なってない!
なってない!
abaudo;アバウド
「なにしてるんだ?」
「魔法の練習だよ」
俺は娘姿の白虎に、魔法を放って見せる。
「魔法の練習? それが?」
「それがって、なんだよ」
白虎は俺の魔法を見て、笑い始めた。
「って言うか、喋ってる?」
「喋れるわ!」
喋れたのか...可愛い声だ。
「それより、なんて言うか...昨日より白くなってないか?」
「あぁ、まだ魔力が安定しなくてな...後三日ほどすれば、本来の娘姿になるだろう」
「へぇ、そうなんだ」
俺は興味ない振りをする。
でも実のところ、俺は興味津々だった。
だって、今でも可愛い娘白虎が本来の娘白虎になるんだ。
「なぁ、娘白虎! 魔法を教えてほしい」
こんな可愛い白虎に教えてもらえるなんて、素晴らしくないか?
白虎の長くて白い髪の毛が、可憐に揺れる。
白虎の髪、さらさらしているな。
「お前...我の事は白虎と呼ぶな」
「え...でも、名前って白虎じゃ...」
「白虎って言うのは、ただの種族名だ...我の事は、そうだな」
白虎は何か考えだす。
暫く考えて、そうだという風に、わかりやすく手を叩いた。
「美乃って呼んでくれ」
美乃?
「美乃ってなんだ?」
「昔会った人の名前だ...」
びゃっ...美乃は懐かしそうな顔をして、目を瞑った。
「それより、魔法の練習だな」
「あ、そうだった...お願いできるか?」
「我に練習を乞うという事が、どれほど恐ろしい事か...練習...訓練がてらに教えてやる」
「あ、あぁ...」
俺は少し、目をぴくぴくさせながら、美乃の訓練とやらを受けることにした。
「それじゃ、まず座禅からだ...」
「座禅?」
「そうだ。 早く座れ!」
美乃の目が猛獣のようになって、俺に圧を掛ける。
「わ、分かったよ」
俺は座って、静かに足を組んだ。
そういえば、娘白虎になってからだけど、今の美乃は俺の心読み取れてないのかな?
だって今、俺がこうやって色々考えている時も、なんの反応も示さない。
三分の一になるって言うのは、本当らしいな。
でも多分、今の白虎にも、俺は勝てない。
この世界で、また尊敬する人が出来た。




