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第58話 僕と俺の失敗

第2章、開始。

ゆっくりと更新していきます。

感想があれば多少は早くなるとは思いますがw

ボチボチ、マイペースで行きます。

 

 昔、僕は妹を守れなかった。


 絶対絶命の中、兄貴に守られながら燃えさかる基地の中を走った。

 妹の手を引きながら、とにかく兄貴の背を追った。

 あの時、僕は妹に言った。

 泣きじゃくって、擦り傷と涙と煤で汚れた妹の目を見ながら。


『俺に付いてくれば大丈夫だ!』

『…………うん!』


 それから、たった数秒後。

 爆風と共に現れたINVELLの一撃で妹は死んだ。

 横から急に現れた巨大な蟹型のINVELL。

 それが振り下ろしたハサミが、まだ8歳だった妹の頭上に落ちた。

 トマトより脆くて、文字通り一瞬だった。

 そして僕の左手には、千切れた妹の右腕だけが残った。


 僕があの時生き残った理由は運だけだった。


 それから一人称で『俺』と言うのを止めた。

 あの頃は、男らしさと大人への憧れを感じて口にしていた言葉だった。

 妹さえ守れない兄が使うべき言葉じゃないと思ったから。


 それから10年後。


 自分の事を『僕』と言っていた自分は――式守直也という自分は、また近くにいる人を守れなかった。

 重傷を負った相棒(バディ)の天羽智花は意識不明の重体。


 あの時を何度も思い返して反省はした。

 カウンセリングを受けながら改善もした。

 技量も体力も、戦う力は間違いなく向上した。

 だけど無駄だった。


 人類を守るために生み出された“式守”シリーズ。

 自分は今回もその義務を果たせていない。

 また失敗した。

 失敗した。

 失敗した。

 失敗した。


 一人称を代えても無意味だった。


 これは『俺』の間違いだ。

『俺』を捨てて『僕』になれば、妹を救えなかった辛さを誤魔化せると信じた俺の間違いだ。

 僕のまま、普通に生きても後悔はやってくるんだ。

『僕』と『俺』は違うと思い込んだ現実逃避。

 そんなこと意味が無かった。

 意味が無いどころか、また同じ失敗をした。


 また同じ。

 同じ。

 同じ。

 …………僕と俺はもう一度するのか?

 もう一度、同じ失敗をするのか?


 嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。

 嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。 

 嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。

 嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。


 だったら……。

 今度こそ……。

 だからこそ――――。


 今度こそは助けよう。

 何があっても助けよう。

 妹とは違う。

 相棒は、彼女はまだ生きている。

 彼女を――天羽智花を助けよう。

 いや、天羽智花を助ける。


 出来なければ。

 僕は妹に…………。

 いや、『俺は』妹に顔向けできない。


 だから、僕は俺になる。

 僕は消える。

 俺は逃げない。

 俺は逃げない。

 俺は逃げない。

 何が何でも――――。

 俺はもう逃げない。


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