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あらゆるスキルの保持者、創造と破壊の魔術 ~俺だけ悪魔~  作者: abaudo:アバウド
日欄虞(ヒラング)
73/724

強さだけを求めて

強さを求めて

abaudo;アバウド


さて、まずはどんな魔物を倒しに行くか。

月と蛍の光に照らされ、虫の声が聞こえる道の真ん中で止まった。

普通の悪魔達では経験値入らないし...出来るだけ多くの経験値を貰える奴が...

月の光も蛍の光も薄すぎて辺りが全く見えないおかげか、妙に周りに敏感になって、うしろから来ている美乃に気が付いた。

「ちょ、ラズ? 一体どうしたのよ」

「あ、ついて来てたのか...」

新しいスキルを試したいという思いと、早くレベルを上げたいという欲望で相当な興奮状態だ。

「経験値が五倍も貰えるから、なんか戦闘がしたいなぁって」

「経験値が五倍? またよくわからないことを...まぁ、経験がしたいなら...ドラゴンとか?」

「ドラゴン...強そうだし、なんか怖いなぁ」

美乃は頭をつついて考え込み、俺は腕を組んで倒し方を考えていた。

「ドラゴン程強くは無いけど、普通よりかは強いモンスターはいるか?」

「ドラゴン程強くないけど、普通と比べて強いモンスター...うーん」

そうして唸り声をあげた後、ぱっと何か思いついたかのように明るい表情をした。

「ワイバーンとかどう?」

「ワイバーンかぁ...」

その時、美乃の後ろから枯れ葉を踏む音が聞こえ、それと同時にハルカの声が聞こえた。

「この国にワイバーンなんていないわよ」

美乃は耳で反応を示し、また考えるように頭を指でつついた。

「経験値が欲しいんでしょ?」

ハルカは俺に、微笑みを見せて聞いて来た。

「あ、あぁ...」

なんだか嫌な予感がする。

「教えてあげるわ...教えてあげるけど」

なんて楽しそうな笑みを浮かべるんだろう。

絶対良くない事いわれそうな気がする。

ハルカは歯を見せて、近くの蛙に杭を投げて殺した。

「そこに這いつくばって...ハァハァ...お嬢様、この豚めにご奉仕してください...ハァハァ...って、足を舐めながら言いなさい?」

息を荒く、顔を赤らめてなんてことをいってんだ...

見ているこっちが恥ずかしくなってきた。

「さぁ、どうなの? やりなさいよ...っていうかやれ...クソ豚」

そうだった、こいつそういうキャラだったんだ。

今になってやっと思い出した。

「わかったよ...」

ハルカの足に顔を近づようと這いつくばり、俺は舌を伸ばした。

っていうか美乃はこんな俺を見てなんとも思わないのか?

俺は舌を伸ばしながら、横目に美乃を見ると......ものすごく爆笑していた。

「おじょうしゃま、こにょふたへにほほうししてくらひゃい」

「...この薄汚い豚が、そんなんで私の気を引こうなんて八千年経ってもおこがましいわ?」

なんていい笑顔なんだろ、俺にこんな事させてそんなに楽しいのかな?

「さあどうしたの? この豚...一体どんな事から教えて欲しい?」

「お嬢様、これをどうぞ」

美乃が幻影から作った椅子を、ハルカの後ろに置いた。

美乃の作る幻影は特殊で、触れることが出来る。

「え、あ...ありがとう」

だからハルカは少し困惑はしたものの、直ぐに座ってまたプレイを再開した。

「さぁて、私の靴を舐め続ける限り、質問することだけは許してあげるわ」

俺は気付いてしまった。

美乃が何故わざわざ椅子を置いたのかに...

「えーっと...その」

勿論、このエスイッチの入ったハルカは偉そうな態度をとり続ける為、勿論座り方も偉そうにする。

それを狙ったトリックとも気付かずに...

そう、この大勢...ハルカが足を組んでいる大勢...見上げればハルカのおパンツが見放題なのだ...

「美乃さん最高!」

「は? 何言ってんの? とうとう頭が壊れちゃったかしら?」

ははは、こいつは今そんな辱めを受けているかに全く気が付いてない...

「私はあなたを認めているわけじゃないわ」

さっきまでとは一変して、ハルカの表情は楽しさを失い、本気で蔑むような視線を降らせる。

「はへ?」

「あなたには常に警戒しているし、その気になれば何時でも殺そうと思ってるわ? だからあなたが今どんな事を考えているのかわかるし、今後あなたがどんな行動するかなんてお見通しよ...」

ハルカは俺に冷たい視線を送って、立ち上がり背中を向けた。

「あなたは私を殺せない...そんな奴に黒蓮堂を倒すことなんて出来ない...帰るわ」

「ちょ、ちょっと待て...」

立ち上がり、ハルカの腕を掴んだ。

ハルカは俺が腕を掴んでも反抗はせずに、ただ真顔で城を見つめていた。

もう夜も更けかけていて、山の向こうの光がうっすら伝わってきている。

「離してくれないかしら...離さないなら叩き切るわよ?」

「いや待って...どうしても、どうしてもその魔物の事を教えて欲しい」

「あなたからは何の誠意も見えない...あなたは強くはなれない...諦めなさい」

ハルカの辛辣な言葉に、あのダンジョンの辛辣さを思い出す。

でも、あんなに辛辣なダンジョンでも、願えば進めた。

願えば、光がさした。

「頼む...俺が強くなるために...教えて...くれ」

「涙なんか見せても...」

「俺は...死んだ母さんやセラの為に、誓ったんだ...俺の村を...俺の大事なもの全てを壊した人間たちに復讐するって...」

「死んだ...復讐...」

男として恥ずかしいが、あの日の出来事を思い出すと...涙が止まらない。

「あなたはそれをして何の得があるの?」

「得なんて...無いけど。 何もしないで...割り切れるわけ...ないだろうが...」

俺の叫び声が、太陽がと同時に、彼方へと届いた。

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