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本当の主人公  作者: 正さん
二章
16/87

16話「ねえ、びっくりした?」




ノートには、こう書かれていた。







__________________________




5時34分起床

二度寝、7時24分起床、目覚まし時計を破壊。

目覚まし時計に怒ってるあの人が可愛かった。

起きた後すぐに洗面台に行き冷水で顔を洗う。

歯を磨き、隣の家の猫に餌をあげ、自らも朝食を食べる。

朝食は2日連続インスタントの焼きそば。

朝食がインスタント…料理が出来ない貴方も可愛い。

携帯で予定を確認しながら朝食を取り、始業式だと言うことを確認する。

焼きそばを片付け、制服に着替え、大急ぎで自転車に乗る。

高校に到着し、自転車を降り、階段を大急ぎで駆け上って時計を確認し安心する。


クラス表がなかなか見れなくて背伸びをしてたのが最高に可愛かった。

あの人に話しかけられた晶が憎い。

僕に頼ってくれたら人なんてかき分けられたのに。

それと智明という男が憎い。

あの人の背中を叩いてた。

ただ幼馴染なだけであの人をバカにしてる。

僕だっていつでもそばにいるのに、なんであいつばっかり。


始業式

幸せ、目が合った。

4回もこっちを見た。

目が合った時笑ってくれた。

笑ったって事は不快じゃないって事。

見てても不快じゃないならずっと見てていいかな。

あの人以外の自己紹介なんてどうでもいい。

あの人の好きなタイプは友達思いな人。

自分は当てはまっているかな。

あの人の事ならいつでも思ってる、それじゃダメかな。

ダメだろうな、僕は貴方の友達じゃなくて恋人になりたい。


あの人が話しかけてくれた。

あの人からすごくいい匂いがした。

自己紹介なんていらない、名前も何もかも全部知ってる。

智明に肩を抱かれた、鬱陶しい。

あの人に肩を抱かれたい。

あの人の笑顔を間近で見れた、幸せだ。

あの人がまた僕をじっと見つめた、幸せ。

智明は邪魔だけど、いつか二人で出かけたい。


智明と揉めてるあの人も可愛かった。

正直、あのまま喧嘩してて欲しかった。

そしたら、あの人のそばにいる人が僕だけになる。

いつかそうなってほしい。

でもあの人が『僕を巻き込みたくない』と言ってくれた。

両思いかな。

両思いだ、きっとそう。

そう思い込もう。


あの人に名前を呼んで貰えた。

嬉しい、何回も呼んでもらえるようにいっぱい話しかけなきゃ。

でも、あの人が気に入ってるこのキャラも大切。

本性を出したら絶対に嫌われる。

晶の言った通り、弱い人間のフリをしなきゃ。


フードコートで姉さんの友達と会った。

あの人以外からの好意なんて、不快でしかない。

それが姉さんからでも。

あの人とご飯を食べた。

たこ焼きを選んで正解だった。

いつもより何倍も美味しかった。

幸せだ、もう、死んでもいい。


あの人とゲームセンターに行った。

音ゲーをしてたらあの人がずっと隣にいた。

心臓が壊れるかと思った。

幸せすぎる時間だった。


IDを交換した、スクショして印刷したい、愛おしい。

それとあの人がバイトをしているコンビニを見つけた。

目をつけてたコンビニの1つだった。

勤務時間は大体予想できる。

5回に1回くらいの確率で会えるように計算しよう。

そうじゃなきゃ偶然会えたって状況にならない。

あの人のバイトしてる姿は、きっとかっこよくて世界で一番素敵だ。



僕は、7月8日生まれのO型

好きな食べ物はハンバーグで

嫌いな食べ物はタコと魚介類

タコが嫌いな理由は吸盤の食感。

魚介類が嫌いな理由は小さい頃歯茎に骨が刺さったトラウマ。

猫派できのこ派つぶあん派な

























松田龍馬

貴方を愛している。

貴方の為なら、なんだってできる。



___________________________




「…えっ……。」


なんで…僕の事を書いてるの…。

それに、愛しているって…。


