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迷宮探索 スライムの恐怖

「よし、今日はついに迷宮に行くぞ!」


「あら、大丈夫なの? Bランクになる為に依頼でも受けるのかと思っていたのに」


「あんなに張り切っていたのに、もう飽きたのでありますか?」


 Cランクになった次の日、俺はついに迷宮に行くことにした。

 迷宮に行くぞという言葉を聞いて、彼女達がなんだか不思議そうな顔をして俺を見てくる。

 全く、飽きたなんて失礼だな。


「違うわい。というか数日でCまで上げたんだし十分だと思うのだが……。それにウィッジちゃんにも既に聞いてきたし」


 数日でランクを2つも上げるなんて普通に考えたらかなり早いだろう。

 朝早くに冒険者協会に行ってウィッジちゃんに上げた方がいいのか確認済みだ。

 聞いてみたらCまで上がっていれば後はそこまで急がなくてもいいですよって言われたよ。

 なんか昨日の件で色々とあったらしく疲れていた様子だったな。なんか悪い事しちゃった気分。

 

「まあ私はいいわよ。迷宮って場所は気になっていたし」


「私も同じくなのであります! 魔石狩りをしないならそれで十分でありますよ」


 彼女達からの同意してくれたし、これでようやく迷宮へ行けるな。

 一体どんな場所なのだろうか。ちょっとワクワクしてくるけど、Bランク冒険者推奨っていうのは怖いな。

 ワシ戦士長やスティンガーみたいなのがうじゃうじゃいるのだろうか? アステリオスと同レベルのがいたら即逃げだ。

 そんなのがいる所を40層も突破したAランク冒険者達はどんだけ強いんだよ。

 ディウスがBだけど、AとBには相当な差がありそうだ。


「それじゃあ向かうとするか」



「お兄さん、行く前にあんなに準備しちゃってどうしたの?」


 今は迷宮に向かい移動している。

 出発する前に食料やポーションなどを補充さらに補充しておいた。


「あぁ、迷宮って地下にあるって言ってただろ? 帰りはビーコン使えない可能性もあるからさ」


「そうでありますな。準備はしておいて損はないのでありますよ」


 迷宮という場所が地下にあるというなら、帰りにビーコンは使えないかもしれない。

 電波が届かない可能性があるって書いてあったしな。

 もしかしたら何かあってすぐ帰れなくなる可能性もある。


「えーと、たしかこの辺だって……あっ、あれか」


「なんだか不気味な入り口ね」


 大体の位置をウィッジちゃんから聞いていたので、それに従って探すと大きな岩がぽつんとありそこには穴が空いていた。

 凄い不自然な感じだな……後から急に付け足されたかのような違和感だ。

 周りの風景と全く合わない異質な雰囲気。この中に最初に入った人は勇気ある方だったんだろうな。

 岩の横には看板があって【Bランク以上の冒険者推奨。Bランク以上でも単独で入ることはお止めください】と書いてある。


「大倉殿、今日はどれぐらいまで行くつもりなのでありますか?」


「そうだな……とりあえず10層ぐらいにしてみるか」


 今回は様子見で10層程の予定だ。それ以上は行けそうでも行かない。

 Bランク推奨というのだから、多分そのぐらいまでは行ける筈だ。

 それ以上は行くとしてもせめて神官か重装鎧の仲間が欲しいところだな。

 ノールも一応盾役はできるけど、アステリオス以上のが出たら彼女でも危ない。


「なんで明かりがあるんだろうな……」


「壁がなんだか発光しているのでありますよ」


 意を決して中に足を踏み入れると、下の方へと続く緩やかな坂道だった。

 地下にあるのなら勿論明かりもないはずなのだが、周りの壁全体が緑色に発光しており視界は悪くない。

 地下っていうからランプの使い道ができたと思ったのだがな……まあいいか。

 それとこの壁便利そうだし、削って持って帰ったりしてもいいんじゃないかな?

 

「お兄さん、さっそく魔物が来たみたいよ」


 辺りをキョロキョロと観察しながら1本道を歩いていると、ある程度の広間へと出た。

 そしてそこには緑色の丸い生物。ズリズリと動くたびに全身がぷるんぷるんと震えている。

 まるで液体で出来ていそうな体だ。中央には白い玉が浮かんでいる。

 その生物が通った道は、発光が失われてただの石のようになっている。この壁に含まれている何かをこいつらは食べているのか?


「なんだか弱そうだな」


「むぅ、大倉殿。見た目に騙されてはいけないのでありますよ」


 あんまり強そうじゃないな。防御もあまりなさそうだし、あの体で攻撃されても痛く無さそう。

 俺がさっそくとエクスカリバールを手にして倒そうするが、その前にノールから待ったがかかった。

 確かに彼女の言うとおりだな。とりあえずステータスを確認しておこう。


  ――――――

●アシッドスライム 種族:スライム

 レベル:35

 HP:1万

 MP:0

 攻撃力:400

 防御力:50

 敏捷:5

 魔法耐性:0

 固有能力 強酸

 スキル 噴出

―――――― 

 

「うお!? 油断して近寄っていたらやばかったな……」


「そういう部分も含めてBランク以上推奨なのかしらね。お兄さん、この中では気を緩めちゃ駄目よ」


 アシッドってこいつ体が全部溶ける液体で出来てるってことか!?

