表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/408

アイテム整理

「あの、そろそろ解いてほしいのですが……」


「そーだそーだ! 俺達が何をしたっていうんだ!」


 ガチャり終えた後、しばらくしても俺達は縛られていた。

 ちょっとガチャをしようとしただけなのに、何故こんな扱いを受けなければならないのか。俺は悪くない。全部ガチャが悪いんだ。

 俺は足をジタバタさせて解放しろとノール達に訴えた。


「自分の胸に手を当てて考えてみるといいのでありますよ」


「あら、二人共まだお仕置きが足りなかったのかしら? 今度はこっちいってみる?」


「な、なんで私まで巻き添えに!? や、やるなら大倉さんだけにしてください!」


「お、お前裏切りやがったな!? すいません、本当にすいませんでした。反省いたしましたので、どうか縄を解いてくださらないでしょうか」


 シスハはさっきまで同類を見るような視線を送っていたのに、エステルが杖を出し先端から電撃が漏れ出した瞬間に俺を見捨てやがった。なんて奴だ。

 俺も電撃は受けたくはないので、必死になって謝りようやく縄を解いてもらった。

 ふぅ……どうしてこうなったんだろうか。


「と、とりあえず排出されたアイテムを確認しようか!」


「はぁ、毎度毎度懲りないのね」


「もう手遅れなのでありますよ……」


「大倉さんのこういう図太いところ、私も見習いたいと思います」


 これ以上何か言われる前に俺はスマホを手に取って、排出されたアイテムを確認していく。ここでガチャをするという選択肢も頭に過ぎるが、それをしたらマジで何をされるのかわからないからやらない。

 エステルが頬を押さえてため息をつき、ノールはモフットを撫で呟き、シスハは俺を見て手を合せて祈るポーズをしている。なんなのこの反応。

 まあいいや、とりあえずめぼしい物を見ていこうか。


 ――――――

●おやつ(残り10回)

ランダムで1回分のおかしを出すことができる。

食器は使い終わった後土となって消滅。

 ――――――


 まずはおやつか。残り10回ってカウントがあるってことは消費系か。

 説明文を見た感じ、食料みたいな物と思えばいいか。


 試しに1回消費して出してみると、出てきた物は栗色をしたクリームが線となってらせん状に巻かれてとぐろになっていた。一番上には丸い栗が乗っている。

 これはモンブランって奴か? 一緒にフォークまで出てきたぞ。


「あぁ、食料のおかし版かよ」


「こ、これは……」


「お兄さんお兄さん、これ食べてもいい?」


「あっ、私も食べてみたいです!」


 うお、なんだなんだ。俺がこれを出した途端ノール達がぐいぐいと食いついてきたぞ。

 ノールはゴクリと喉を鳴らして、エステルは珍しく胸の前に握り締めた手を出してそわそわしている。

 シスハはノリで食べてみたいと言っている程度だ。仕方ないので、この後2回消費して3人分出すことにした。

 出てきたのは背の高いグラスに入った、クリームやバニラアイスにピンク色のソースとチョコのソース。シリアルが下に詰まったパフェ。

 もう1つは長細い黄土色をした物が2つ出てきた。これは芋羊羹か?


「おぉ……これは美味しいでありますな!」


「ふふ、甘いわね。この世界のスイーツも良かったけど、ガチャ産のは食料と同じでやっぱり格が違うわね」


「ふぅ……お茶が欲しいです」

 

 モンブランはノール、パフェはエステル、シスハが羊羹とそれぞれ手にとって食べていく。とても美味そうな声をあげながら食べ進めている。

 特に笑顔でパフェを頬張るエステルはとても可愛らしい。いつもの雰囲気はなく、純粋な少女としての反応は目の癒しになる。

 ノールは喜んでいるがアイマスクしてるし、シスハはなんか喜ぶというかのほほんとしていてなんだかな。

 とりあえず甘い物で喜んでいるので、このままさっきのことも忘れてくれると嬉しい。


 ――――――

●高級ランプ

強化されたランプ。

MPを消費し、広範囲に光が届くようになっている。

 ――――――

 

 次に出した物は六角の形をしたガラスに入った取っ手のあるランプ。

 Rの通常のランプは夜部屋で使ったりしていたのだが、このランプとどう違うんだ? 広範囲ってどのぐらいなんだろうか。

 試しにやってみよう。

 