脳の処理が追いつかないまま、次のページを開くと、こんな事が書かれていた。










___________________________





龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん龍馬さん


__________________________________






反射的にノートを閉じてしまった。


「…何……これ……」


手が震え、目が忙しなく動く。

脳に汗が流れるような感覚がし、うなじに意識が集中する。

脳が自分の許容範囲を超えた時、人はこんな感情になるのかと感じた。



まさか、と思い写真の入ったファイルを開くと、

予想通り、僕の写真がみっちりと入っていた。


どこを開いても全て僕が写っている。

制服姿や寝起き、それに着替えている時やお風呂に入ってる時の写真まである。


中には、どこで手に入れたのか、中学の時の修学旅行で、智明と一緒に撮影した写真もあったけど、智明の部分だけが雑に切り取られていた。


……なに…これ……。


脳が正常に働かないまま、ファイルをパラパラと開いていると、挟まっていたのか、一枚の紙が落ちてきた。


そこには、乱雑に書かれたノートとは違い、とても綺麗な字でこう書かれていた。



「龍馬さん

今引き出しの中を見ていますね?

ええ、貴方の行動なんて全て分かっています。

ここに隠したのも、部屋に一人にしたのも

連絡先を交換したのも

あの日貴方に誘ってもらえるように

前髪を伸ばして貴方のお気に入りになったのも

全部、今日という日のため。」



背中に、汗が伝う。

手が震え、恐怖で声が出ない。







その時、扉が開き

鍵がカチャリと閉まる音がした。


「……やっと捕まえた…まさか一年もかかるなんて。」


首を少し傾げ、ドアの前でニタリと微笑む明人君。


額から頬へ汗が流れ、顎を伝い太ももにポトリと落ちる。


(…逃げなきゃ)


そう決意するも、足がすくんで動けそうにない。

顔を上げると、すぐそこに嬉しそうに笑う明人君が。


抵抗の為、声を必死で絞り出すと

「……怖いよ…明人君…」

怯えからか、自分の声じゃないような震えた声が出た。



すると、この声のおかげか、明人君がピタリと動きを止め、目を見開き僕をじっと見つめた。

「…龍馬…さん……。」

…よかった…やめてくれた。


しかし、そんな明人君の口から出た言葉は、僕の予想を裏切る言葉だった。







「…あぁ…やっぱり…怖がってる貴方も可愛い…。」




少し首を傾げ、自分の唇を撫でながらそう呟く明人君。

髪の隙間からちらちらと見える目で見つめられると、恐怖が倍増し、また体が強張った。



ど…どうしよう…こういう場合ってどうすれば…。

なんて考えていた次の瞬間、腕を掴まれ、床にぐっと押さえつけられてしまった。

明人君の華奢な身体からは想像もできないくらい強い力で。

「あ…明人君……?」

「龍馬さん…貴方をこうして愛せる日をどれだけ夢想したか……。」


と言いながら、顔をぐっと近付けられる。

目に明人君の前髪が入りそうで、ぎゅっと目を瞑ると、クスクスと笑い


「…ふふ……このままじゃしにくいので、ちょっとピンで止めますね。」


と言い、ポケットからピンを取り出し、慣れた手つきで前髪を横に留め、また僕の腕を押さえつけた。


こんな状況で言える事じゃないかもしれないけど、明人君は、本当に顔が整っているなぁ、と思っってしまった。


すると、僕が見惚れていることに気付いたのか、僕の目をじっと見つめ、こんな事を話し始めた。




「龍馬さん、僕の顔よく見てますよね。

かっこいいですか?可愛いですか?ブサイクですか?

今よりも綺麗な二重が好きならメイクについて詳しくなります。

鼻が今よりも高い方が好きならすぐに整形します。

この目が怖いですか?なら今すぐにでも抉ります。

顔だけじゃない、

体型も性格も名前も性別も何もかも

全て貴方の好みになります

胸は大きめが好きですか?

足は細い方が好きですか?

