表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
395/408

不穏な龍人

いつもお読みくださりありがとうございます。

コミック版12巻が5月29日に発売となります。

是非お読みいただけると嬉しいです。

 謎の3人組と遭遇し、ハジノ迷宮の探索を中断し帰宅した。


「むむー、今回で攻略できるかと思ったでありますが残念でありますよ」


「そうね。けど途中までワープができるのがわかったからいいじゃない。途中で帰れる地点があるってわかったから、帰宅しながら攻略できるもの」


「想像以上に深そうな迷宮でしたね。今までの迷宮以上に一筋縄じゃいかなそうですよ」


「沢山の魔物や仕掛けがあって楽しかったんだよ! 下の階層はどうなってるのか楽しみ!」


「聖騎士……スケルトン……クックック、夢が広がるじゃないか! まずは友達に頼んで……」


「面倒だ。もう行きたくない」


 各々がハジノ迷宮への感想を述べる中、俺がスマホを見て悩んでいるとエステルが声をかけてきた。


「それでお兄さん。ステータスを確認してからずっと深刻そうな顔をしてるのはどうしてかしら?」


「ああ……とりあえずお前らもこれを見てくれ」


――――――

●【護国の騎士龍】アルブス 種族:アウローラドラゴン

レベル:95

HP:1万2000

MP:6500

攻撃力:7000

防御力:4000

敏捷:325

魔法耐性:50

固有能力

騎士龍の加護 護国騎士

スキル

騎士龍の威圧 龍の闘争心

――――――


「ドラゴンでありますか!? ど、どういうことなのであります!」


「わー! あの子ドラゴンだったんだね! だからカロンちゃんと似た雰囲気してたんだ!」


「ドラゴンな上に騎士!? 何それカッコいい!」


「ふむ、やはり人間ではなかったか」


「これは確かに驚くのも納得ね。この世界じゃなかなかいなそうな高レベルだし、ドラゴンだからかステータスも高いわ。それに名前に称号が付いているのも気になるわね」


「称号の付いた相手って他じゃ見かけませんでしたよね。例を挙げるとすれば……強化された私達ぐらいでしょうか。この世界にも私達と似た強化法が存在するってことですかね」


 名前の横に称号付きということは、ノール達で言えば限凸したのと同等ということ。

 ステータスの数値もノール達に匹敵し、レベルも95レベルとこの世界じゃほぼ見かけない高さだ。

 種族がドラゴンで龍人というのも驚きだろう。

 だが、そんなのは俺の懸念していることからしたら些細なことだ。


「お前らが言ったことも気になることだが、俺は別のことが気になってな」


「あら、このステータスから他にわかることはなさそうだけれど……」


「あとは精々名前ぐらいですが……私は全く聞いた覚えがありませんね。大倉さんはどなたかご存じなんですか?」


「あると言えばあるんだが、人違いの可能性も高い」


「どういうことなのでありますか?」


 ノール達がわからないのも無理はない。

 俺がステータスを見た瞬間に思考が止まる程驚いたのは、Girls Corpsと関係するかもしれないからだ。


「GCのキャラクターにアルブスって龍人がいるんだ。名前も一緒な上に種族までドラゴンってなると……あの声で男ってこともなさそうだしな」


「全く関係ない、とは言いにくいわね。私達と同じ存在ってことかしら? 私でも瞬時に見抜けない認識阻害の魔法を使っていたもの。無理に見破ろうとしたら敵対したと思われそうだったから控えておいたわ」


「エステルさんでもすぐ見破れないとは、工房長以上の魔導師があの中にいたんですね。3人共かなりの実力者なのはわかりましたよ」


「やっぱりお前らも顔を認識できなかったのか。でもフリージアなら顔もわかったんじゃないか?」


「うん、だけどフードを被ってたからよくは見えなかった。アルブスって子は白髪で目が赤かったんだよ~。私も女の子だったと思うよ!」


「白髪に赤目か……それもアルブスと一緒だな。フリージアが言うなら女なのも間違いなさそうだな」

 

