魏樂と日欄虞と黒蓮堂(航路)
魏樂と日欄虞と黒蓮堂
abaudo;アバウド
錬金術
「嫌だ...死にたくない!」
民が逃げ回っている...
なんて自分勝手な人間なのだろうか。
すまない、皆を犠牲にさせてもらう。
俺は涙を呑んで、無慈悲なまでに力を使う。
「...!? お前何やってんだよ」
仲の良かった親友たち。
君たちももう...
「おい、何する気だよ?」
俺は親友たちに、手のひらを向ける。
俺がこうしている意味を、皆察したのか、泣き崩れたり絶望的な顔をしたりしている。
でも、もう仕方がない。
「イロスの力に命ずる。 この者たちを...」
「T~|!?」
聞こえない。
「やめて!」
聞こえない。
聞こえない。聞こえない。聞こえない。
「落ち着いたか?」
「勝手に入ってくるとはいい度胸ね?」
ハルカは俺が部屋に入るなり、鋭い目つきで威嚇をしてくる。
「相変わらずでなんか良かったよ...ハハ」
ったく、ハルカは何で俺の事を嫌ってるんだ?
俺嫌われる様な事したかなぁ?
「まあ、お茶でも持ってきたから...」
「ふんっ、豚の割には出来るじゃない...でもどうせなら、コーヒーとかの方が良かったわ」
「わがまま言うな」
俺は珍しいハルカの表情に、まったりとしたツッコミを入れる。
少し弱弱しいハルカは、お茶を入れたカップを持って口に着ける。
「あつっ!」
「ハハ...何やってんだよ...クグッ..ふぅ」
「何を笑ってるのかしら?」
ハルカはまた鋭い視線に戻して、俺に厳しめの声を出した。
あ...少し調子に乗り過ぎた。
「悪い」
「何を謝っているの? 別に私は怒っているわけじゃないわ。 私が言いたいのは...」
いきなり深刻な表情に切り替えるものだから、なんかドキドキしてしまう。
「...言いたいのは?」
「...もう少しだけ寝るわ。 そうね、一時間経ったら皆を集めて頂戴...まだ話したりない事もあるから」
そう言いながら、頭まで布団をかぶった。
「そうか、じゃまた...」
そうして俺は、部屋を後にする。
次回、魏樂と日欄虞と黒蓮堂(着航)




