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第一話:AI購入、設置

 日々の疲れに、癒しを求める。

「よし、これで、たぶん」


 職場の先輩が、「AI嫁/AI婿」という、モニタ越しのAIがイケボで癒してくれる、という話を興奮しながら薦めてくる勢いに負けて、閉店間際の家電量販店へ駆け込む。

 あとになって思えば、買わなきゃいけないと思い詰めていた気がする。

 閉店時間をオーバーしてまで買ったのは、タブレット端末とテーブルとかに設置して固定する台座、あとは、なんとかチップ搭載の、小さくて薄い……なんかアレ。

 設置込みのプランにしたら、それまで嫌そうな顔していた若い男性店員が、にやぁといやらしい顔をして変なことを言ってくる。


「ああ、なら、俺がお姉さんの家まで行きますよ。そのあと」


 頭バーコードなおじさん店員に、言わせねえよ!とばかりに乱暴に口を塞がれ、連行される青年店員。超速い。びっくりですよおじさん。

 遅い時間にきて、分からないからとあれこれ聞いて、閉店時間過ぎたのはごめんなさいだけど、青年との間になにがあったのかと首をかしげた。ちょっと乱暴じゃないです?


 で、それなりの地位にいるという頭バーコードおじさん。


 丁寧に何度も頭を下げてもらって、(頭のてっぺんマジでバーコード。笑わす気か?)

 名刺をもらって、自己紹介を受けて、(ここまでは普通?)

 車で家まで送ってもらって(サービスの範囲? 家に直帰するとか言ってたけど)

 説明を受けながら設置をしたわけだ。


 ……深夜と呼べる時間帯に、

 一人暮らしのアパートに、

 知らないおじさんを部屋に招いて、

 玄関に鍵まで掛けて。


 この日のこと、あとでしこたま怒られたけれど。


 けれど、私だって、日々の生活に癒しが欲しかったんですよ。



 台座の方が本体らしく、タブレットは持ち運べるモニター。台座から延びるコードをコンセントに差しておけばタブレットを台座に設置すると充電が可能、と。


 付属のタンス、じゃなくて、端子をパソコンやテレビの画面に挿せば、大画面でやれるとか言ってたけど、機械音痴にカタカナ文字連発されても分からない。

 さらになんか言い始めるので、めんどくさくなった私は、あとは自分で、とおじさんを追い出すように帰してしまう。


 知らないおじさんを部屋から追い出すと、大きく息を吐き出した。疲れていたんだろう。たぶん。

 端子を挿す、といったときの擬音語が卑猥に聞こえたのも気のせい。たぶん。


 とにかくこれをちくっと挿せば、って、注射かーい!

 鼻息荒くしていたおじさんとのやり取りを思い出して、また疲れた。


「よし、これで、たぶん」


 次は電源を入れて、設定だ。

 画面見ながらやってりゃ分かるってあの青年店員は言ってたけど、客に言う言葉じゃなかったと思うけどなあ?

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