「へぇー、どれどれ――うおっ!? ま、まぶ」


「うが!? 目が、目がぁでありますぅ!」


「ちょ、お兄さんMP使い過ぎよ! 流すの止めて!」


「これは強烈ですね……」


 ウィンドブレスレットを使う感覚でランプにMPを流した瞬間、ランプが一気に発光した。部屋の中が光で満たされて、ここだけ朝のような明るさだ。

 それを直視していたノールがアイマスクの上から目の部分を押さえてうめいている。

 エステル達はあまり直視していなかったみたいだが、ランプの方に手を向けて光を遮っていた。流し過ぎだと言われて、慌ててMPを流すのを止めると光が弱まっていく。

 そしてランプはすぐに取り上げられて、今後はエステルかシスハが使うことになった。俺とノールはMPの扱いが下手だから仕方ない。

 痛みにうめいていたノールはシスハにすぐ回復魔法をかけてもらい治ったみたいだが、なんだか悪いことをしてしまったな。


 ――――――

●洗浄機

MPを消費し、入れた物の汚れを全て落とす。

生き物を入れないでください。

 ――――――

 

 次に出てきた物は片手で持てる程度の大きさをした四角い白の箱。

 上の部分が開くようになっていて、ここから中に物を入れると綺麗になるということだろうか?

 

「随分と小さいな。それにしてもわざわざこんな注意書きするんだな。こんなのに生き物入れようとする奴なんていないだろ、な?」


「……そ、そうでありますね」

 

 洗濯物とかするのに便利そうだな。今まではエステルの魔法で汚れを落としていたのだが、これさえあれば彼女に迷惑をかけずに済みそうだ。

 注意書きに生き物を入れるなとか書いてあるけど、こんな得体の知れない物に生き物を入れようとする奴なんていないと思う。

 

 ――――――

●エアーロープ

空中に引っかけることができるロープ。

 ――――――

 

 選択してみると、先端に湾曲した爪が付いたロープが出てきた。かぎづめロープって奴か?

 説明欄を見てみると、どうやら空気に引っかかるらしい。試しにと少しだけ何もない場所に投げてみると、俺が思った場所で爪が止まった。

 グイグイ引っ張ったがピンと張ったロープはビクともしない。そして俺が外れろって思うと、空中で止まっていたかぎづめが床に落ちる。 

 

「空中に引っかけるって……怖くね?」


「でもこれ楽しそうですね」


 一応ちゃんと引っかかっているのだが、目に見えない物に引っかかっているので視覚的にとても不安になる。

 シスハが俺からエアーロープを受け取ると、天井に向けて軽く引っ掛けてスイスイ登ってブラブラ揺れ始めた。こいつ怖いもの知らずなのか?


 ――――――

●調味料セット

砂糖、塩、酢、醤油、味噌を基本に様々な調味料のセット。

 ――――――


 実体化させ出てきた物は、大きめの箱に詰められた様々な調味料。

 これちょっと良いな。暇な時に醤油や味噌を探してみたけど見つからなかったし。

 でも俺が料理する訳じゃないので、使うのは醤油ぐらいか? 味噌汁ぐらいなら作れるけどさ。


「あっ、これ地味に嬉しい」


「料理しない私達にはあまり使い道がなさそうね。そういえばこの中で誰か料理ってできるの?」


「私一応できるのでありますよ?」


「えっ」


「な、なんでありますかその反応は!?」


 嘘だ、絶対嘘だ。ノールが料理できるだなんて俺は信じないぞ。

 エステルとシスハも声を出したまま固まっている。料理ができることに衝撃を受けたのか、それとも嘘だろって思っているのかどっちだろ。

 作れるとか言ってるが、塩と砂糖を間違えたり、何か入れる時に蓋が外れて全部ぶち込んだりするんだろ? これぐらい誤差の範囲でありますよ! とか言ってそのまま作る姿が目に浮かぶ。

 俺達の反応が納得いかないのかプンスカと怒っているが、とてもじゃないが信じられないから仕方ない。


 ――――――

●高級アイマスク

肌触りの良い素材で作られた一品。

視界のON、OFFを選ぶことができる。

 ――――――


「大倉殿! これ! これ私欲しいのでありますよ!」


「こんなの使うのノールぐらいだからいいけどさ……そろそろ素顔でいられるようにしたらどうだ?」


「そうですね。ノールさん可愛いのに勿体ないですよ」


「嫌なのでありますよ! と、とりあえずこれはもらっておくのであります!」


「はぁ、まだまだ先は長そうね」


 ノールが出てきたアイマスクを見て欲しいと騒ぎ出した。そんなに騒がなくても使うのお前しかいないぞ……。

 いつ見たのかは知らないけど、シスハも素顔を見たことがあるのか。エステルがため息をついているのを見ると、どうやら素顔のままで行動するのはかなり先の話になりそうだ。


 ――――――

●録画アプリ

スマートフォンに録画機能を追加する。

開始時に音がなるので注意。

 ――――――

 

 うおっ! ついに録画アプリまできたか。これで写真だけじゃなくて動画も保存できるな。

 写真は秘密裏に撮っているので、これでさらに捗るぞ! 