 もし近づいて体に触れでもしたらやばいってことか。ステータスを見れはするけど、GCに無かった能力などはどんなものか俺にはわからない。

 もし強酸が防御無視とかだったらかなりやばかったな。

 魔物を見てどう対応するのか。純粋な強さだけじゃなくてそういう注意力も冒険者ランクを上げるのに問われるのかね。

 ……俺完全にアウトだな。


 その後スライムは結局エステルの魔法で遠距離で処理し進むことになった。

 今のところは倒してもスライムの素材以外は落ちていない。落ちたのは白い玉。スライムの核なのかね?

 これしか落ちないってことは関係ない物は若干レアなのかもしれない。

 

 1層の奥の方まで着くと、また入り口の同じように下へ行く緩やかな坂があった。

 そして進むと今度は2層。いるのは同じようにスライムだったが今度は紫色だ。

 ステータスを見るとこいつはヴェノムスライム。猛毒の能力を持つスライムだ。

 そこも同じようにエステルに処理してもらい、次の3層に入ると今度は透明なスライム。

 その後の4層もスライムが続き現在は5層だ。


「ここマジでやばいな……エステルは俺達から離れるなよ」


「えぇ、わかっているわよ」


「ここで単独行動は控えた方がいいでありますな」


 3層のはスタンスライム、能力は気絶。4層はヒートスライム、能力は火傷だった。

 最初から状態異常の満載で完全に殺しにきている。この迷宮やば過ぎる。

 

 エステルを中心にして俺とノールで守りながら進んできた。

 俺と彼女は状態異常無効があるから平気かもしれないが、わざわざ危険を冒して攻撃しようとは思えない。

 もしかしたらスキルが状態異常系とかじゃないかもしれないしな。

 スライムは移動速度も遅いので、結局はエステルの魔法頼りの攻略になっている。


「おっ、こいつは経験値が高そうだな」


「随分と硬そうなスライムでありますね」


 そしてついに5層。上の階層みたいにスライムがあっちこっちにおらず、広場に出るとぽつんと1匹の銀色に近いスライムがいた。

 おっ、これRPG系に出てくるレアなスライムじゃないか? 俺が知ってるのと違い顔は無いけど大体同じだろう。

 倒すとかなりの経験値が貰えるけど、逃げたりするんだよなぁ。

 ちょっと走って逃げる前に倒したいが、さっきノールに怒られたばかりだしステータスを見てからにしよう。


 ――――――

●スチールスライム 種族:スライム

 レベル:50

 HP:4000

 MP:0

 攻撃力:2400

 防御力:2万

 敏捷:60

 魔法耐性:0

 固有能力 無し

 スキル 変形

――――――


 あれ……俺が考えていたのとなんか違う。でもエステルの魔法で瞬殺できそうだな。

 

 とりあえずエステルに魔法を撃たせよう。

 そう考えて指示を出そうとした時、目の前のスライムは動き出した。

 少し離れた位置にいたスライムの体が変形し、針のように鋭くなったこいつの体が凄い速さで向かってくる。


「うおおぉぉ!?」


「大倉殿!」


 あまりの速さに俺は反応できなかったが、その前にノールが割り込んで盾で防いでくれた。

 いや、マジでいきなりあんな風に攻撃してくると思わなかったぞ。液体金属かよあれ!

 彼女がいなかったら危なかったかもしれない。


「ノール、助かった……」


「いいのでありますよ。それで、どうするでありますか」


 スライムは一瞬にして体を元に戻し、そしてすぐに壁に攻撃を撃ち込んで一瞬で縮め移動した。

 あの速さだと、攻撃する際に少し遅れが出るエステルじゃ当てるのは厳しいかもしれない。

 今は地下でそれなりに広い空間だが、魔法で範囲攻撃をしたら俺達まで巻き込まれる。

 あの体を変えているのは変形というスキルだろうし、俺のスカルリングでスキルを封じてから魔法を撃たせるか。


「とりあえずあいつの攻撃を防いでくれ。隙を見て俺が風属性攻撃で攻撃してスキルを封じる」


「了解であります!」


 エステルの前に俺達は立ち、スライムが彼女の方へ行かないようにする。

 最初はノールがあいつの対象になっていたみたいで、攻撃はほぼ彼女へと集中していた。

 そこであいつが伸びて攻撃したところを俺がバールを振って風属性攻撃を当てる。

 すると今度は俺が対象になるが、そこにノールが滑り込んで盾で弾き返す。

 それを繰り返していき、しばらくして俺の攻撃を何回も食らったスライムが元の丸い体に戻って動きが止まった。

 ようやくスキル封印が発動したのか。


「よし、エステル。あいつに魔法を撃ってくれ」


「えぇ、了解よ」


 そして動きが止まったスライムをエステルに魔法で攻撃させた。

 HPが低く魔法耐性もないスライムは、エステルの火の魔法で消滅する。

 消滅した場所には銀色の玉と鉄のような素材で出来たブーツだ。

 おっ、これがレアドロップって奴か?


「5層目でこれかよ……とりあえず10層目までじゃなくて行ける所までにしないか? 10層目まで行けそうなら行くで」


「了解なのでありますよ」


「そうね、ちょっと想像以上かもしれないわ」


 まさか5層目でこんな魔物が出てくるなんてな……。

 正直もう帰ろうかなと思ったが、とりあえず先へ進むことにした。

 ここから先にやばいのがいたら、素直に回れ右して帰ろう。帰ればまた来れるし。


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