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再来のスマイター

いつもお読みくださりありがとうございます。

久しぶりにSSを書いてみましたので、活動報告に投稿いたしました。

詳しくは後書きに書いておきます。

 32階層でのデモンストレーションも終わり、そこからは合同で迷宮探索をしていく。

 俺達とアルブス達が合わさればもはや敵なし状態だ。

 地図アプリによる誘導の効果もあり、あっと言う間に35階層に到達した。


「いやぁ~、こんなに楽な探索なかなかないね。騎士団の大部隊で来た時よりも楽で助かるよ」


「ぐぬぬ、冒険者としてはレベルが高いのは認めたげる。でも本番はここから! さっそくスマイターの相手をしてもらおうじゃない!」


「もう十分彼らの実力は分かったと思うのですが……」


「隊長も慎重に判断しようとしているのさ……大人げなくもあるが」


「そこ聞こえてる! 私は隊長なんだぞ! 偉いんだぞ! 後で覚えておきなさい!」


 アルブスだけはまだ不満がありそうだけど、レビィーリアさん達はもう俺達を認めてくれてそうだ。

 事前の宣言通りに俺達だけでスマイターを倒さないとな。

 35階層は他の階層よりも狭く、降りた途端に地図アプリに赤い点が1つ表示されている。

 他に魔物はいないっぽいし、ここにいるのはスマイターだけか。

 

 反応がある方に行くと、案の定目的なく徘徊しているスマイターを発見。

 白く楕円で長細な首のない胴体、ガッチリとした足、そして黒い大きな瞳。

 相変わらず形容し難い見た目をしているなぁ。


「ここのスマイターは最初から徘徊しているのか。ちっ、棺に入っていたら出てくる前にハメ殺しできたのにな」


「相変わらず物騒な考えをするでありますね……。あの時も最初に部屋ごと爆破したでありますなぁ」


「不意打ちは最初しかできないわね。どうする? 最初はまだ弱いから私の魔法で無難に倒しましょうか?」


「うーん……あえてデカい一撃をお見舞いしておくか。グリモワールの3倍魔法で例の光線を撃ってくれ。弱い内ならあれで体ごと消滅させられるかもしれない。いくらあいつでも体が消滅したら、復活できないんじゃないか?」


