表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
本当の主人公  作者: 正さん
蛇足
85/87

沢田




死にたいと思った。

そう思ったのはアコースティックギターの音がやけに喧しくて。

流れている歌声が汚く聴こえた時だった。


そういう風に聴いてしまう僕の、私の心というか、俺の耳というか、まぁ、全てが汚いんだろうけど。

どうせ金を稼ぐ為に作ったんだろうとか、思ってしまう自分が、自分の何もかもが汚くて。

指の先を水で濯いでも、二の腕に爪を立てて洗っても、痛いだけで綺麗になるわけがなくて。




今すぐに死んでしまいたかった。

洗面器に満ちた水に、頭を沈めてしまいたかった。




水が溢れる音が聞こえたのは、そのすぐ後だった。

薄い鉄の匂いがした気がする。

喉の奥が乾いて、渇いて。

酸素でも、水でもない何かを渇望している事に気付いた。


存在価値なんて大袈裟なものじゃなくて

ただ、ただ


ただ



居場所が欲しかった。



アコースティックギターの曲。

イントロがまた流れてる。

なんかリピートにしてる。

嫌いなはずなのに。

汚いはずなのに。

自分の心の汚さが

露呈するから嫌だって

思って

思ってたのに


思ってたのに









本当、綺麗な声だな。




そっか。



私達、もう話せないんだね。





2024年XX月XX日 沢田

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