 彼女達はスマホの機能にまであまり興味がないみたいなので、今後もあまり話に出さずにしておこう。

 

 ――――――

●腕カバー

防御+100

火耐性強化

 ――――――

 

 青色をした肘辺りまで覆うカバー。上下の端はゴムか何かで締まるようになっていて外れない工夫がされている。

 ほぉ、これを装備するだけで防御が100も増えるのか。しかも火耐性まで上がる。

 

「おぉ、これいいな。俺がもらってもいいか?」


「私達は構わないけど……お兄さんそろそろ格好を気にした方がいいと思うの」


「なんでも上に重ねていくのはどうなのかと思うのでありますよ」


「私は大倉さんがどこまでいくのか見届けたいと思います」


 うっ、ちょっと気にしていることを言いやがって。俺としてはいいのだが、周りの人が見てくる視線が痛い。

 エクスカリバールと鍋の蓋さえ卒業できれば結構まともに見えるはずなのだが。

 そういえば今回もこの2つ出ていたな。アイテムの確率アップ中でも平然と出てきやがる。どんだけ排出率高いんだよこれ。


 ――――――

●エクスカリバール☆17

攻撃力+2090

行動速度+130%

●鍋の蓋☆11

防御+750 

 ――――――

 

 あれ? もう攻撃力2000超えてるぞ……鍋の蓋もそろそろやばいな。

 このままだと俺、ずっとこの装備のままになる可能性が。俺は見た目よりも性能重視だから、見た目を気にして装備しないなんて選択肢はできない。

 でも、可能ならやっぱりカッコいい装備したいな。マジックブレードとか本当なら使いたい。

 ヴォン、ヴォンと自分で言いながら魔法の刃を出すのに最近はまっているんだ。

 

 ――――――

●警報機

一定の範囲に指定された対象以外が進入した場合に音を発する。

併せてスマートフォンへと通知する。

 ――――――


 出してみると防犯カメラのような物に、スピーカーみたいな物が付いている。長細い棒が下に伸びて、どうやら突き刺して設置するようだ。

 

「うーん? これ使う機会あるのか?」


「あんまり役に立つ気がしないでありますね」


 こんな物どう使えばいいんだ。センサー的な感じだけど……あっ、今回出てたハウスなんちゃらって奴で使えたりするか?


 ――――――

●ペット小屋

ペットに最適な環境を再現しリラックスさせる小屋。

 ――――――

 

 四角い箱に三角の屋根が付いているごく普通の犬小屋に見える。変わったところは、入り口に小さな扉が付いているぐらいか?

 ペットに最適な環境ってどういうことだ? 

 

「大倉殿! これくださいなのでありますよ!」


「あぁ、出た時からモフット用だろうって思ってたしいいぞ」


「むふふ、ありがとうございますなのであります!」


 よくわからないがモフットぐらいしか使わないので、とりあえずノールにあげよう。

 今は置く場所もないので、俺のバッグに入れておく。モフットも理解しているのかよくやった、という風に俺の足をポンと叩いている。


 ――――――

●ハウス・エクステンション

家に使用することで家の拡張をすることができる。

1つの家に使用すると、他の家には使用できなくなる。

拡張ポイントはガチャから排出された、消費型アイテム以外を変換することで得られる。

 ――――――

 

 最後に唯一出たSSRのアイテム。ハウスってだけで家関連かなとは思ったけど、これ今使えないじゃないか!

 しかも説明見ると1つの家にしか使えないってある意味消費型。拡張ポイントというのも必要で、ガチャから排出された物を変換しないといけない。

 いやぁ……ちょっとこれどうなの?

 

「おいおい……なんか凄く良いのが手に入ったと思ったのに使えないぞこれ」


「家がないと駄目なのでありますね……」


 なんだろう、微妙というか……使ってないからわからないけど、どのレアがどれぐらいのポイントになるのかだよね。Rでも十分変換できるのなら、家を手に入れた際には使えそう。

 でもSR以上じゃないとまともに変換できないのならな……まあ爆死した残りの使い道ができたと思えばいいのか?


「ねぇお兄さん。それならそろそろ家を買ってもいいんじゃないかしら?」


「今はなんとかなっていますが、もう1人増えたら限界かもしれませんね」


 うーむ、家ねぇ。家買うって言ってもお高いんだろうしなぁ。

 所持金は既に2000万Gは余裕で超えている。しかし足りる気がしない……。

 いつまでも宿に泊まっているのもどうかと思うし、そろそろどうにかしたいとは思うが何とかなるのか不安だな。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