全部教えてください。

僕も、貴方に全部を教えます。

だから…お願いです。

もう二度と、その綺麗な瞳には僕しか映さないで。」




僕から少し顔を離し、馬乗りの格好で自分のカッターシャツのボタンを外し始める明人君。

そんな明人君の行動を見ていると、これからされる事が過ぎり、血の気が引いていく。



「明人く…やめ…」


否定する言葉を言い終わる前に、


強引に唇を奪われた。



「ん″…っ!ちょっ…。」


明人君から顔を無理やり背けると、ガリッと音が鳴り、僕を見下ろしている明人君の唇から、ジワリと赤色の何かが滲み始めた。


「………っ…。」

…唇…噛んじゃったんだ…。

「……!ご…ごめん……。」


反射的に謝罪の言葉を口にすると、優しく微笑み

「…良いですよ、気にしないでください。」

と言ってから、唇の切れた所を舐め、また僕にキスをして来た。


僕の顔を強く押さえ、まるで…今度は背けるなと言っているかのように舌を侵入させ、僕の口内を犯し始めた。


口の中に、じんわりと鉄の味が広がる。


「…ぅ………ん…ッ…。」

明人君の胸を押して抵抗をしてみても、僕の手を掴んで指を絡め、逃げられないように押さえつけてくる。

「あ……明人く……ッ…!」


僕から唇を離したと思ったら、今度は頬や鎖骨、首に軽くキスを落とされる。



静かな部屋に、軽いリップ音と布の擦れる音が響いている。


「明人君……やめて…」

と言いながら、明人君の体を押して僕から離そうとしても、明人君の力は僕なんかより何倍も強くて、いくら押してもビクともしない。




そして、僕が一番恐れていた事をし始めた。


「ちょ…っ…!どこ触って……ッ…明人く……っ……!」

僕の服の中に侵入してきた明人君の手を掴み、腕を離そうとすると、とある事に気付いた。

明人君の手や唇が震えている事に。


…明人君?


震えている明人君の手をそっと撫でると、何か異変に気付いたのか、明人君が僕の顔色を伺いながら

「…優しくしますよ。」

と言った。

「…っ…そういう問題じゃ…それに僕達………!」


明人君が綺麗だから忘れていたけど…明人君も僕も男なんだ。

それも…大切な友達。

その大切な関係を……こんな事で壊したくない。



「…なら立場入れ替えます、僕が女役に…」

「ちょっ……何が?どういう事……!?」



その時、インターホンが鳴り


その直後に、智明の声が聞こえた。



「明人ー!来たぞー!」



「…智…明………」


そっと親友の名前を呼ぶと、明人君の纏う雰囲気がひんやりとした雰囲気に変わった。


「……クソ。」

と、呟いてから、ブチっ…と髪が抜けるくらいの勢いで、前髪を止めていたピンを取って僕から立ち上がり、扉の方へ歩いて行った。


…何を…する気なんだろう…。

それより…明人君…なんで…震えて…。

怖いのなら、しなきゃいいのに…。

なんて事を考えていると、明人君が智明を部屋に連れて来た。



そんな明人君に焦ったのと、僕の服が乱れているので察したのか、

「…何してんだ、明人。」

と言い、明人君を少し睨む智明。


「智明には関係ないよ。」


いつも通り、智明に向かって優しい口調でそう言う明人君。

そして、智明に微笑んでから、






ドスン…と、智明のお腹を思い切り殴る音が響いた。




「ぐっ…!!」

お腹を押さえ、座り込む智明。


「智明!!」



その智明を見下ろし、前髪を手で分けながら






「…だから引っ込んでろよ…ぶっ殺すぞ。」



と、低い声でそう言った。




「…明人…く……ん…??」


…明人君が、智明を殴った…?

頭の整理が追いつかず、うずくまる智明と明人君を交互に見つめる。


…それに…あの口調…。

ゲームしてるときみたいな…あの口調…。


焦りで、さっきの明人君みたいに手や指先がカタカタと震える。

すると、僕の方へ近づき、

「…あは…びっくりしました?」

と、優しい口調で言ってから、僕の胸元のボタンを留め、僕の髪を撫でながら微笑む明人君。




……びっくりどころじゃないよ…こんなの……。


…悪い夢でも…見てるのかな。


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