表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

第五話:AIのいる生活

 互いに支え合うから、人。

「起きて、橘くん起きて」


 橘くんの肩をぽんぽんしてあげると、すぐに目を覚ました。


「トオルくん、時間は大丈夫?」


『ああ。すぐ起きたから問題ないよ。さあ、お隣さん、着替えてきなさい』


 状況が分からないのか、キョトンとしている橘くん。なんか可愛い。


「な、なんで……」


 なんか顔が赤くなっている気がするけど、どうしたんだろ?


「もうすぐご飯できるから、着替えてきて? 今日は大事な資格試験の日なんでしょう?」


「ご、ごめんなさい!」


 訳が分からない。そんな顔をしながら、バタバタと部屋に帰っていって、インターホンを鳴らして戻ってくる。


「あ、あの、ほんとにいいんですか? 朝食」


「もちろん。しっかり食べて、頑張ってきて」


 行ってらっしゃいと送り出したあとは洗い物。やっておかないと、仕事帰りの疲れてからになってしまう。


『彩さん、時間はあるかな?』


「なあに? トオルくん?」


『大事な話があるんだ』




 あれから時は過ぎ、

 お隣の橘くん、橘透(たちばなとおる)くんは、資格試験に見事合格。バイトを辞めて、資格を生かした仕事に転職したとのこと。その影響で、アパートを出ることになった。


 私にAI婿を洗脳じみたやり方で猛プッシュをしてきた先輩は、見かねた親がセッティングしたお見合いで出会った男性とゴールイン。寿退社してしまった。

 お見合いから一年もしないうちに産んだ子どもを、幼稚園に預けられるようになったら、職場に復帰するとのこと。

 少し前に子連れの先輩と会ったら、


「結婚も子どもも良いものよ! 私、誤解していたわ!」


 と、豪快に笑っていた。


 幸せそうで何よりです。



 そして、私は。


 アパートからに移り住んでいる中古の一軒家のリビングで、プロポーズを受けていた。


「俺と、結婚してください」


 たった二年で、中古の一軒家を買って、リフォームして、指輪を用意して、結婚資金まで用意して、離れて暮らす親にまで話を付けて。


 あれから、AIのトオルくん、改めトオルさんと一緒に、二人にずっと支えられてきた。断るなんて考えられない。


「私で、良ければ……喜ん、で」


 喜びの涙で、返事がつっかえてしまう。けれど。


『良かったね、彩。幸せになるんだよ? これからだよ、透。二人と、これから産まれてくる子どものためにも、頑張るんだよ』


 指輪をはめてもらい、幸せを噛み締める。

 喜びの涙が、止まらない。


「ありがとう、トオルさん。ありがとう、透くん。私と、一緒に、幸せになって?」



 結婚は、人生の墓場だって、先輩が言っていた。

 けど、こんな幸せな墓場なら、喜んで、残りの人生を捧げよう。


 AIだけれど、私を支えてくれる、トオルさん。

 年下だけれど、私を愛してくれる透くん。


 二人と一緒で、私は、幸せです。

 お幸せに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 一気読みしてしまいました。 AIの説明部分が不穏な感じだったので不安だったんですけど、ハッピーエンドで終わって良かったです♡ なるほど。 橘くんが反応したのはそういう事か( ´∀` )
[良い点] 幸せに終わった事 [気になる点] トオル君は〜? [一言] みんな楽しい?
[良い点] ハッピーエンド最高。 極限状態で、あんなに優しくされたら。ねぇ。 もう女神さま確定ですよ。 [気になる点] 試験の最中も彩さんに事考えてたんだろうなぁ。 そしてトオル君の大事な話の内…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