「あの頃と比べたらエステルさんの魔法は、桁違いに威力が増していますからね。あり得ない話でもないですよ」


「あれはマミーなのかな? アンデッドにしては神々しい雰囲気を感じるよ……」


――――――

●スマイター 種族:マミー

 レベル:50

 HP:3万3000

 MP:2000

 攻撃力:3700

 防御力:3100

 敏捷:110

 魔法耐性:20

 固有能力 低下無効 状態異常無効

 スキル 昇華 白き流星

――――――


 よし、ステータスを見ても以前戦ったスマイターと同じみたいだ。

 倒すとスキルの昇華によって、強化されながら復活してしまう。

 アンゴリ迷宮では倒す方法がわからずに罠で解決したが、ここにはそんな物存在しない。

 アルブス達は倒した経験があるみたいだし、こいつには攻略法が確実にある。

 予想じゃ消滅するまでずっと倒せばいいんだろうけど……一体何回倒せばいいんだ。


 僅かな可能性に賭けて、最初にエステルの超火力で消し飛ばせないか試すことになった。

 彼女がグリモワールを開きつつ、宙に魔法陣が展開されてチャージが始まる。


「えーいっ!」


 エステルの気合の入った可愛らしい掛け声と共に杖を振り下ろす。

 解き放たれた光は激流のように照射され、スマイターの全身を丸ごと飲み込んだ。


「エ、エステルちゃん凄いんだよ……」


「あれならひとたまりもないだろう」


 フリージアやルーナすら冷や汗を流す一撃。

 後ろを見るとアルブス達も目を丸くして唖然としている。

 ちょっとやりすぎ感は否めないが、スマイター相手となれば仕方がない。

 攻撃が終わり光がなくなると、そこにスマイターの姿はなかった。


「やったか! 完全に跡形もなく消し飛んだぞ!」


「流石エステルでありますな! これで復活しないのでありますよ!」


「……いや、喜ぶのはまだ早いよ。魂が残ってる」


「えっ」


 マルティナがそう言うと同時に、何もない場所からにゅっとスマイターが生えてきた。

 本当に何の予兆もなく、何事もなかったように一瞬で現れやがったぞ。


「うそだろ!? どうなってやがる!」


「肉体は仮初で魂が本質みたいだね。死ぬと負の力が強まって肉体も強くなるんだ。死と負の力は関係深いからね」


「肉体が消滅したことで私も確認できました。肉体がある内は私でも浄化は難しそうですね」


「それじゃあ倒しようがなくないか? またエステルに蒸発させてもらってシスハが浄化するか?」


「大丈夫、僕に任せてほしい! フリージアさんも手伝って!」


「いいよ! お任せくださいなんだよ!」


 マルティナはフリージアの体に手を添えると、スマイターをじっと凝視している。

 肝心のスマイターは復活してすぐにこっちを認知し、目を鋭く細めて青筋を浮かべながら走り出していた。

 こっわ。


「黒い点を狙って!」


「りょーかい!」


 マルティナの合図でフリージアが矢を放つと、胴体の左下辺りを射抜き貫通した。

 勢いよく走っていたスマイターがピタリと止まり、白目を剥いたと思えば体がボロボロと崩れていく。


「アルヴィさんお願いします!」


「任せてください! どりゃああああ!」


 合図を受けてすかさずシスハが拳を突き出して浄化の光を放つ。

 俺には何もないように見えたが、さっきまでスマイターが居た位置に到達すると光が炸裂した。

 悲鳴のような雄叫びが聞こえたかと思えば、白い布が現れて地面に落ちる。

 あれはドロップアイテム? つまり倒したのか。


「どういうことだ? 矢1発で体が崩壊しやがったぞ」


「前はあんなに苦戦したでありますのに……。1回の復活で倒せちゃったのでありますよ」


「納得できない」


「マルティナには何か見えているのかしら?」


 前回のスマイター戦を経験しているからかルーナは不満げにしていた。

 あんなに苦戦したスマイターをこんな呆気なく倒せちまうとは……。

 フリージアの矢は威力があるけど、あんな風に体が崩壊するとは思えない。

 実際に前はルーナが槍で突き刺しても、体が崩れたりしなかったからな。


「肉体に力を供給している部分を狙ってもらったんだ。体を形成する仕組みが僕の友達と似ていたからね。だから視界共有をしてフリージアさんに射抜いてもらったんだ」


「マルティナちゃんからはああ見えているんだね! 凄いんだよ!」


「えへへ……あれを正確に狙えるフリージアさんも凄いよ! それにあれを浄化できるアルヴィさんも凄いです!」


「くっ、それほどでもありません。私でも弱点までは見抜けませんでしたね。なかなかやるじゃないですか」


 なるほど、そういえばマルティナのアンデッドも何もない場所から突然出てくるな。

 スマイターも似た原理であの再生力を得ていたのか。

 ガワは魂の保護具みたいな物で、それさえなければシスハの浄化で1発って訳だ。

 今のエステルの3倍魔法でようやく消し飛ばせるぐらいだから、マルティナもいなかった前回じゃ同じ方法では倒せなかったな。

 

 こうして呆気なくスマイターを倒したのだが、急にリンフィアが駆け寄って来てエステルに声をかけた。


「是非、是非私に教えをください! 貴女ほどの魔導師を私は知りません!」


「ちょ、ちょっと落ち着いて。別にそんな大したことしてないじゃない」


「あれ程の魔法を高速かつ無詠唱で行使して何を仰いますか! あそこまで洗練された魔法は見たことないです!」


「リンフィア落ち着きなさいって。その子も困ってるでしょ。しばらく後ろで待機」


「あん、そんな殺生な!」


 アルブスにグイっと首根っこを掴まれ、リンフィアはじたばた暴れたがテペルに引き渡される。

 お姉さんっぽい雰囲気だったのにキャラが完全に崩壊したな……。

 それほどエステルの魔法が衝撃的だったのか。


 改まったアルブスは俺達の前に立つと、今までとは打って変わり落ち着いた様子で口を開いた。


「あんた達の実力はよくわかった。認める、私達なんかより断然強い。今まで悪かったわね」


「あ、ありがとうございます?」


「急にどうした。気味が悪い」


「私がせっかく認めたのにその言い草は何よ! 文句の付け所がないぐらい完璧だったの! スマイターをあんなに早く倒せるの見たことない!」


 アルブスの態度がすっかり変わったせいか、ルーナも毒気を抜かれたようだ。

 俺ですらビックリするぐらい簡単にスマイターを倒せちまったからな。

 レビィーリアさんもこっちへ来ると、アルブスと顔を見合わせて何やら頷いている。


「これなら40階層のボスに挑んでもよくない?」


「それは……私はいいけど大倉君達はどうかな?」


 おっ、この提案をしてくるってことは完全に認められたのかな。

 こっちとしては願ってもない提案だが……念のためノール達にも聞いておくか。


「構いませんよ。ノール達もいいよな?」


「いいでありますよ。せっかく来たならボスに挑戦したいであります」


「お姉さん達から情報も貰えるし良いと思うわ。この調子なら40階層まではすぐだしね」


「騎士団の方々と強敵相手の共闘を経験しておきたいです。何か学びを得る機会ですよ」


 まだ騎士団の実力を全て見てないし、ボスの情報を持ってる人達が一緒の方が攻略しやすいからな。

 1度経験しておけば次に挑む時に有利になるから俺達としても助かる。

 そんな訳でアルブス達の提案を快く承諾し、40階層に向けて出発した。

活動報告にてSSを投稿いたしました。

↓のリンクのあるIFSS集の【掲示板回⑦】となりますので、もしよければお読みいただけると嬉しいです。

試しに平八不在+3人称になっているので是非ご感想いただければ幸いです。

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― 新着の感想 ―
更新ありがとう ここにも底なし穴があるのか?と思ったけどそんなことはなかった マルティナは力を供給している部分を任意変更できそう 「シスハさんお願いします!」 ↑たぶん誤字?マルティナのセリフと思っ…
惨劇は回避された!良かった! いやね?アルブスがさ?こいつらが強いのは分かった!でも大倉!お前はどうなんだよ!とかほんとに強いのかよ!周りが強いだけなんじゃないのかよ!とかうっかり八兵衛やったりすると…
エステルちゃんの「えーいっ!」が可愛いね。 平八もどこかで活躍して実力を見せつけてあげて欲しいね。 次の配信では公式の人も誰かやってきそう(笑)
2025/08/18 01:32 にゃんこ聖拳
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