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あらゆるスキルの保持者、創造と破壊の魔術 ~俺だけ悪魔~  作者: abaudo:アバウド
ミノタウロスの長
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ミノタウロスの長

ミノタウロスの長

abaudo;アバウド


「...ったく、一体何体いるんだよ」

およそ百体ほどのミノタウロスは倒しただろう。

それでもまだ、奥の方から続々と向かってきている。

俺の魔力も少ないし、最初はレベルの低いこいつらを全滅させられると思ってたが、こっちも大分ピンチな気がして来た。

「...セイレン・ハクア!」

「廃落!」

美乃のスキルで周囲の敵、数体を真上に高く上げて落とし、それで体力が少なくなった敵を廃落で朽ちさせていく。

それでもまだ残っていたミノタウロスが、片手に持っている木の棒で殴りかかって来るのを、避けるか剣で防ぐの繰り返しだ。

戦闘に関してこいつらには知能が無いのだろう。 だからこいつらなら何とか持ちこたえることが出来る。

だが、今は食い止められているとしても、いずれ俺も美乃も魔力が尽きる。

「一旦ここを離れよう」

「そうね、それがいいわ」

そう言って俺たちは、すぐ後ろにある森の茂みに向かって走り始める。

丁度森に入った時、耳をえぐるような爆発音と共に、こっちに向かってきていたミノタウロスが急にぐるっと一斉に回転し、進行方向を変えた。

「一体何が?」

すると奥の方から、何か異様な雰囲気を漂わせている...悪魔がこっちに歩いて来た。

疲れているのだろうか。 その悪魔からオーラが放たれているのが見える。

「なんだ、雑種ですか?」

その悪魔は、綺麗で高そうな貴族服に、青く太陽の光を反射させているイヤリングが特徴的だ。

長めの髪に、ずっと目を閉じている。

それに歩き方も何か、圧迫感を感じさせてくるのだ。

「こんな奴に道を阻まれるとは、ミノタウロスも落ちたものですね?」

「なんだ...俺の部下たちを悪く言うのか?」

更に奥の方からは、一見他のミノタウロスとは何の変わりのない、牛と人間の身体を持つ、ただただ大きいミノタウロスがのしのしと歩いて来た。

どうやら、二人は仲間の様だ。

「だってそうでしょ? こんな平民...ましては雑種の悪魔にここまで道をふさがれてるんですよ?」

雑種...明らかに俺の事を言っているな。 俺を馬鹿にしている様にしか思えないが、多分俺の中の人間の血を感じ取って言っているのだろう。

「ちっ...そう言うなら、お前の言う雑種を...このミノタウロスの長である我が殺ってやろうじゃないか?」

「ふっ、本当に大丈夫なのですか?」

より一層オーラを強くした悪魔は、一つ笑顔を見せて余裕の挑戦的視線を送った。

実に冷酷な視線だ。 氷の様に冷たい。

「せいぜい怪我をしないことを...ゆっくり紅茶でも飲みながら祈ってますよ」

「ただの悪魔風情である、お前に祈られても、神の末裔である我の強さは揺るがんわ」

「悪魔も神の末裔ですが...まぁ、良いでしょう。 じゃ、また後で」

そう言って悪魔はミノタウロスの後ろの方へと下がっていった。

俺は悪魔の姿を一瞥し、何か他のミノタウロスとは違う雰囲気を放っていることに気が付いた。

このでかいミノタウロス...防具までつけてるし、なんならさっきの量産型のミノタウロスとは格が違うような...

「おら、雑魚...さっさと出てきて首を差し出せ...」

「なんか腹が立ってきたわね」

でかいミノタウロスが雑魚と言った瞬間、美乃は過剰に反応を示し、茂みから身を乗り出した。

み、美乃!?

手を伸ばして止めようとするが、手は届かない。 そして結局、美乃は茂みを出てしまったのだ。

腹が立って来たって...

まぁ美乃の強さなら、正直心配は無さそうな気がするんだけど。

「俺もなんか腹が立った」

美乃が行くなら、俺も行かなくちゃならない気がするし...

