第二話:AI起動
機械音痴には、説明書を読むことすら苦痛に感じる。
さて、電源オン。ポチッとな。
タブレットの画面にはイケメンのAIが、……映りませんねぇ?
仕方がないので、取扱い説明書を箱から取り出し最初からめくっていくと……。
・電源をいれましょう
・・電源スイッチを押す(図参照)
・・しばらく待つ(起動に数分かかります)
えー。店員さんパソコンより速いって言ってたのに。
仕方がないので、しばし待つ。
「ひまー」
待つ間、お湯でも沸かしましょうかとヤカンをかける。
部屋に戻れば、画面には気分が落ち込みそうになる文字が。
『インターネットに接続して、サーバーからデータをダウンロードしています。現在0%』
まだ待つの? 他にかいてる文字に目を向けると、
『通常ダウンロード完了まで : あと83分』
もー、こんなに時間かかるなんて、店員さんも偉いおじさんも言ってなかったんですけど?
仕方がないので、夕飯という名の夜食を食べて、洗い物して、お風呂に入っちゃいましょう。
さて、お風呂上がりに髪を乾かして部屋に戻ると、画面には、
『ダウンロード完了。AIキャラクターを選択してください』
とある。
選択できるのかー。
ワクワクしながらタブレットの画面を操作していくと、ファンタジーな色の髪と目を持ち、キラキラな光が舞っているような、目も眩むイケメンが揃っている。そんななか、妙に気になるキャラがいた。
黒髪黒目な日本人顔のキャラだ。
おっとりタレ目な少し年上のお兄さん。
イケメンではないけれど、なんだかほっとするキャラだ。ゆるキャラ?
このキャラにしよう。ポチッとな。
『キャラクター設定完了。声を設定してください』
まだやるの? うんざりしながら、サンプルの文字を押す。
『サンプルボイス』
穏やかで優しい感じの、キャラのイメージに合う声。
けど、サンプルって、なにか一言言うんじゃないの? サンプルと言わせるセンスって……。
『サンプルボイス』
『サンプルボイス』
『サンプルボイス』
……うん、20種類のサンプルを全部聞いたけど、最初のやつが一番良かった。
時間無駄だったよ。
まあ、声変わりしてない高い声から、威圧してくるような低くて怖い声まで、色々あったのは面白いと思う。
うん、無駄じゃなかった。
さて決定、ポチッとな。
『設定を確認します。これでよろしいですか?』
はいはい、早くして?
『設定を確定しました。後悔しないでくださいね?』
なんで後悔? 怖いんですけど?
『AIはあなたの生活をサポートするためのものです。あなたの人生をダメにするためのものではありません』
怖いよ!?
『用量用法を守り、正しく利用しましょう』
薬かーい!?
『AIに支配されないように。いえ、余計なお世話でしたね。サポートAIを購入する時点で、既にあなたは……いえ、止めておきましょう』
怖いよ! なんで途中で止めるの!? 気になるよ!!
『では、サポートAI:二次元嫁・SIDE黒髪フツメンお兄さん、起動します。……いい趣味してますね?』
余計なお世話だよ!!
メインシステム、フツメンモード、起動します。