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第4話  チートって何?

謎のカードで残額が表示され、その金額で購入できることは判った。

だが、購入できる物・購入できない物の条件は、依然謎のままだ。


さっきは

いざという時に使えないと致命的、という状況もあるかもしれない

などと、言っていたが、どうだろう?

人間腹が満たされると、危機感が減るのだろうか?

ぶっちゃけ、とりあえず食の心配が無くなったので、それでいいのではないだろうか?


危機意識の欠如?

いやいや、優先順位の問題だ。


人間は食わねば生きていけない。

だが、とりあえずしばらくは食っていけることは保証された……と思う。


となると、衣食住の食はOK。

衣は今着ている物があるので、とりあえずはOK。

今後着替えをどうするか?

という問題はでてくるが、今すぐに必要な訳ではない。

となると、問題は最後の住である。


俺は今、何処か判らない草原にいる。

そして、人がいる町、村が何処にあるかもさっぱりわからない。

人は睡眠無しに生きることはできない。

このままでは、俺はこの草原で寝ることになる。


どんな凶悪な獣が生息しているかもわからない。

もしかしたら、もの凄く凶暴な魔獣とかもいるのかもしれない。

何より、どんな虫がいるかも判らない、こんな所で寝られるわけがない。


そこっ!

虫ぐらいでと思った貴方!

そうアナタ!


いいかい。

ここは、医療の発達した日本ではない!

ましてや、どんな虫がいるかも判らない土地。

毒を持っている虫がいるかもしれない。

あるいは、1匹では怖くは無いかもしれないが、群れになると脅威を増すもの。

日本でも一時問題になった様な、ある種の病気を媒介する虫。

異世界独特の害を、為すものがいるかもしれない。

という事で、たかが虫とあなどってはいけないのだ!


そして、何より警戒しなければならない最狂・最悪の生物――人間に襲われるかもしれない。

必ずしも、固体が強いとは限らないが、アイツ等の厄介な点は、第一に群れを成す事。

数の暴力――ちょっと表現が違うか?

多勢に無勢という言葉があるように、普通は数が多い方が勝つ。

例外もあるが、例外と言っている時点で、普通では無いのだ!


第二に、多少の知恵があり、狡賢い事だ。

騙まし討ち、罠を仕掛ける、人質をとる等、あらゆる卑怯な手を駆使してくる。

別に正々堂々としていないから良くない、などとは思わない。

寧ろ、生き残るためならば、俺だって卑怯と言われる手段をも辞さない。

要は非常に有効な手段であることは否定できないのだ。

それ故に使われると、厄介であること極まりない。


第三に………ってもういいか。

そんなことを考えている時間も、勿体無い。

今日の夜を安全に過ごす為に、町ないし村で宿をとるか、最悪安全に野宿できる場所を探さねば!

のんびりしている時間は無い!

――さっきまで、のんびり飯食っていたじゃん! って突っ込みは受付終了しました。

あしからず。


そもそも、今は何時なんだろう?

つい、いつもの癖で左手首の腕時計を見ようと、目を向けてしまう。

当然、そこに腕時計は無い………んだが

…………10時14分か。

よし、まだ午前中だったか。

それならば、頑張ればそれなりに移動できるだろう。

よし、移動開始だ!


…………………って待てぇ~~い!

何だこれ?

慌てて、もう一度左手首を見る。

うん、時計は無い。

そして、今は(・・)手首になんの異常もない。

………

人は学習するものだ。

学習できない人など、猿と変わらない。

いや、言いすぎた。

あまりに失礼だ。

謝ろう。

ごめんなさい、お猿さん。

そうだよ、猿だって学習できる。

つまり、猿以下……だと猿を含んでしまうから、猿より遥に劣る。


いや、猿はどうでもい……いや、どうでもいいはダメかな。

最近は迂闊な事を言うと直ぐに炎上したりするからな。

まぁ、SNSやっていないけど……

とりあえず今は、猿は関係ない。


今、話題にしなければならないのは、何となく使い方が判ったという事だ。

多分、これでいけるだろう。

今、何時だろうと思い浮かべてみる。

ビンゴ!!

左手首に「10:15」と表示された。

そう、左手に直接表示されたのだ!


