根源の様
根源の様
abaudo;アバウド
将軍は俺の心臓辺りを指さした。
「そこです。 確かに何かがいます」
スキル画面の状態異常を見ても何もない。
きっと何かの間違いじゃ...
...いや、俺にも心当たりがあるかもしれない。
そう言えばあの時の夢、あの時からもう憑りつかれていたのか?
「安心してください、直ぐに取り除きますからっ」
将軍は周囲に光を放つ。
将軍そのものが強く発光しているから、将軍を直視すると頭が痛くなる。
そして将軍はその光を粒にして、その粒が俺の周りを舞っている。
「抗徳ノ舞」
粒の一つ一つが並んで、俺の心臓の辺りへ胸から入っていく。
すると草原の風の様な心地よさに、生暖かい日光に照らされている様な感覚が広がる。
この心地よさは本当にいい物だ。
そんな事を感じたのも束の間、直ぐに元に戻ってしまう。
「あれ?」
「出ますよ!」
「俺様の後ろに下がれ将軍!」
さっきまでの綺麗な光とは裏腹に、今度は邪悪な暗い光が俺の胸から解き放たれる。
そして気が付くと、真っ黒い影が俺たちの目の前に出現していた。
「なんだこれは!?」
峰華が眉間にしわを寄せて、ありえない反応に驚いている。
俺も同じだ。
こんな物が俺の中にいたなんて...
「とりあえずラズ、戦うか? 俺様はこいつが危険だと思うが...」
「ビビってるのか盛テ...峰華」
「び、ビビってるわけないだろ!」
「まぁ、どっちにしろ...野放しには出来ないよな?」
「ま、待ってください!」
峰華が握りこぶしを鳴らして、盛大に一歩踏み出した。
すると将軍が峰華の片腕を持って止める。
「...これは恐らく天狗です。 それも本当にあいまいな存在です」
「じゃ、このまま逃げるしかないのか?」
「いえ、ラズ様の強力な破壊の魔術なら」
強力な破壊の魔術か...ジャック・ベア・リシアタンとかかな?
「それってジャック・ベア・リシアタンでいいの?」
「ジャック・ベア・リシアタン!?」
将軍は突然大きな声を出した。
「ダメです! そこまで強力過ぎたら天狗疎か城下町全体を破壊してしまいかねないですよ!」
「じゃあ、廃落とかかな?」
「廃落...試してみる価値はありそうですが...」
「...ですが?」
将軍は頭を抱えてぶつぶつと悩みごとを言っている。
「まぁまぁそんなに悩んでも仕方ない! ラズ、使える魔術全部使え!」
「そうだな!」
「ちょ、ちょっと!? 二人共それは...」
放てるだけのスキルよ!
今、解放されたまえ!




