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鋼戦記  作者: かまぼこ
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第一章 第一話

「世界社会人工知能化計画」からもう10年の月日が流れた。


世界社会は計画の実行から10年の月日と共に徐々に世界的な問題になっていた治安の回復、そして重力制御装置の開発後に次ぐ人類にとって二番目の生活環境の大変革が起こった。


人類は「世界社会人工知能化計画」のおかげでなんの不自由もない生活を送ることができた。

今後我々が後を追いかけねばならない人物も当然この計画の恩恵により、同様になんの不自由もない生活を送ることができた。


天空第一層に住むその人物は、年齢は14歳、クリスマスである今日は彼の誕生日である。


今日をもって14を迎える青年、達也はどちらかというと富裕層の内に入る家に生まれ、準備される料理もいつも良い物を使っているが、今日は誕生日である事もあり今まで以上に豪勢であった。


しかしながら、何年も前の文化の様に親などが食事を作るのでは無く、人工知能を搭載したロボットが人間に代わって必要な家事を行っている。


達也の家で仕事をしているこのロボットは『世界社会人工知能化計画』発足時から何年にも渡って作り続けているシリーズ物で、シリーズ名は、『ライフフレンドロボット』略して『LFR』。

達也の家に置いてあるロボットはそのシリーズの中で最新型の物である。


人工知能の仕組みが独特である為、ここで一旦その基本的仕組みについて説明しなければならない。


まずロボット本体に搭載されているプログラムについて説明しよう。

『LFR』は基本的に一つのプログラムのみで動いている。


プログラムの中身の説明をザックリと説明すると、『会話』、『行動』(格闘術も含まれる)、その基本動作を起こすときに必要な判断基準である『思考』で構成されている。

ここまではどのロボットにも共通する部分である。


一体どこが独特なのか?それはロボットの判断基準である『思考』にある。

実は『思考』を動かしているプログラムはロボットだけでは無く他のある、もう一つ機械がLFRを動かしている。


その機械がLFRの情報アクセス本であり、LFRが人間から受けた命令を収集して人工知能のアップデートを行ったり、新たなLFRの設計、製作を行ったりする。


いわばLFRの母親的存在。


その人工知能のためだけに作られたスーパーコンピューターの名前は、『マザー』である。


「達也、お誕生日おめでとう。」


大人の女性の声が少年に祝いの言葉をかけた。


「お誕生日おめでとう。」


後に続く様にして大人の男性の声が祝いの言葉を少年にかけた。


「ありがとう、父さん、母さん。」


少年は父親と母親に笑顔でお礼を言って、そのお礼を待っていたかの様にLFRが言葉を発する。


「オメデトウゴザイマス・タツヤサマ。」


家族の温かい空気を壊さあいためにあえて、会話が終わった後に言葉を発したのであろう。

達也はそう思いながら、LFRに礼を言った。


「ありがとう、メタリック。」


LFRには名前をつける事も可能で、LFRに愛嬌を示す物も勿論いる。

よって基本的にはLFRに名前をつける場合が多い。

達也の家族もその部類に含まれていた。


しかし、人工知能を搭載したロボットを快く思わない者もいた。

ロボットがいったい何を考えたいるのかわからないのである。

その恐怖でロボットを嫌いになる人も結構いる。

しかし、ロボットによって治安の維持が行われている今となっては、ロボットを家に置かないという事も無理なのである。


誕生日ケーキを囲んで暖かい空気が周りを包んだ。

今となっては珍しいキャンドルを灯す炎はなんとも美しかった。

ホログラムになっていない火がついたキャンドルを見れるのはクリスマスである今日だけである。

達也は三等分に切ったクリスマスケーキを、メッセージが書いてあるチャコレートが乗った部分をメタリックに皿に乗せてもらった。


「さすがメタリック、わかってる~。」


「恐れ入ります、達也様。」


話し方が昔のロボットの様にかたことしていないのが驚きである。

まるで生きているロボットの様な話し方。

しかし、そんなのはもう彼らにとっては当たり前のことであり、話し方がかたことしている昔のロボットの方が、今の人たちにとっては不思議で仕方のないことなのである。


達也は窓から見える雪景色を眺めている。

そう、今日はホワイトクリスマスである。

でも家の中は全く寒くなんかない。

完全防寒機能の発達により、どんな場所にいようと、そういういうことなどありえない。

勿論夏も同様に、暑いなんていうことはありえない。


「今日もなんか平和だな~。」


達也は雪景色の中を通り過ぎていくフライングカー(空飛ぶ車)を目で追いながら、そう呟いた。


「どうしたの、急にそんなかっこいいこと言っちゃって。」


母親は、笑顔でそういった。



















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