其の陸
其の陸
abaudo;アバウド
「あ、あれ?」
帰ってった...
「ラ、ラズ様、何故ここに?」
「ん? あぁ、実は戦いが始まる前に皆にスキルをかけてたんだ...」
「スキル、ですか?」
「そう」
将軍は首を傾げて、目をぱちぱちとさせた。
「えーっと、日欄虞煉将 連愚っていうスキルなんだけど...」
「あぁ。 そう言えば前にラズ様から聞きましたね!」
将軍は会話の合間に相槌をする。
「最近までこのスキルの使い道が分からなかったんだけど、丁度昨日暇している時にスキルの本来の使い方が分かったんだ...」
「その使い方とは?」
俺はハルカに手のひらを向ける。
「スキルを着けたい人にこうやって...」
「な、何よ?」
ハルカは顔を赤くしてフンッと目を逸らした。
「それから、さっきはワープだったけど、適当なスキルを着けて...完成」
「こ、これでさっきと同じことが起こるのですか?」
「そう、そしてこのスキルの効果が発動するのが、対象が危険にさらされた時だから...さっきここまでワープをしたのはハルカが危険になったから...」
「あんた、いつの間に私に?」
「あぁ、それは...」
その時、目の前の景色が一変して変わった。
「それは...って、ん?」
ここは何処だ?
「きゃぁ!」
この声は...!
声が聞こえてきた方角のしきりを乗り越える。
確かここは守備兵の休憩所のはずだ...
するとそこで神袴が顔の下半分を手で覆って、敵軍の隠密兵に剣を向けられていた。
「さぁてお嬢ちゃん、ここにはもう誰も来ないよ...」
神袴は腰を抜かして、動けない。
それをいいことに敵の兵士は怖がっている神袴を脅して、尋問をしているのだ。
神袴が危ない!
――櫻剣!
「神袴ぉ!」
敵の兵士に飛びついて、飛びついた勢いのまま素早く斬りかかる。
しかし俺の殺気を察した兵士は、俺の脇の間をするりと抜けて、手甲から伸びた爪を突き出した。
幸い、持っている櫻剣が爪と当たって、何も持ってない片手が地面に着いた。
いつの間にか、手も再生してるな。
俺はそのまま地面でくるりと前転して、すかさず敵の方を向いた。
「ラズさん!」
神袴は怖くて、直ぐに俺の背中に隠れる。
「おいお前、何処から入って来た」
「あたいは敵の兵士よ、あんたに教えると思うかい?」
「素直に教えてくれれば、苦しまずにあの世へ行かせてやる」
敵の兵士は俺が言った言葉で大笑いする。
「あの世か...あっはは、確かにあたいはそこに行きたいけど、死んでからは行きたくないね...」
「死んでからは行きたくない?」
「あぁ...その為に黒蓮堂に入ったんだからな...」
「そうか、教える気もないなら...」
俺は神袴の耳に口を近づけて、耳打ちをする。
「はい、わかりました...」
「そこに行けばきっとここよりも安全だ。」
「はい!」
もう一度敵の兵士に顔を向けて、俺は強く言い放つ。
「面倒くさいし一掃するついでに殺すっ!」
そして拠点の周囲からこの兵士に援助魔法をかけている全員の兵士・魔術士ごと、九条達が防衛している西側の戦場までワープをした...




