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悪じゃない

悪ではない

abaudo;アバウド


まさかこいつ...

スキルを使わずして、重力を操っているのか?

...一体どうやって?

そもそもスキル以外で異能力を使う事は出来るのか?

「やはりお前もわからんか」

男がやけに挑発的に微笑みを浮かべる。

「ただの圧だよ」

「...圧?」

「そうだ、上からの圧だけだ」

にぃ、と歯を見せて葉巻をふかす。

そしてさっきと同じ様な感覚...重力が重たくなった感覚にまた襲われた。

しかし、今になっては子供騙しだ。

「フッ...クァッ!」

「ほぅ...ふっきるか」

「九条...気をしっかり持て」

「ぐっ、む、、無理だ」

地面に這いつくばった九条が、目線を俺に向けて、苦しそうに音を上げた。

「ただの圧に負けるなんて、日欄虞の奴らも大したことないな」

無情のまま、冷酷に、それも簡単そうに言ってくれる。

男が黒い手袋を脱ぐと、それを地面に捨てた。

「ここで...そうだなぁ、火事になっても嫌だし...一つ手を組まないか?」

「手を組む?」

「そうだ」

相変わらずの堂々とした、威厳ある態度で、手を差し出し和解を求めている様に立振る舞う。

依然、俺が手を取ろうなどと安易には考えない。

「何が目的だ?」

威嚇も込めて、ファイアアローを空中に何十本も出した。

「フン、別に手を取るか取らないかは自由だぜ? ただなぁ...俺の手を握らなかったら、“わかってるよな?”」

明らかに脅迫だ。

手を取るまで俺たちを信じないか。

そして男は手をもっと伸ばし、俺に近づけてきた。

「さぁ、どうする? 出来れば、俺たちのお手伝いをしてくれたら助かるんだが」

「俺も馬鹿じゃないんだ。 内容を聞くまで、安易に手は握らない」

咥えていた葉巻を、地面に落とす。

「...はぁ、ったく...まぁ最初からこうなるとは思ってたよ...」

男は俺に差し出していた手を下ろして、両手を上げて九条達を解放する。

「だとよ、死神さん」

その時、男の背後、青い髪をした中性的な悪魔を見てゾッとする。

その悪魔は何もかも見透かしたかのような目で、俺たちの方へと歩んでくる。

「そう...それは良かったわ...ごめんなさいね、あなた達...迷惑をかけたわ」

「...ハルカ?」

間違いない、あの時の狂った女だ。

「なに、その目...殺してほしいの?」

「いや、殺してほしくは...」

何と言うか、生理的に無理な奴だ...

「うるさい害虫...それ以上喋ると口を縫うわよ?」

サイコパスとしか思えない!

「まぁ無駄話をしている暇なんて無いし、単刀直入に言うわ...あなた達今日から、私たちの部隊に所属してもらうわ!」

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