威勢で横暴で親切
威勢で横暴で親切
abaudo;アバウド
その時だ。
急に壁が壊れて、何か大きな生物が俺を見た途端、殴りつけてきた。
突然すぎて、認識する前に攻撃をくらってしまう。
「ラズ!?」
おっさんの声が最後に聞こえ、それから俺は気を失った。
「ん?」
気が付けば俺は何かに縛り付けられて、巨体な生物に山の上へと連れていかれていた。
...嘘だろ?
何か血の様な液体が、生物の口の中から垂れている。
そしてその開いた口をよく見ると、歯の間に白い毛が挟まっていた。
この状況を見て早速察した。
美乃...の毛か?
それだけじゃない、ハルカが着ていたと思われる服の一部、九条の持っていた剣の刃の破片、おっさんの眼帯、その全てがこいつの口の中にあるのが見えた。
なんだこれ。
一体何が...死んだのか?
美乃やハルカたちは...死んだのか?
殺され...たのか?
俺が寝ている間に...
そう思うと怒りが止まらなく湧き出してきた。
「あぁぁぁぁ...あぁぁぁぁぁあ」
涙も叫び声も何もかも、俺から放出されてとまらなくなっている。
「死んだ...死んだ...俺の大切な仲間...家族が...」
絶望に狂った時、耳の内側で微かに声がした。
「消えろ。 壊れろ。 割れろ。 昔と同じように...」
当然、理解どころか聞こえもせず、自分の意識が狂って自覚が持てなくなる。
「あぁぁぁぁぁ、あぁぁぁぁぁぁぁあ!」
「はっ!」
俺は小さな祭壇の上で目が覚めた。
周りには誰もいない。
しかし、直ぐに分かった。
さっきのあれが夢で会った事、魔力感知で周りに何体もの生物と悪魔らしき影。
そして、美乃がこっちに来ている事。
意識する前に千里鑑定眼で調べていた。
美乃たちを覗き見て、俺は一息ついた。
夢の中で乱れていた心が嘘みたいに、落ち着いている。
ただ、俺がここにいるって事は、気を失う直前の出来事は夢ではない。
直感で俺はそうだと信じた。
「しかし、ここからどう動くべきか」
こんなに周りに警戒した者たちがいるのだ。
俺が不審な動きをしたら、戦わざるを得ない。
その時、地面が大きく揺れた。
「な、地震!?」
「おぉ!」
周りから声が...
「待たせて悪いな。 “にいちゃん”!」




