01 夕暮ヤミ
俺は生まれてきてよかったのだろうか・・・?
ごくごく平凡な家の、ごくごく平凡な家族。
それすらも叶わなかった俺は今日も何も考えずに生きている・・・。
桜が咲く季節ーーーー
今日から新学期を迎えるのに心にポッカリと穴が空いている。
俺の名前は夕暮ヤミ、今年で高校3年生になる学校で1番…いや…県内で1番不幸な高校生だ。
不幸だと言う理由は家庭環境が最悪で、母は父の借金や浮気に耐えられず離婚、俺は父に引き取られたが当たり前のように暴力され身体中は痣だらけになっている。その痣だらけのせいでクラスメイトは俺を怖がり誰も近寄らない、話しかけもしない、そう…俺は家や学校なんかに居場所なんてない。
ーーーーーもう、何年も続いてるし、馴れたけどな。
今日も何も変わらない、何も考えずに生きる毎日が続いている。
骨折しても痛みなんて忘れてしまったから気にしない、腕がブラブラしてるだけだ。流石に学校の先生達は俺の骨折した腕を見れば慌てて病院に連絡するが、どうでもいい。
そんな状況でも俺は誰とも話さないし声を出さない。
頭の中で1人ぶつぶつ脳内で喋るのが当たり前になっているから。
表情も物心ついてから変えたことがない…喜怒哀楽というが「喜怒哀楽」とはなんなのだろうか…?辞書で調べても意味が解らないが、俺の人生には必要のないことだ。
ーーーーーキーンコーンカーンコーン
学校のチャイムが鳴り生徒達が帰りだした。
今日も何もない1日が終わったと無表情で学校から出る。
帰りの通学路に桜がチラホラと咲いているが、もうほとんどが散ってしまって地面に落ちている。
まるで血池みたいだな・・・。
なんてことを思った矢先の出来事だった。
キキーーーー!!!!!
ちょうど左折した俺の目の前に大型のバイクがこちらに向かっていた。バイクの運転手の顔は見えなかったが、俺はこれからこのバイクに轢かれると安易に想像できた。
ドガシャーーーン!!!ガガガガ!!!!
思いっきり跳ねられた俺の身体は数メートルほど飛ばされた。
普段から最低限の食事しかしてこなかったからか、ガリガリの細身の俺の身体は軽く宙を舞った。そして、そのまま頭から地面に叩きつけられた・・・。
・・・なんだろう・・・
・・・・・・意識が・・
・・・・・・・ああ…ボーッとする・・
視界がだんだんと暗くなっていく間際に俺は、このまま死ぬんだろうと思い、ゆっくりと眼をつぶった・・・・・・。
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・。