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おまけ付きガチャ

 おまけ付きガチャの通知を受け、全員に声をかけて居間へ集合した。

 集まったマルティナとミニサレナは首を傾げていたが、ノール達は何となく察しているご様子。


「急に皆を呼んでどうしたんだい? いつになく真剣な雰囲気をしているけど……」


『ヤァ?』


「マルティナさんとミニサレナさんはわかりませんよね。大倉さんが急に私達を呼ぶなんて決まってるじゃないですか」


「大倉殿がここまで真剣そうにしてるのはガチャしかないでありますよ」


「うむ、平八ならガチャに違いない」


「わーい! ガチャ楽しみなんだよ!」


 うん、俺の雰囲気だけでガチャだとわかるとはさすが長年を共にした仲間だな。

 俺の扱いに関しては誠に遺憾であるが。

 だがノール達の反応とは裏腹に、今回の俺は一味違うのだよ。


「待て待て、お前らの予想通りガチャだけどまだ回すと決まった訳じゃない」


「えっ、どうしちゃったのでありますか! 大倉殿がそんなこと言うなんて天変地異が起きるでありますよ!」


「熱でもおありなんでしょうか? それとも頭でも打ちましたか? 良ければ治療いたしますけど……」


「平八、気でも触れたのか?」


「さっき一緒に狩りをしていた時は普通だったのに! 平八死なないで!」


 何故俺がガチャを即座に回さないだけで、こんな反応をされないといけないのだろうか。

 シスハの奴までからかってる雰囲気じゃなくて真面目に心配してやがるぞ。まともなのは俺だけか!


「今回はおまけ付きのアイテムガチャだからな。普通のアイテムガチャじゃ回す気しなかったが、おまけ次第じゃ回すしかないだろ? その相談をするのにお前らを呼んだ訳だ」


「おまけですか。ガチャを回して追加でおまけまで貰えるとは太っ腹ですね」


「ガチャって元々回せば何か貰える物なんだろう? それなのに何で更におまけが貰えるんだい?」


「あー、それはおまけが付くことでお得感を出すためだな。ある程度ガチャを回したユーザーは回すガチャを厳選し始める。だからおまけを付けることでガチャを回させ……はっ!? それって今の俺達じゃねーか!」


「つまりガチャを回させる方法の一環なのね。あの手この手でガチャをさせようなんてある意味感心しちゃうわ」


 俺達が魔石を貯めようと方針を決めた途端このガチャである。

 そこはかとなくガチャを回させたいという意思を感じる気がするぞ。

 だけど今の俺は無料石を貯め込んで、目当てのキャラのピックアップを待つ備蓄の鬼状態だ。

 生半可なおまけじゃこの平八の心は動かない。

 さて、このガチャ運営のお手並み拝見といこうじゃないか。


――――――

【おまけアイテム】

・特賞 UR確定チケット

・1等 URユニット強化権

・2等 SSR装備強化権

・3等 SSRスキルアップorSSRコストダウン

・4等 プレミアムチケット

・5等 神魔硬貨

――――――


「おいおいおい! こんなの回すしかねーだろうが! ふざけるなぁ!」


「喜んでるのか怒ってるのかわかりませんね。でもこの内容でしたら魔石が尽きるまで回してもよさそうです」


「10回限定なんだよ! ふざけんなぁ!」


「この内容じゃ大倉殿がこうなるのも仕方ないであります。これっておまけまでランダムでガチャみたいでありますね」


「ガチャにガチャを重ねているようで変な感じね。でもこんなおまけが付いてくるなら回さない訳にもいかないわ」


 おま、こんなの11連ガチャのおまけに付けるもんじゃないだろ!

 回すに決まってるだろふざけんな! 最高かよ!

 声を荒らげて叫んでしまったが一旦冷静になり、続けてアイテムガチャの内容も確認した。

 もうおまけの時点で回すの確定だが、今回はピックアップ対象もあるから内容も大事だ。


――――――

ピックアップ対象

●URタイムストッパー

●URサテライトビーコン

●UR天の腕輪

●UR回帰の書

●URエリクサー生成器

――――――


「マジかよ……。おまけに目が眩んでたけど、ピックアップされてるアイテムも興味深いな」


「天の腕輪は前にURアイテム交換チケットの対象になったわよね。空を飛べるアイテムはあったら便利だわ」


「エリクサー生成器っていうのもよさそうです。これなら消費してもまた作れるってことですもんね」


「サテライトビーコンはビーコンの上位互換でありますかね? どんな物か想像ができないのでありますよ」


 どんな効果なのか見ることはできないが、名前の時点で気になる物が多いな。

 アイテムガチャはアイテムの排出率が全体的に上がるから、ピックアップもアイテム系で統一されているっぽい。

 特にタイムストッパーって名前からして時間停止可能なアイテムだよな?

 GCにも時止めスキル持ちのキャラクターがいたけど、これを使えば俺も同じことができるのか。

 時間を止めて相手をタコ殴りにしたり、武器を投げて刺さる直前で停止させたりしたくなるぞ。

 まさに平八の世界ってやつだな。

 おまけよし、内容もよしと回す理由しかないほどのガチャだぞ。


「それじゃあ今回のガチャは回すってことでいいよな? そこで提案なんだが、今回はマルティナとミニサレナだけに任せるのはどうだろうか」


「えっ、僕が!? どどどど、どうして僕がガチャを!」


「マルティナはまだガチャ未経験だからな。どれだけのガチャ運があるか確認しておきたいんだ。ミニサレナに回させるのも同じ理由だぞ」


『ヤァ! ヤァヤァ!』


 今回のガチャは10回だけ回すから、マルティナ5回、ミニサレナ5回回してもらうことにした。

 マルティナは不安がっているが、ミニサレナは片手を上げて嬉しそうにしている。

 ノール達も俺の意見に賛成してくれたから問題もない。

 見せてもらおうか、マルティナとミニサレナのガチャ運とやらを!

