味方なんて...
何処にもいない。
abaudo;アバウド
軍隊は...だいたい三十人ほどか...
しかし...なんでこいつら俺の村を襲ったんだ?
金目的だったら、俺の村なんか来る必要ないだろう。
労力を無駄にするだけだ。
だったら、何のために?
近くにいた、一人の若い兵士が話を始めた。
「ジーニアス様は一体なんの為にこの村を壊滅させたんだろうな?」
「馬鹿っ、任務中だぞ!近くに魔族がいたらどうすんだ!?」
ジーニアス?
それって........
俺の父さんじゃないか?
俺の名前は、ラズアスタ・ジーニアスだ。
俺は生まれてから、父親に会ったことはなかったのだが...まさか俺の父親が?
なら何で襲わせた?
一旦沈ませていた怒りが、また沸々と湧き上がってくる。
俺の親父が、幼馴染と母さんを...
その時、俺の中の火が更に熱く燃え上がった。
そして、俺の野望は...“決断”へと変わったのだった。
「それより...この洞窟ってやっぱりダンジョ................」
「...ん? どうした?」
先に歩いていた兵士Aが振り返る。
「痛ってー...今後ろからなんかに...」
「おい! 構えろ!」
兵士Aが狂気的な目をして、矛を突き立てる。
「なんだよ...どうしたんだ?」
「お前...早くこっちにこい...良いから!?」
「俺を脅かそう立って、そうはいかな...」
兵士Bは冗談だと思って、笑いながら後ろを振り返る。
その瞬間、その兵士Bの顔は一瞬にして踏み潰された。
それを見ていた、兵士Aは涙ながらに、矛を突き立て走る。
その兵士Aも、一匹のモンスター...鳥獣マシア・メイテによって、血を抜かれたのだった。
ラズはそれを丁度、物陰から見ていた。
嘘だろ...このダンジョンの魔物強いじゃん...
すると、こちらの視線に気づき、俺の方を見る。
やばい!
と思ったが、鳥目の魔物には暗いダンジョンの影を認知する......ことは出来ないようだ。
よし、今のうちに...
それにしても、あの魔物が鳥で良かった...
あんな大型のモンスターに見つかっていたらやばかったよ...
俺は生き残らなくちゃいけない。
せめて、真意でも知りたい。
多分俺の親父なんだと思うが、なんのために襲ったのかを....
俺はダンジョンの中の、小さな洞窟に籠って、これからの事を考える。
とりあえずは、レベル上げと...あとは食料だな。
俺は小型のモンスターを見つけ次第、攻撃しようとしたが、どれも逃げ足が速い。
そして、暗いダンジョンの中では時間間隔も位置認識も狂って、頭がおかしくなりそうだ。
ふとした時、俺はある事に気が付いた。
これって、よくあるマンガとかみたいに、魔物の肉を食べたらスキルとかってついたりは...
...考え過ぎか。
腹が減り過ぎて、頭がおかしくなった気分だ。
とりあえず探しにでも...
そんな時、俺は腐った魔物の肉が道の真ん中に落ちているのに気が付いた。
多分なんかの魔物が襲って食べなかったのだろう。
俺はそれを見て、思わず息を呑み込む。
これって...食えるのか?
そして俺は、たまらずその肉を口に入れてしまった。