日欄虞 名家 マヤ クジョウ 九条真耶
中魔の半聖
abaudo;アバウド
暴君らは聖水と言いながら、自分が悪魔なのにも関わらず、一滴残さず飲み干す。
ローブの奴らは、頭にかけたローブを外し、狂ったように顔じゅうのパーツを真ん中に寄せた。
すると、全員が血を吐き出す。
「きゃぁぁぁぁっ!」
近くの民間人はみんなして逃げ始める。
「黒蓮堂、開裂の儀式....ぐはっ..」
暴君が俯いて、静かに呟くと...
全員の胸が張り裂けて、血と共に人と魚を融合したかのような禍々しい生物が中から出て来る。
見た目の気持ち悪いインパクトで嫌悪感を抱き、その場に立ち尽くしていた。
「どうだ? この姿を見ても、まだ我らと戦って楽勝と言えるのか?」
禍々しい男の声が、耳鳴りの様に響いて聞こえた。
どうしてあの時さっさと静まらせていなかったんだと、自分が嫌になる。
だってこいつらのステータスは、さっきの10倍は軽く超えているのだ。
個々の強さならそんなに強くないけど、こいつら全員のステータスを合わせれば、ダンジョンの一階層のボスを相手している様な物だ。
「さぁ、始めようぜ...せいぜい早めに殺してしまわないように手加減してやるよ」
...手加減か。
俺は震えている自分を馬鹿にし、意地でも奮い立たせる。
そうだ、今まで俺は何度も絶望しかけたじゃないか。
それでも俺は諦めなかった。だから諦めない。
いつまで経っても、俺は自分を信じ続ける。
「手加減なんか必要ない。 俺はお前に負けたりはしない」
「はぁ? 調子に乗ってんじゃねーぞ...ガキィ!」
六体の魔物は連携して、前方に三人、右左後方に一人ずつ、完璧なタイミングで広がり襲い掛かりに来ている。
全員が大きな剣を頭の上に持ち上げ、高く飛び上がり俺に向かって剣を落とした。
「速度超過」
しかしその全ての剣を避けきると、全員が顔を見合わせて、狂ったように声をあげる。
「あぁぁぁぁっ!」
苦しそうな雄たけびだ。
そこまでして、一体何が目的なのだろうか。
「シャイニングライト」
俺が散らばった全員の中心に立ち、注目させてから眩い閃光を出した。
これで全員の目潰しをし、一人ずつ倒していくという戦法だ。
「斬風!」
元暴君だった魔物の首筋を狙い、当たるはずだった斬風は、直ぐに消されてしまう。
「な、なに!?」
「楽しい...ここまで激しいのは...初めて」
ハルカか!
戦いながら、こっちの戦闘を見ていたというのか?
「あぁ! もう面倒くさい! 白虎で行くわよ?」
美乃は愚痴を吐き出して、閃光をあげながら元の姿へと変身する。
「おっきい//」
「頬赤くして、変な事をいうな!?」
向こうは向こうで大変そうだな...
何故だか急に心が和む。
その間に、目潰しを喰らっていた魔物たちも、元道理になったようでまた襲い掛かって来る。
「ったく、ここまで来てまた戦闘するのかよ」
本当にやれやれな気持ちだが、懐かしい気持ちで楽しくもあった。
「無動斬撃刃!」
その時、俺の目の前に颯爽と現れた黒髪長髪の道着姿の女が、全く隙のない構えで目の前に立ち、その瞬間、手も動かさずに、六体全てを...ばらばらに切り刻んだ。




