プロローグ
新連載を始めました!
頑張りますので、良ければ読んでやって下さい。
「スクナ、お前をパーティから追放する!!」
――――この言葉が全ての始まりだったと言っても過言ではないだろう。
俺はある日の事、パーティリーダーであるネクスト=ラクスアランの言葉によりAランクパーティから追放されそうになる。
それを言われた事からショックのあまり、頭からモロにズッコケてしまった。
ただ、その途端、俺には日本に住んでいた一般男性、東郷 誠志郎であった頃の記憶が宿っていた。
…………一旦、状況を整理しよう。
俺の名前はスクナ。姓と呼ばれるような大層な家系の出自ではない、貧民街の生まれだった。幼い頃に母を亡くした俺は死ぬ寸前だったところで同い年であった貴族出の放蕩息子、ネクスト=ラクスアランに拾われた。
ほぼ死ぬ寸前であった頃に拾われた事もあって、以来俺はネクストの下僕として生きてきた。彼の為に尽くし、彼の為に死ぬ。それが俺にとって生きる意味であり、なおかつ生きる事の出来る唯一の術であった。
幼い頃から戦闘において多大な才のあったネクストを助ける為、俺は必死で補助魔法を習得していった。勿論、貧民である俺は上等な学院での修練など受けられる筈もなく、ほぼ全てを我流で習得していた。
今では幾重もある補助魔法は勿論、回復や儀式魔法もお手のものだ。当時は生きる為に必死だったから寝ずの修練を行っていた事もあって、それなりのレベルであった事は間違いない。戦闘に際して補助魔法の重ねがけは間違いなく、ネクストは勿論、他のパーティメンバーに対しても有益であった事だろう。
ネクストはそんな俺に対して礼を言う事はただの一度もなかった。戦闘での功績は全てネクストのものとなるばかりか、給金などは一切貰えない。雑用も押し付けられ、更には教育と称した折檻などを幾重にも受けた。きっとネクストは幼少の折、気まぐれで俺を拾ったのだろう。それは分かっていた。分かっていたが、ネクストがいなければ今の俺はいない。彼の為に尽くし、彼の助けになれば良い。それこそが俺が生きるたった一つの自負であった。
――――と、ここまでが俺、スクナの『設定』。
今の俺にはスクナとしての記憶の他に、日本で生まれ育った二十四歳の青年、東郷誠志郎であった頃の記憶がある。社畜としての忙しい毎日を送っていた俺はある日の仕事終わりに車に引かれてしまったのだった。車に追突される寸前までは記憶があるが、きっとそのまま死んでしまったのだろう。
そんな俺の生前、数少ない趣味が幼い頃から大好きだったRPG『シャイニングナイト』シリーズをプレイする事。癖の強いJRPGであった事から決してバカ売れしているようなビッグタイトルではなかったが、それでも丁寧な作り込みとぶっ飛んだキャラクターで根強いファンのいる作品だった。数年に一本のペースで新作が作られ続け、その度に俺は新作をプレイし続けていた。なんなら旧作も折に触れてはプレイし続けていた。このシリーズに費やした時間は千や二千では足らないだろう。それくらい何度となくプレイしたゲームであった。
そんな『シャイニングナイト』シリーズ最後の一本である『シャイニングナイト・ラストフロンティア』における主要キャラクターの一人が何を隠そう俺、スクナだ。
つまり……一体何がどうなってこうなったのかは甚だ疑問だが…………、現代日本で死んだ俺は俺の愛したゲームシリーズの色々な意味で「非業」のキャラクターであるスクナに転生してしまったらしい。




