ライバル現る?
何処かで歌った、歌詞のように...
abaudo;アバウド
「...竜巻」
その時、身体中の血管に流れる血のように、俺の頭へ何かが集まってくるのが分かる。
そして完全に魔力が操れるようになったのか、力強い風が俺の身体を包み込んだ。
俺に攻撃を仕掛けようとしてきた変な魔物も、後方へ吹き飛ばされた。
(斬風と竜巻の組み合わせを、使う事が可能)
斬風と竜巻を同時に使える、と言う事か?
これは良いな。
という事は、他の色々なスキルも、いずれ組み合わせられるって事だよな?
が、しかし...さっきの魔物が戻ってきた。
「なんだこいつ?」
しかも仲間を引き連れてきた。
でも、これはさっきの組み合わせスキルが試せるし、逆に良かったのかもしれないな。
「いでよ! 斬りつける風! 嵐のように...散弾のように!」
なんかかっこつけて言ってみたけど、これで出るのかな?
すると、俺の周りにいた変な魔物は、血を噴き出して、みじん切りにされていく。
俺の周りに血しぶきが、広がって...見るに堪えない気持ち悪さが込み上げてくる。
とりあえず、これは使えるけど、封印になりそうだ。
だって、これ使ったら...
喉に違和感が出てきた。
「おぇ...」
よし、一応の所封印で...
俺は行き止まりを示す壁に手をつき、軽く指先で撫でた。
この壁の向こう。
ボスのいそうな部屋では、何がいるのか...
このダンジョンのこの層は、死の階と言われていたのだ。
「神前さん?」
「どうしたの?」
いつも無表情の餅付沙奈は、今日もずっと静かにしていたが、何故か突然恵に話しかけた。
沙奈は明るく純粋な金髪で、瞳の色は青く、全体的に肉付きがよくて男子の注目の的だ。
しかもこの世界に来てから分かったこともある。
可愛さと言う魅力が、子供の時からの特典付きだという事だ。
これは女子として、うらやましいというか...何と言うか...
元は外国からの転校生で、日本人と外国人のハーフなのだという。
皆に知れ渡っていないが、本当はハフメリアと言う名前も持っているのだ。
「永咲君の事なんだけど...」
「えっ// な、ど...どうしたの?」
「私ね...」
沙奈は恥ずかしそうな表情をした。
な、なんで永咲の名前が出るの!?
もしかして?
そのもしかして?
しかも何その表情! 反則でしょ?
私は顔を可愛く笑って固定したまま...微塵も動くことなく固まっていた。
「その...」
何?
何が来るの?
「私...」
私は知っている...この展開は、ヒロインである私に、サブヒロインであるこの娘が挑戦するという、ハラハラドキドキの展開。
と見せかけた、何か!
絶対そうだから。
「私...」
なんで息を荒くしているの?
私の永咲に何か?
“私の”とか言っちゃった...
もう、何! 言うなら、早く言ってよ!?
「永咲君の事が...」
分かった、分かったから...
ここまで来て、私の心臓を弱らせようとしているの?
もしこんなかわいい子に、永咲が告白されたら...
永咲はOKしちゃうのかな?
「好きなの...」
言っちゃったーー!
「えあ...ななななな...//」
わーー!!
「お、落ち着いて...」
はっ、私としたことが、取り乱して...
私は一回咳ばらいをして、自分の意識を何とか引き戻した。
「でも、なんで私にそれを言うのかな?」
なんか焦って、変な事言ってないよね?
「私、永咲君が好きな神前さんも好きなの」
...
私はその時、どんな顔をしてたのだろうか。
ただ胸の奥から、ふつふつと熱い物が湧いてくるのが分かった。
「な、ななななななななんで!? どうして...えぇ? な、なんで知ってるの!?」
私の中で色んな考えが、グルグルと回転している。
「それは...」
その時言われた言葉に、私はとうとう顔を隠したくなってしまった。




