セントイル学園
セントイル学園
abaudo;アバウド
目の前に噴水があり、連なる花の道の奥に大きな透明の扉があった。
一階部分は広々としていて、入っただけで圧倒的に綺麗な環境があり、その上の二階には外に庭園が広がり、三階にはガラス張りの校内全体を見渡せる絶景スポットがあった。
あまりの美しさに、言葉を無くす。
「セントイル学園へようこそ...」
「ここが...セントイル学園?」
「はい」
赤髪の人は、俺たちの前を歩き、校舎内を少しだけ説明しながら、上へ上へと上がっていく。
「ここが五階の、特別私用学園長室です」
何もかもが綺麗に見える環境で、ひと際質素なドアがあり、赤髪の人はここが学園長室だという。
なんでここだけ...
そんな疑問を抱きながら、赤髪は学園長室のドアを開けた。
「...失礼します」
ドアを開けて真っ先に目に入ったのは、綺麗な女性だった。
「やっと来たか...」
女性はカールのかかった金色の髪を、くるくると指で回しながら攻撃的な強い話し方をした。
ツンと長めのまつ毛と、大きな瞳、身長は俺よりも高く、スラッとしている。
モデルみたいだな...
赤髪の人は、金髪の女性の横に立つと、礼儀良く静かに立った。
その時、金髪の女性は俺に手を差し出す。
「学園長のクリス・シア・メイトだ...そんでこっちが、サイエス・ミラード・エミア...生徒会長だ」
「あ、あぁ...」
そう言って差し出された手を握った。すると、俺の手に彼女の莫大な魔力が伝わってきて、衝撃でのけぞる。
「...あぁ、悪い...魔力をもう少し下げるから許してくれ」
「もう、学園長...あまり怖がらせるような行為はやめてください」
「悪い悪い...でも、自分じゃ魔力がわからないから仕方ないだろ?」
彼女の魔力の底なし差を見たからわかる、彼女は“チート”だ。
多分人間の美乃でも敵わない...白虎で相打ちぐらいの強さだ。
「おぉ、そっちのねぇちゃんもよろしくな」
「そうね、これから世話になるだろうし...一応手を握っていてあげるわ」
「なんだ? 随分と暴力的だね?」
「あなたに対して、敵意を無くしたら私と言う存在が消えてしまうから仕方がないじゃない」
美乃とメイトさんが睨み合って、何やら不穏な空気を発し始めた。
「おいおい、それは考え過ぎじゃないか?」
「なら一試合でも、やってみるかしら?」
「ねぇちゃんは人間じゃなく、神獣の姿で戦いに来るんだろ?」
このままここにいるのは危険だと思うぐらいに毒々しい空気が流れている。
止めないとやばそうだ。
「ちょっ、それ以上は...」
「やめてください学園長! 今はそんな事している場合じゃないでしょう!」
エミアさんは俺の声に重ねて、大きな声を放った。
それを聞いたメイトさんは、「そうだったな」と言いながら、一度咳ばらいをした。
気を取り直して落ち着いた様子で、豪華な皮の椅子に腰かけた。
「実はこの学園、まだ開校してないんだ」
「まだ開校してない?」
「そうだ。それには少し理由があってな...先に問題が出来たからな、少し新学生を受け入れることが出来ないんだ。 だから今、急いで進めてる。 そんな中でだ...日欄虞から応援要請が出てきたんだよ...本当にもう嫌になっちまうよな? こっちはこっちの用事があるが、日欄虞の応援要請を無視するわけにはいかない。 人員が足りない時に来たのがお前さん達だ...多分お前さんたち二人は学園の中で上位まで詰められる実力を持っているだろう...という事で、お前たちには日欄虞に行ってもらう」
「ちょ...俺たちに拒否権は...」
「なんだ? なんならこの魔界全土で指名手配にしてやってもいいのだぞ?」
彼女の視線が冷酷に突き刺してきた。
「わ、わかった...それで? 旅支度の用意はしてくれるんだよな?」
「勿論だ、とりあえず二千万ベラを授ける...報酬は残った金全てだ。」
これはまた、太っ腹...
って言うか、二千万ベラってどれくらいだ?