「あらそう? 私じゃ一発で倒しちゃいそうでつまらないし、あなたが一人でやってみる?」

「なんだよその余裕...」

「もしあなたが危なくなったら、私が助けてあげるわ」

なんとなく変わらない美乃のおかげで、気持ちが和んだ。

「わかった、俺一人でやる」

俺はでっかいミノタウロスの前に立ち、戦闘態勢に入る。

「なんだ...ただの雑種一人か...我も本当になめられたものだな」

「俺の事を、ただの雑種と言ったことを...後悔させてやるよ」

「大した自身だな...我がその自信を握りつぶしてやる」

でかいミノタウロスも俺と同じように戦闘態勢に入った。

でっかいミノタウロス...千里鑑定眼。


リドパウロス Lv 208。


体力/84032 魔力/1103

攻撃/3512 防御/21165 疎攻撃/1513 疎防御/864


炎属性耐性↓ 水属性耐性↑ 風属性耐性↑ 暗黒耐性- 

光属性魔法- 空間属性魔法↓ 無属性魔法↓ 物理耐性-


スキル/

斧撃円。

感覚無効。

ブレイクフリー。

メルゲイス。

ミノタウロスの長猛者。

フレイア。

フリーズ。

爆炎拘束。

エジェクターハイ。

長の貫禄。


名前は、リドパウロスで、攻撃に比べて防御が圧倒的に高いな。

その上、魔力と体力に差が開き過ぎだろ。

疎攻撃や疎防御...つまり物理以外の攻撃は...大分薄いな。

俺より何レべも高いのに、初心者かと思うようなステータスの割り振りだ。

元が悪いのかも知れないな。

よくこんなので、ここまでレベルを上げられたものだ。

だが、多分“長の貫禄”というスキルのおかげで、生き残れたのかもしれないな。

長の貫禄...戦闘中、怒りが上がるとステータスが一定時間上がる。(積み重ね:可 最大5)

こいつに関しての戦い方は、スキルを見れば何となくわかるな。

「それじゃ、雑種よ...我の攻撃で、死ぬがいい」

「ファイアアロー!」

「そんな粗末な攻撃、効かぬわ」

リドパウロスは片手に持った大きくて長い剣身で円を描くように振り、一気にすべての矢を無効化した。

まぁ、ファイアアローではそうなるよな。

「それじゃ、我も行くぞ」

俺の方に向かってくるが、それでは遅い。

「速度超過」

軽やかにリドパウロスが振った剣身を潜り避け、そのまま懐へ入る。

「ぬっ! なに...」

「獄炎抑留」

リドパウロスの胸に触れるや否や、赤黒く禍々しい炎を全身に浴びさせる。

相変わらず、凄い燃え方だ。

リドパウロスを包み込むように獄炎が大きく燃え広がり、ずっと燃え続けている。

「...これだけか?」

獄炎抑留でも無効化されるか。

「獄炎抑留」

「その技はさっき効かなかっただろう...」

「それはどうかな?」

さっきよりもやや速く、そして相手の隙を狙いながらスキルを使う。

一瞬、リドパウロスが横に大振りした剣尖が当たりそうになったが、それでも俺は笑いながら避ける。

俺は燃える様な戦いの中で、嬉しさを感じていたのだ。

「火源暴発っ!」

一度ついた獄炎が、暴発して爆発を引き起こす。

爆発で辺りに火花が散って、閃光を発した。

「これで...」

「まだまだ...だ」

これで怯みもしないとは、なかなかの頑丈さが鬱陶しく思える。

「こっちもそろそろ本気で行かせてもらうぞ!」

少しビクッと三センチほどしか動いてない様に感じたが、それは残像なだけで...本体はもう俺の懐へ入っていた。

俺の隙の空いた脇のしたから、大きな笑った顔を見せてきた次の瞬間。

腹部に太長い剣尖が突き刺さり、そのままありえないほどの速度で二回も腹を切り裂かれる。

今の一瞬に二度も切り刻んだ...俺の横腹からへその辺りまでの長さの肉片が、身体から離れて行くのがわかる。

大腸と小腸のどっちもが、俺の腹から外へと出てきている。

「ガッ...ヴァ...ぐぁッ」

「ハッハッハ...いい声を出すではないか」

意識が無くならないだけましなのか。

痛みは全く消えないけど...

「さぁて、次は小娘...お前だ」

美乃の方に。

まだ俺のターンは終わっていない!

「はぁ...はぁ」

こんな時に、更に痛いのは嫌だけど...

「ファイ...ア...アロー」

微かに声がかすれながらも、限界を振り絞って必死に言葉に出す。

空中に現れた矢先が、俺の片目に

俺の目にめがけて、メラメラと燃えている矢が刺さる。

「あぁぁぁぁ!」

「...何をやっているのだ?」

何故この状況を見て笑顔になれるんだ、美乃は...

「まぁ、でかいミノタウロスさん...見てなさい」

体力が回復していく。

外傷も塞がって、元道理の身体に戻っているのが、分かった。

身体が熱い...

