死と生は、いつも
隣り合わせ
abaudo;アバウド
臭い、グロい................
こんな物を食うぐらいなら、死んだ方がましにも思える。
だが...空腹には勝てない。
俺はこれまでにないまでの勇気を振り絞って、手のひらサイズにちぎった魔物の肉を口に入れた。
臭い、苦くて不味い...
口の中に稲妻が走るようだ。
俺はあまりの味に、吐き出した。
口の中に電気が走るようで痛い。
でも、呑み込むまでが...
俺は一度食べた気持ちの悪い物を、再び口の中に入れた。
そして、そのまま呑み込んだ。
こんなゲテモノ、今まで食べたことが無い。
これだけ不味い物を食べたんだ。何か変化は...
ない...か。
そんな簡単じゃないさ。
とりあえず、空腹感も失せたし、寝るか。
俺は小さな堀穴の中に籠って、丸まった。
身体が小さいって便利だな。
そう思ったのも束の間、いきなり苦しくなり始めた。
「ぅ...グアッ...」
さっき食べた肉を思いっきり吐き出す。
...なんだ!?
これは、魔物の肉を食べることで死ぬとかいう、あれか!?
もう吐くものもないだろうと思っても、吐きそうになる。
吐けば吐くほど、体力が奪われていくみたいだ。
涙もゲロも止まらない。
身体からどんどん、水分が減っていく。
「水...水は...」
腹が殴られたみたいに張っている。
ダメだ、もう動けない。
身体が痺れて、息も小さくなっていく。
死にたくない。
死ぬのは嫌だ。
ここで死んだら...
意識も遠くなってきたその時。
<腐敗物質・毒物への耐性を獲得>
暗い視覚の真ん中の文字が見え、AIみたいな声がそれを読み上げた。
それが聞こえ終わると同時に、俺の体調も回復していた。
本当に徐々にだが、体力も回復している様だ。
でも、何故今になって耐性を得たんだ?
それに、さっきの吐き気は?
異世界のアニメとかでは、いっぱい見たけど...それによく似ているのか?
...わからない...
何もかもが未知のようだ。
もしかして、俺の妄想の世界って言う線もあり得て来るのかも知れない。
何か、俺のスキルとかのステータスを見る画面が何処かにあるかも。
俺は、少しおかしくなっている精神を制御しながら、視界の範囲全てを散策する。
何処かに...
見つからない...か?
まぁ、これからいろいろ試して行く必要がありそうだな。
とりあえず今は、疲れた...
少しの間、寝よう。
その後俺は、意識を失うかの如く、即眠りについた。
「嘘だろ? なんだよ、ここ?」
眩しい光に包まれた教室から、一度閉じた目を再び目を開けたそこは...
教室ではなかった。
皆はパニックになって乱れる。
「どこだよここ!」
「私達...なんでここにいるの!?」
「そもそもさっきの光は何なんだよ!?」
その状況は、まさに慌ただしいなどと可愛らしいものではなく。
狂気的な騒音が鳴り響いている様だった。
そんな時、一人の男が指を指して言った。
「おい、なんだよあれ」
その指さした方向にいたのは...
...大きな亀だった。