なんで知っているの?
何で知っているの?
abaudo;アバウド
「それは...」
それは?
彼女の顔が真剣になって固まる。
その表情に、思わず息を呑み込んだ。
「あなたが永咲君の事好きだって、皆の中で噂になっているから」
...は?
私の永咲への想いが、皆に知れ渡ってる?
「それは何処で聞いたの?」
「皆言っているよ」
皆?
という事は、私が永咲が好きって事、皆知っているの?
そもそも誰が気付いたの?
「え...と、誰が最初に言ったか知ってる?」
「否定はしないんだね」
「あ...」
私は焦ってしまったのか、ついつい声に出てしまう。
「それに、顔が物凄く赤くなってるよ?」
「う、うっさい!」
「ふふ...」
何が可笑しいの?
私はこんな目にあっているのに...
あぁ、もう...恥ずかしい...
これも全部、永咲のせいだ!
「で、何? 私を笑い者にしに来たの?」
「だから、私も永咲君の事、好きなんですよ」
「は? だから何? 私にそんな事言って、なんの意味があるの?」
「さっきも言いましたけど、私は永咲君が好きな神前さんも好きなんですよ?」
何を言っているんだ? この子は。
永咲の事が好きな私の事も好き?
全く理解が出来ない。
一体それを私に言って、何があるんだろうか。
普通に言わないでいても、いい事のように思えるけど...
「それで? 私に何をしてほしいの?」
「一緒に旅に出てほしい」
「旅?」
いきなり何を言い出すのかと思ったら...
私はため息をついた。
「いい?」
彼女はコクッと、頷いた。
「私も引き取られた貴族の令嬢として、暇じゃないの」
少しいやらしい言い方かも知れないけど、私は彼女に対して燃えていた。
完全なライバル心かもしれない。
「私はね、あなたが思うような、憧れの対象でもないと思うわ」
彼女は少し悲しそうな表情をする。
「だからね、正直あなたと一緒にいる時間なんて、私には必要のない時間だから」
私は完全に彼女を泣かせるつもりで言った。
でも、彼女は悲しそうな顔をしてから、私の袖を掴んで離さない。
「なに?」
「私、あなたが一緒に旅に出るまで、絶対に離れないから」
「は?」
この時私は、プライド一つで「いいわよ」って言ったことを、後悔することとなる。




