九尾の名前
九尾の名前
abaudo;アバウド
俺たちは一週間の間、村の人とこの九尾の少女と共に過ごしていた。
何故早くここから移動しないのか。
それには理由があった。
「風、収まりませんね...」
九尾は少し戸を開いて外を見ては、つまらなそうに寝転がった。
「風神様は怒っているのでしょうか」
「まぁ、台風だったらすぐに収まるだろう」
と言ってもう五日も経っている。
流石に長すぎるとは思うが、自然災害に抗う方法なんてあるはずもない。
「ねぇラズ、ちょっとこの部屋暑くない?」
「まぁ湿気が溜まってるせいじゃないか? こんな状況だから戸を開けられないし、我慢してくれ...」
「ラズ殿、こっちの戸は大丈夫じゃないか?」
九条は比較的風の威力は弱い位置の戸に手をかける。
「そこを開けても意味はないだろう...それに今はハルカがこれからの旅の計画をしてくれているから、あんまり騒がしくするのはやめとこう」
「霊伝後殿は暑くないのか?」
「んー...私は大丈夫です...あと、私の事は霊伝後なんて堅苦しい名で呼ぶのはやめてください」
「そうか、それじゃなんて呼べばいいのだ?」
「そうですね...」
九尾の少女は視線を上げて悩む、そのまま暫く経つと俺の方に寄って来た。
「ラズさんに決めて頂けるとありがたいです」
「えっ!? 俺?」
「はい!」
「...そうだなぁ」
九尾だし、それに因んだ名前がいいよなぁ...
「そう言えばお前、なんか見た目変わったか?」
「そうですか!? うーん、気持ち的にはなんだか最近、ふわふわぁってして来た気がします」
「ふわふわ...」
「ちなみにどんな所が変わりました?」
「えーとなんだろうなぁ...前はもっと白かったけど、なんだか今はちょっと鮮やかな色合いになったというか...気のせいって言えばそうなるかもしれないけど...」
すると美乃が少女の耳や尻尾の先を指さす。
「なんだかここら辺に赤っぽいからじゃない?」
「あぁ! 確かに...前は先っぽまで白かったよな?」
少女は自分の尻尾や耳を折り曲げて確認する。
「あ、ホントですね...前はこんなのなかったはずなのに...」
心なしか彼女の頬も赤めに染まっている様な。
「赤と白か...なんだか巫女様みたいだな」
暇そうな九条が話に加わった。
「巫女様...かぁ」
巫女ねぇ...
「巫女と言えば、何となく狐のお面を持ってるイメージがあるわね」
「確かに、なんとなくだけどあるな...」
巫女...舞姫...稲荷...
うーん、どれもピンとこない。
「マヤ!」
俺は人差し指を立てて、ドヤ顔で言った。
「...どうした?」
「なんで九条が反応するんだ?」
「マヤは私の下の名前だぞ...」
「そうだった!」
「しかしなんでいきなりマヤなの?」
「なんとなく...」
九条は呆れた顔で目を瞑って、喉を鳴らした。
それと同じように美乃も、喉を唸らせる。
「どうした?」
「うん、名前を考えるのって難しいわね」
「まぁ、これから一生大事になる物だからな」
すると少女は高らかな声で言う。
「皆さん、そんな難しく考えなくていいですよ!」
「...ダメだろ、これから使っていく名前だぞ?」
「それはそうですけど...」
「決して可愛いからとか、何となくで決めちゃいけない物だろ?」
「さっき何となくでマヤと言ったラズ殿はどうなんだ?」
う...痛い所を...
「まぁまぁ九条さん、そう言う所はいいんですよ?」
「ラズ殿、全然説得力ないぞ...そもそもさっきのは...」
「いいからさっさと忘れなさい。 いいな? 忘れた、はい!」
「......はぁ」
更に九条に呆れられた。
「いっそのこと、巫女という名前でも悪くないような気がするがな?」
「えー...それは...」
「それ、実は私少し気に入ってて」
少女は目を輝かせながら恥ずかしそうに言った。
「それなら...」
「そうだな、それじゃ...字は...」
頭に漢字を思い浮かべる。
俺が想うミコで少女に合ってる漢字は...
「神袴...神の袴は...あー、やっぱりやめとこうかな?」
「え? どうやって書くんですか?」
俺は適当に紙に書いて見せた。
「へえ、可愛い! これが良いです!」
「あぇ...神のはかまだぞ?」
「字が気に入りました。 私がいいと言えばいいんです!」
何故そんなに上機嫌なんだ?
「まぁ、お前がいいんならいいけど...」
「お前じゃないです、神袴です! フフッ」
「そうか...それじゃ、これからは神袴って呼ぶぞ」
「はい!」
そうして九尾の少女の名前は、“神袴”に決まった。
【大切なお知らせ】
いつも“俺だけ悪魔で俺以外の同級生全員人生イージーモード”をお読み頂きありがとうございます。
皆様の応援があり、この小説をここまで続かせていただきました。
単刀直入に申しますと、タイトルを変更させていただきます。
変更後のタイトルは、“あらゆるスキルの保持者、創造と破壊の魔術”にさせていただくことになりました。
再来週の日曜日(9/19)に変更する予定なので、お見知りおきをお願い致します。
今後とも“俺以外の同級生全員人生イージーモード”基、“あらゆるスキルの保持者、創造と破壊の魔術”をよろしくお願いいたします。




