王都へ
空気が重くなり、周りの風景がスローになって後ろに流れていく。
翔太が一歩踏みしめるごとにあり得ないほどの距離を進んでいた。
遥か彼方だった猪のところまで十数秒しかからなかっただろう。
銀色の猪が倒れたせいか残りの猪は全て逃げてしまった。
「おー近くで見るとでかいなー・・・喰えるかな?」
などと料理方を考えていると横から声がした。
「そこのお前、お前がこいつを倒したのか?」
なんだか金髪の武装した少女だった。冒険者か?
よく見ると同じく武装した少女や少年がたくさんいて、全員の鎧に同じ紋章が入っていた。
しかし人にあったことでひとまず自分では異世界語はわかることが確認できた。
けど流石に字のほうは無理そうだな。
「先に名乗らないのは礼儀としていいんですか?」
この世界でこれが普通なのか?
やはり最初は名刺交換のイメージがあるのだが
まぁ名刺何てないだろうが
「失礼であるぞ!王女様になんと言う口の聞き方。」
側に控えていたかなり大きい戦士が叫ぶようにして言うが
「まぁ、命を救われたんだ。多少の無礼は許そうではないか。」
と手で制した。
「私、エスターナ王国 第一王女、エルザ ロード アメリア ヴァルヘイムと言う。」
異世界系の小説に出てくる性格の歪んだ王族を想定していた翔太にはその堂々とした名乗りがとても好ましく写った。
けどやっぱり貴族は名前長いのか。
「俺は工藤翔太って言います。よろしく」
「クドウ ショウタ?珍しい名だな。その黒髪黒目から察するに東の出だろうか?」
えーと、こういう場合は何て言えばいいんだ。まさか素直に転生してきたなんて言えないし。
少し目線を泳がせると今まで放りっぱなしにしていたステータスが目に入った。
「?」
アズリエルが紙に何か書いてこちらに見せてきている。
なんだこれ。カンペか?
ひとまずなるべく棒読みにならないように読んでみる。
「えー、僕は確かに東の出ですよ。イズモ国からの旅人なんです。今回はたまたまこの国で仕事をしようと思ってまして・・・{ここでカンペをめくる}まず王都にいって冒険者として登録しようと思っています。」
「そうなのか。そう言えばいきなり現れたが透明化を使っていたのか?そうだとしたら剣を装備していて魔法を使いこなせるのか!」
アズリエルが急いで返事を書き始める。
2~3秒してこちらに紙を向けてきた。
なんかものすごく微妙にドヤ顔をしている気がする。
「あーこれはイズモ特有の武技ですよ。姿がなかったのではなく気配を絶つもので、これをかけるとモンスターとの不要な戦闘を避けれますし。」
おかしい!たった2~3秒でこんなに文字はかけないだろ。
「イズモには便利な武技があるのだな!さらにあの大型猪王を一撃で葬る剣技、冒険者になれば広くまで名の轟く戦士になるだろうな。しかし・・・私としてはその腕を見込んで私の騎士団にはいってほしいものだな。」
「王女様!」
臣下の制止の声が聞こえたがそれを無視して翔太は考え込む。
やっぱり特定グループに入ると行動が制限されそうだな。主旨の料理がてきないと意味がない。
「すいません。ありがたい申し出なんですが考えさせてください。」
ひとまずこういって切り抜けておこう。
「そうか・・それは残念だ。しかし私や仲間に助力してくれた貸しもあるし王都では面倒を見させてもらおう。」
嬉しい申し出にすぐ承諾する。
王都って言うくらいだから様々なこの世界特有の食材がうってあるに違いない。
それを買うためにも早くお金を稼がなくてば!
「そういえば皆さん食事まだですよね?」
「ああ、昼までには着きそうにないからどこがで休憩しながらとるつもりだ。」
「その時に使う香辛料なんかもありますよね。」
「少しならあるが高価だからそんなにいいものはなきぞ」
「だったら昼食ご馳走しますよ。」
翔太は地に倒れている猪たちをみて満面の笑みを浮かべた。