さっきは30秒もしないで表示が消えたので、恐らく今回もそうだろうと思い時間表示を見続ける。

…………「10:16」…………「10:17」

あれれっ、消えない!

何でだ!

さっきは、こんなに時間がかからずに表示が消えたのに。

えっ、今後ずっ~と表示されたまま?

邪魔ではないが、何かカッコ悪いような………

必要のない時は消えて欲しいなぁ~と考えた瞬間、表示が消えた。

………

そうか、表示するように思い浮かべて表示されたのだから、消えるように思えばよかったのか。

あれっ、でも、さっきは消えるように思い浮かべなくても消えたよな?

………

まっいっか。

これはさほど問題ではない。


それにしても、地球の神(?)様ってば。

チートは無いって言っていたのに。

このツンデレさん。

しっかり、チートがあるじゃんよ!

有ると思っていて無いと凄くガッカリするけれど、無いと思っていたらやっぱり有ったとなると、凄ぇ~嬉しい。

手紙で散々おちょくられた事も許せてしまう。

いやぁ~、いい仕事してますね。


よし、この調子でこの辺りの地図を思い浮かべれば、町か村の方向も判って大助かりだ!

では、この辺りの地図を表示してくれるように思い浮かべる。

……………

……………………

………………………………

…………………………………………

……………………………………………………

あれっ?

おっかしいな、表示されないぞ。


えっ、どうして?

そういうチート能力じゃないの??


あっ!

そうか!

移動した場所しか表示されないタイプなのかな?

こっちに来てからほとんど動いていない。

だから表示されない?


だとしたら、不便だな。

町か村の方向が判らないじゃないか!


じゃあ、アレだ!

何かレーダー的なヤツを。

敵のいる方角や数なんかが判るヤツ。

人間も表示されれば、人間がたくさんいる方向へ進めば辿り着くだろう。

よし、そんな感じのヤツ表示して!

……………

……………………

………………………………

…………………………………………

……………………………………………………

あれれっ?

おっかしいな、また表示されないぞ。

指示が曖昧なせいか?

「索敵!」

「サーチ!」

「レーダー!」

「偵察!」

「……!」

「……!」

「……!」

「……!」

思いつく限りの言葉を連呼してみるも、反応は無い。


ここで改めて思う。

あれっ、やっぱりチート無くねぇ?

いや、いや。

まだ判らない。

そう、まだあせるような時間ではない。

落ち着け俺。

生前読んでいたネット小説では、このような展開ではチートがつきものだ!

きっとあるに違いない。


そうだ、肉体的なチートがあるかもしれない。

15歳の時には既に目が悪かった筈なのに、今現在よく見えているじゃないか!

そうだよ!

きっと、思いっきり高くジャンプできるとか、もの凄く速く走れるとかあるに違いない。


まずは、軽くジャンプして見る。

……………

凄く高く跳べた……訳ではない。

普通の高さだな。


ちょっと、走ってみる。

……………

とてつもない速さで走れ………る事はない。

いたって人並みの速さだ。


もしかして、もの凄く怪力になっているかも、と先程のおでん缶を握り締めてみる。

……………

缶をまるで粘土を捏ねる様に丸められたり………は勿論できない。


ラスト1回と、その辺に落ちている手ごろな石を手に取り、投げてみる。

……………

時速160kmの速さがでることもなく、

外野の深い所から、ホームベースまでノーバウンドのストライク返球できるような遠投もできなかった。


うん。

認めざるをえないか。

少なくとも、肉体的なチートは無いと!


無いと思っていたものが、有るかもと思って凄く喜んだ後に、やっぱり無いと判る。

何かダメージが3倍になった気分だ。

見事なトラップだよ!

くっそ~ぅ!

嫌ぁ~、いい仕事してますね。


となれば、気分を変えて、この道をどちらかに進むしかない。

チートが無いなら、急いで町か村か安全な野宿ポイントを見つけねば!

右か、左か。

どちらの先にも、人影も見えなければ、町やら村らしきモノは見えない。

どっちに行けばいいのか判らない。


よし!

「ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な、天・の・神・様・の………」

右・左を交互に指しながら、どっちに向うかを決める。


手が止まった。

俺の手は右を指している。

「決まった!こっちに行こう!」


俺はに向って歩き出した。

誰が神様なんか信じるもんかぁ~!!!


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