妖怪騒ぎ
妖怪騒ぎ
abaudo;アバウド
俺たちは、鬼・九尾・天狗の三大妖怪の討伐の為に、暫くの間、日欄虞旅行をすることとなった。
まずは鬼の盛天道子から探す為、京の山へ向けて東に進んでいた。
メンバーは、俺と美乃とハルカと九条とおっさん。
道中、ハルカからこんな話を聞いた。
京の山の神、ヤマタノオロチが封印されていて、昼はまだ結界が解けていないから大丈夫だが、夜になるとで結界が破壊され、破壊と同時に大きな八つの頭を持った蛇が近隣の婦人や子供をさらって、奉納された酒のおつまみに食べてしまうらしい。
祭礼の鬼の面が顔に張り付いて取れなくなり、その面が怒りを放出するかのように操って暴れさせ、その後何処かに消えてしまう。
今もその面は何処かを浮遊しながら、「鬼哭啾啾」と涙を流しながら言って去っていくらしいとの事。
どれも前世の伝説をもじっただけの物語のようだ。
正直、そんな子供だましじゃ全然怖くない。 ハルカが怖がらせようと言った戯言にしか聞こえなかった。
「怖いよぉ...そんな話するからトイレ行けなくなった」
ただ、おっさんを除いては...
「いい年して何言ってんだよ...おっさん」
「だってぇ...だってぇ...」
「気持ち悪い、布を噛むな!」
おっさんは酒が入っているせいか、泣きやすくなっていて話を聞いただけで涙を流している。
「やだやだやだ! おじさん、行かないもんねー...」
「泣くな! この間までの威厳は何処に置いてきたぁ!?」
「うわーん、ラズくんに怒られたぁ!」
苛立ちがマックスになって、とうとう殴ってしまった。
「...うがっ」
ハルカが。
「ったく、これだから酒の入った中年は困るわ」
「まぁまぁ、全世界の酒の入った中年は悪いわけではないよ。 たまたまこのおっさんが...」
「なに? 私に歯向かうとどうなるか知らないの、このクソ豚」
ハルカは俺を睨んで、舌打ちをした。
あれ? 心なしか、全然悲しくない。
...まさか!
慣れ...か?
昼間あんな高い所で輝いていた太陽が、今は山にかかって狭く光を放っていた。
俺たちは道中で見つけた団子屋で、馬を休ませてもらい、その上団子をご馳走していた。
「みたらし団子どうぞ」
「ありがとうございます」
店主であると言う女性は、どうやらここで俺たちを待っていたそうで、寝床も用意してくれるらしい。
「将軍様の命令で朝早くから、遣いの人達が来ましてねぇ...今日はどうぞゆっくりしていってくださいな」
「はい、お言葉に甘えて...と、流石に無賃では気が引けますので...」
と言って、ハルカが全部やってくれた。
なんかフルコースとか言って、お釣りを渡されたけど...
「これでお風呂でも借りてきなさい!」
と、上機嫌なハルカもいいけど...
これ俺たちが任務遂行の為にもらったお金なんだけどなぁ。
まあ、ハルカにはお世話になってるし、良いか。
「じゃ、行こうぜ...おっさん」
「おう、いいぜ!」
やっぱり日欄虞って、風習とか建造物の感じとか...やっぱり似てるなぁ。
今いるこの風呂も、下に火を焚いているし心なしか五右衛門風呂の様だ、ここに来る時に見た台所もそうだった。
何と言うか、前世の世界とは違う所がいっぱいあるけど、もしかしたら抽象的に見れば同じなのかもしれない。
まぁ、時代背景は変にこじれてるように思えるし、色んな概念が吹っ飛んでいるような気がするけど。
「おうラズ、お前も俺に負けず劣らずの筋肉あるじゃねーか...細身かと思ってたら結構筋肉鍛えてたんだな...」
俺はおっさんを無視して、桶で頭に湯をかける。
そう言えば、あの親切な人。
朝に将軍の遣いが来たとか言ってたけど、俺たちが出たのは早朝だったしそんな者達とすれ違っても無いような気がするけど...
それより先に行ったのか?
まあ、俺たちの宿泊先の事などをしてくれてるなら納得できるけど...
でも、そんな事をする必要があるか?
大切な部下を守る為?
来客であり戦力の俺たちに危険が無いように?
いや、そんな心配する必要はないと思うが...
「...あぁ! もう考えるのやーめた!」
なんか疲れたし、さっさと湯につかって部屋に戻ろ。
次回、威勢で横暴で親切。