「な、なにを」

「完全...復活、、だ」

立ち上がりながらそう言って、「俺格好いい」と思いながら右目の矢を抜いて目を開けた。

「傷つけられたお返しだ...使える魔法は全部使ってやる!」

「...ふっ...来い!」

もう一度、戦闘態勢になる。

リドパウロスの大きな鼻息が、大地を震わせる。

残りの魔力は...354/21315。

少ないな...ゼイラグトオーバーの発動中だから、ぼーっとしているわけには行かないな。

「輝剣!」

189/21315。

その瞬間、また俺の脇の下にリドパウロスが潜り込んできた。

またその攻撃か...

「ファイアウォール」

地面から赤々と燃え上がる炎の壁が噴出される。

「なにっ!」

攻撃は防げた。

レベネートブレーカーと輝剣。

二つで同時攻撃。

俺は素早い動きでリドパウロスの脇下から真後ろへ出る。

「後ろか...」

ばれてる。

見事に一発目に振った攻撃はかわされた。

しかし、リドパウロスの頬に血が伝う。

二発目は...当たったな。

「ふっ...我に傷を負わせるとは、少し舐め過ぎていたかもしれんな」

「いけいけ! その調子...」

監督の様に腕を組んで、俺たちを見つめていた美乃が、急に応援し始めた。

まるで運動会に来た母のようだな。

でも、元気をもらった。

リドパウロスの大振りの剣を輝剣で受け止め、次はレベネートブレーカーで隙のある場所を切り刻む。

連撃に連撃...更に連撃。

上や右、下からと、二本の剣を交互に片方を引けば片方を出す、と何回も繰り返し切り刻んでいく。

俺も隙だらけになってるだろうけど、相手にも隙が出来るはずだ。

それを狙って...

「ブレイクフリー」

やばい!

スキルに関して対策を考えてなかった!

邪悪な風で身体は一気に遠くまで吹き飛ばされる。

「だぁっ!」

硬い木に背中を勢いよくぶつけた。

ぼやけた視線から、白眼になったリドパウロスが空中で大きな剣を振りかざして、重力と共に剣尖を俺に向けて落ちてきている。

俺は瞬時の判断と身体の反射で、輝剣とレベネートブレーカーを交差させて受け止めた。

レベネートブレーカーとリドパウロスの剣が勢いよく切り刻みあい、高くて耳鳴りのするような高い音が響いた。

お、重い...

「はぐぁぁぁぁ!」

...う、腕が、折れそうだ。

「...ま...ける...もんか」

この巨体を今、上半身だけで受け止めている状況...何か策は...

何かスキルは...

目の前に現れたスキル表示を一瞥する。その中にひとしきり輝いて見えるスキルがあった。

燐光・覇...か。

魔力が少ないこの状況なら、使うしかないな。

「...燐..光......覇」

よく相手を見ろ、きっと発動する...

何があろうと発動させて見せる。

青白い炎...まだか?

いや、落ち着け...俺。

冷静に、判断しろ。

腕はもう限界だが、まだ耐えろ!

俺の目に青白い炎が、空中に一瞬だけ光ったのが見えた。

「よし...き...た...あぁぁぁぁぁぁ」

リドパウロスから見て、ラズの姿は炎に包まれると共に、一瞬にして消え失せる。

「ど、どこに!?」

「ここだよ!?」

後ろから猛スピードで、二本の剣を振りつけた。

...だが、受け止められる。

「...ハハハ、そう簡単にはやられんよ」

ゼイラグトオーバーがそろそろ切れそうだ。

もういい。

このまま...

「ジャック・ベア・リシアタン!」

「ラズ!? その技をここで使っちゃったら!」

焦った美乃の声だ。

でももう止められない。

レベネートブレーカーが光りだした。

すると何故か持っていた輝剣がレベネートブレーカーに吸い込まれたのだ。

まぁ、いい。

前とは違って、もう発動が出来そうな感じがする。

「...いげぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

俺の力の籠った声と共に、擦れあっていたリドパウロスの剣とレベネートブレーカーが、光を放ち始める。

このまま、こいつの剣ごと...

バキッとひびの入る音が耳に入る。

この音が俺の剣か、リドパウロスの剣かわからないが...俺は勢いに任せて...

「クソッ...こんな奴に負けるわけにはぁ...」

「バキッ!」

......剣の砕け散る音。

発動したスキルが、そこにいたリドパウロスと言う存在を消した。

最期の声さえも、リドパウロスの全てを破壊してやった。

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