○○と晶
「私はお前が好きなのかもしれない」
____の口から発された言葉に、口に含んだコーラが喉に引っかかり、噎せてしまった。
「ゴホッ!……は…?お前……何言ってんの…?」
左手で口を押さえ、右手で鞄を漁ってティッシュとハンカチを取り出す。
____は、そんな__を見て、ゲラゲラ笑い
「嘘に決まってるだろ!」と、目尻に溜まった涙を人差し指で拭いながら言った。
「おい…____、笑いすぎ。」
いつもより低い声で____の名前を呼ぶと、数回頷き、嬉しそうに
「ごめんごめん、でも…そんな反応するってことは…?」
と言った。
「んなわけあるか」
「だよねー!」
……なんか、こいつといたら…ずっと振り回されてるような気がする。
こいつの言動に困り果てていると、そいつはニヤニヤと笑い、自分の髪を撫でながら質問をしてきた。
「__、私茶髪似合う?」
話を変えるタイミングが唐突すぎる…
ん?あー…そういえば、こいつ…一昨日髪染めたんだっけ。
地毛は茶寄りの黒だったからそんなに変化はないけど……。
いざ言われてみれば、茶が濃くなってる気がする。
……こいつには…正直に、感想を言った方がいいかな。
「似合うけど」
「けど?」
「黒の方が____らしくて好きだった」
というと、嬉しそうに数回頷き、こう言った。
「そっか…なら」
「なら?」
「__が卒業したら、黒に戻して会いに行くよ。」
言い終わった後、にんまりと微笑み、自分のドリンクのストローを、嬉しそうに噛んだ。
……なんだ、それ。
「勝手な事言ってあいつら困らせんなよ?」
「せっかく手に入れた立場なんだから、利用させてもらうよ?」
「……はいはい」
……これじゃどっちが年上か分かんないな。
……こいつなら、
こいつなら、信じられるかもしれない。
なんて、
……あぁ、コーラって…こんな味だっけ。
…____。
__は、お前を愛せるようになりたいよ。