 やはりフリージアなら固有能力で、認識阻害されても看破できたか。

 GCのアルブスは白髪で赤目、背も低くて龍人と一致する点が多い。

 だが、違う点も複数あるから俺も確信が持てずにいる。


「ここまで特徴が一致したらほぼ確定な気がするんだが……問題はこの称号やスキルだな。俺が知るアルブスは騎士なんて設定なかったぞ」


「騎士の龍人なんてカッコいいじゃないか! 君の知るアルブスさんはどんな子だったんだい?」


「ドラゴンの一族の姫って感じだな。性格も物静かで職業も支援系メインで攻撃タイプじゃない」


「お姫様! あの子凄くかわいかったんだよ! でも、目も凄く怖かったかも……」


「うむ、姫というより戦士の雰囲気だ。それに生意気だった」


 話すのを少し聞いただけだが、あんな攻撃的な感じのキャラじゃなかったんだよなぁ。

 GCのキャラ設定もドラゴンのお姫様で滅多に戦場になんて出てこない。

 ですます口調で大人しく、能力も前線で戦うタイプじゃなくて周りの味方にバフを与える後方支援系だった。


「名前や容姿や種族は一緒でも、戦闘スタイルや性格は違うのね。そうなると確率的に半々ってところかしら?」


「黒寄りのグレー的な感じですね。もしそれであの方が大倉さんの知るアルブスさんでしたら、私達と同じくGCとやらが関わっているんですかね?」


「あっ、そうでありますよ! まさか大倉殿と同じようなガチャを引く人が――」


「いや、その可能性は低いと思っている。何故なら、アルブスはイベント配布のSSRキャラクターなのさ!」


「イベント配布のSSR、でありますか?」


「どういう意味なんだよ!」


「簡単に言えば応募者全員サービスの無料配布ってところだな。イベントをクリアすれば誰でもタダで手に入っちまうんだ」


「ええ!? 龍人がそんな簡単に仲間になるって……君達の世界は一体どうなってるのさ!」


 アルブスはGCのイベント『ドラゴンの姫君』で貰えるSSRキャラクターだ。

 イベントをクリアするだけで貰えるキャラクターなのだが、性能はSSRでも屈指の強さで重宝されていた。

 編成の採用率も高く、復刻してくれと後から始めたGCプレイヤーの嘆きをよく見かけたものだ。


 それはいいとして、アルブスが俺の知るGCの存在だったとしても、それで俺と同じくガチャでGCユニットを召喚できる奴がいると思うのは早計だ。

 その根拠の1つをエステルが言ってくれた。


「要するに私達のようにガチャから召喚石を出して呼び出す子じゃないってことかしら?」


「その方がわかりやすいかもな。しかもSSRでお前達よりレアリティも低い。俺の持ってるスマホの仕様じゃ絶対に呼び出せないユニットだ」


「そうなると大倉さんと同じガチャを回して、私達と似た存在を呼び出す人が関わっている可能性は低そうですね。ガチャの仕様、もしくは召喚方法自体が変わって誰かが呼び出した可能性もなくはありませんが」


「むむむ、話が難しくなってきたのでありますよぉ……」


 結局のところ、これもまた何が正しいのかわからないってことだ。

 可能性の話を考えたらそれこそ無数に考えられるからな……。

 それに俺と同じくこの世界に呼び出されてGCガチャを引ける奴がいたとしても、害さえなければ気にする必要もない。

 現状1番考慮しないといけないのは、あいつらと敵対するのを避けることだ。


「まあ、色々考えることはあるけど、悪い方に考えなくてもいいだろ。とにかく1番気になるのは、あいつらがどうしてハジノ迷宮に来たかだな」


「Aランク冒険者がいない隙を狙って来ているようだったね。それに知られていないワープまで使って……クッ、秘密裏に暗躍する強者の集団とはカッコいいじゃないか!」


「ステータス的にもアルブスという方はこの世界でもそういない強者でしょうね。それに加えてかなりの情報網も持っているようですし、魔人じゃないとしたらどのような組織なのか……」


「単純に考えたらあり得そうなのは……王国騎士団じゃない? ほら、ステータスの称号にも護国や騎士って書いてあるもの。そんな大層な名称を貰えるのなんて限られていると思うわ。私達みたいに少数で隠れながら活動している謎の集団も考えられるけどね」


 騎士団……だと!? それならAランク冒険者の動向に詳しいのも頷けるし、魔人を敵視していたのも納得いく。

 だけどそれなら認識阻害の魔法を使ってまで、コソコソする必要もないと思うんだが……うーん、わからん!


「もしあの3人が騎士団としたら、国も迷宮攻略に動いているってことか? それに遭遇したのも良くないな」


「あまり良いことじゃないわね。報告されたら本格的に国から認知されそうだわ。あの中間地点にいた時点で、Aランク級の冒険者だって思われちゃいそうね。それにルーナ達も見られちゃったもの」


「むぅ、めんどうだ」


「もし騎士団だとしたら龍人がいるって弱みも握れましたけど、下手に使うと大変なことになってしまいそうですね」


「隠れて行動する人はそれなりに知られたくない理由があるからね……」


「平八達って苦労してるんだねー」


 はあ、俺だって好んでこういう苦労している訳じゃないんだけどな……。

 あれが騎士団だとしたら、今まで隠していた苦労が水の泡になりかねない。

 だが、あっちも正体を隠していたし、不用意に俺達へ接触もしないだろう。

 下手に行動したら騎士団が迷宮で何かしていたってバレるからな。

 それに亜人がいないはずの国の王国騎士団に、龍人がいたとは知られたくないはず。

 もしもの時の切り札にはなりそうだが……あいつらが騎士団じゃなければいいんだがなぁ。


 何とか確かめる術はないだろうかと悩んでいると、ノールがふと妙案を口にした。


「あっ、レビィーリアさんに聞いてみるのはどうでありますか? 騎士団関係なら何かわかるかもしれないでありますよ」


「そうか、レビィーリアさんがいたじゃないか! ノールもたまにはいいこと言うな!」


「たまにとは失礼でありますよ!」


 レビィーリアさんに聞けばあいつらの正体がわかるだけじゃなく、何かあった時の対処もお願いできる。

 勿論、アルブスに関しては直に聞く気はないけど……後手に回るよりは先に動いておこう。

前書きにも書きましたがコミック版12巻が5月29日に発売となります。

強そうな神官様が表紙を飾っていますので、是非見ていただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
平八がこの世界に異世界転移後に、現実では配布キャラがガチャになってたとかじゃないかな ソシャゲはイラストをはっきり変えるためか、キャラの職種が変わるなんてよくあること グラブルのメグは一般人が戦闘キャ…
配布限定URキャラとかあったら、ガチャに出るのだろうか? 更新ありがとうございます。
仮にGCのキャラとしてUR武器を持ってないのはイベクリア者全員へのプレゼントのSSRだからか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