召喚魔術
召喚魔術
abaudo;アバウド
俺たちは暫く続いた旅を一旦終わらせるために、将軍の元へと帰っている。
ハルカによると、俺たちの探している天狗はただの伝説で本当にいるかわからない存在だから、探すのは黒蓮堂との抗争が終わってからだという。
村で長居してしまったこともあり、皆仕方なく受け入れていた。
本当はもう少し旅を続けたいところだったが、俺たちが日欄虞に来た理由を忘れてはいけない。
「あともう少しで......なに、あれ?」
乗馬しているハルカが、前方の空を指さして言った。
ハルカが指さしている所を見ると、何だか薄黒い煙が立ち昇っている。
的確にはわからないけど、あそこは将軍の城のある方向だ。
城下町で火災が起きたのか?
それとも何か危険を知らしている?
「早く行こう!」
ハルカは頷いて馬の速度を上げた。
間に合うか?
俺に何か出来ることは......
焦りながらにスキル一覧を見る。
黒翼...これなら...
「すまん、さきに行く」
サキュバスの娘を助けた時以来使って無いけど、上手く使えるだろうか?
いや、今は将軍たちの心配だ。
背中から大きい翼を開き、馬車の端から思いっきり飛び上がった。
飛び立った直ぐ、目の前から勢いのある向かい風が来たおかげで、高く飛び上がれた。
この勢いのまま...
高く飛び上がったと思ったら、前方から数百の魔物が群れになって突っ込んできた。
「嘘だろ?」
しかも城の方からこっちに向かってきている。
広範囲に広がる敵に、俺の全ての意識を集中させた。
スルト!
群がる敵の真ん中から、紅色の火の粉が渦を巻き、一点に集まった途端百体以上の敵を巻き込んで爆発をした。
その爆発に巻き込まれなかった敵に、伝染していくように何度も爆発が起きる。
これで大半の魔物は...
そう思ったが、城の遠くからまだ何百の魔物の大群が押し寄せてきている。
暗黒のスターダストを使うか?
いや、この程度の数にこのスキルを使ってしまったら、城下町が大変な事になってしまう。
レヴァイアサン...使ってみるか。
正直使ったことが無いから、予測が出来ない。
でも、これを使う以外の最善策が見当たらない。
――レヴァイアサン!
俺は身を削る覚悟で決断した。
すると空中に巨大な龍の様な、強靭な姿をしている、水で全身が構成された水獣が現れた。
前足と思われる部分には小さな翼が生えており、全身から湯気を放っている。
レヴァイアサンは俺の事を見つめて動かない。
どうやら命令を待っている様だ。
「レヴァイアサン、あそこの魔物を一掃しろ!」
命令を出すと直ぐに魔物に向かって動き出した。
近づいて行って、ある程度の距離まで着くと、口から光線を放つ。
「城や城下町は破壊するなよ!」
すると威力を弱めて、しかも精度良く敵だけを狙って光線を放った。
もはやレヴァイアサンにとってあの魔物たちを殺すのは、ただの作業の様だ。
魔物を殺しつくすと、レヴァイアサンは俺の元へ戻って来た。
「よし、レヴァイアサン...城下町まで俺を乗せて行ってくれ」
俺はレヴァイアサンの頭に乗って、城まで急いだ...




