。
その時、閃光の様に二人の体は動き出した。
白砕レベネートブレーカー、この剣を鞘から取り出すのも久しぶりな気がする。
――輝剣。
目の前に一筋の光が差し、それが剣へと具現化される。
「おう、二刀流か。 格好いいなぁ!」
鬼はそう言うと殴りつけてきた。
反射的に取り出したばかりの輝剣で防いだが、輝剣は一瞬で大破してしまう。
「もう一発くれてやる、よっ!」
来ると思った!
俺は鬼の左拳を左へとかわし、その勢いでレベネートブレーカーで切りつけた。
しかし、一手先読んだ攻撃にも関わらず、まるで見透かしていたように鬼は華麗な避けをした。
鬼は空中でアクロバティックな宙返りをして、十歩以上先まで離れる。
「ふっ、なかなかやるようだな...弟子にしてやってもいいぞ」
「お前こそ、その巨体で良くそんなに動けるよ」
鬼は嬉しそうに笑みを浮かべている。
「お遊びはどうする? 続けるか?」
「...」
「何も言わないか、俺様はお前にはお遊びでは勝てないと踏んだ」
「...そうか、なら本気で来い!」
何だ俺、久しぶりの戦闘で楽しさを感じてる?
再び俺と鬼の視線がぶつかり合い、さっきと同じように高速で動き出した。