 

 最初はマルティナから回すことになり、スマホを持って指先を震えさせながらガチャのボタンをタップした。

 画面に宝箱が映し出される。そして宝箱は、銀……銀で止まった。

 

【R釣竿、R香水、R食料、R万能薬、R寝袋、Rおやつ、Rポーション×10、Rぬいぐるみ、R香水、R栄養剤、R薄い本 おまけ:5等】


「えっと、これって……どうなのかな?」


「ほうほう、ほほう、そういうことですか。マルティナさん、あなたに初めて親近感が湧いてきましたよ。同志として認めてあげなくもありません」


「えっ、え? それってどういう……」


「まだそう断定するのは早いんじゃないかしら? 続けてガチャを引いてみて」


「は、はい……」


「マルティナちゃん頑張れー!」


「少しは応援してやろう」


 初のガチャでRだけのグロ画像、しかもおまけは5等って……いや、まだだ、まだ決まった訳じゃあない。

 フリージアとルーナの声援を受けながら、続けてマルティナは4回11連ガチャを回した。


【SR鍋の蓋、SRニケの靴、R閃光玉、SR高級酒、Rマジックポーション×10、R布の服、SR守護の指輪、R万能薬、Rお守り、Rホットリング、SRビーコン おまけ:5等】


【SRエクスカリバール、Rトランシーバー、Rマジックダイナマイト、SRウエストポーチ、Rおやつ、R金塊、SR獅子の心、SR身代わり玉、SSR希少鉱石セット、R寝袋、SRマジックブレード おまけ:5等】


【SR鍋の蓋、SR高級アイマスク、R万能薬、SRエアーロープ、SR四次元箱、R銀塊、SR調味料セット、SR高級食料、SSR抽出機、SR幸福の指輪、SR賢者の石 おまけ:4等】


【R万能薬、Rキャンプセット、R煙玉、R薄い本、SR希少鉱石、Rデコイ、SR幸福の指輪、SR爆裂券、Rマジックポーション×10、R酒、SR万能シャベル おまけ:5等】


「うぅ、僕なんて、僕なんて……」


「そう落ち込むなよ。まだ5回しかガチャをやってないんだしさ。って、お前何を書いてるんだ?」


「統計を取ろうかと思って……今後ガチャをする時に何か役立つかもしれない。次は絶対URを当ててみせる!」


「その意気込みはいいですね。マルティナさんのこと応援して差し上げますよ、同志として」


「何だか嬉しそうでありますなぁ。でもこれで決まった訳じゃないでありますから、落ち込まないでほしいのでありますよ」


 意気消沈しているマルティナの肩をシスハが笑顔でポンポンと叩いている。

 どうやらマルティナのガチャ運はあまり良くないようだな。

 この悲惨なガチャ結果を見てシスハが今までになく共感してやがるぞ。

 

 落ち込みながらもマルティナはどこからか取り出した手帳に、ガチャから出たRやSRの数を書いている。

 統計を取り出すとかこいつもしやガチ勢では……今後次第でマルティナも同志にできそうだな。

 

 ノール達がマルティナを励ます中、今度はミニサレナがガチャを回す番。

 スマホを受け取ったミニサレナは、ヤァー! と叫びながら躊躇なくガチャのボタンをタップした。

 ミニサレナは機械だしガチャ運なんてあるのか疑問ではあるが果たして結果は。

 画面に宝箱が表示され、銀、金、白、虹。虹で止まった。

 

【URサテライトビーコン、R閃光玉、SR高級食料、Rキャンプセット、Rマジックダイナマイト、SR守護の指輪、Rおやつ、SRハイポーション×10、SR警報機、SRエアーロープ、R金塊 おまけ:1等】


『ヤァー!』


「うおおぉぉぉぉ!? マジかよ!」


「ミニサレナちゃん凄いんだよ!」


「いきなりこの結果は驚きね……。URだけじゃなくておまけまで1等よ」


「そ、そんな……僕とミニサレナさんにこんなにガチャ運に差が……」


 おいおいおい、まさか初手からURにおまけ1等だと!?

 あまりの落差にマルティナが灰になって消えちまいそうになってやがるぞ!

 勢いに乗ったミニサレナは続けざまに4回11連ガチャを回した。


【SRエクスカリバール、Rマジックダイナマイト、Rトランシーバー、SR身代わり玉、SR鍋の蓋、SR高級おやつ、Rぬいぐるみ、Rアイスリング、SR雨雲アプリ、SR爆裂券、R釣竿 おまけ:5等】


【SSR解放石、R万能薬、SR高級酒、R金塊、SRウエストポーチ、SR慈愛の指輪、SRショルダーバッグ、SSR合成箱、Rおやつ、SRビーコン、SR忘却薬 おまけ:4等】


【SRエクスカリバール、R閃光玉、SR守護の指輪、Rトランシーバー、R煙玉、SR爆裂券、SR警告機、Rマジックポーション×10、SR白金塊、R発炎筒、SR脱出装置 おまけ:5等】


【SSRディメンションウォール、Rキャンプセット、SRマジックブレード、SRニケの靴、SRハイポーション×10、R万能薬、SR高級食料、SR希少鉱石、SRホールドトラップ、R発炎筒、R電子レンジ おまけ:3等】


 流石に1回目以降URは出なかったけど、追加でおまけが3等まで出るとは……。

 ミニサレナはガチャの結果に満足したのか、むっふんと腰に手を当てて胸を張っている。

 機械にもガチャ運は存在するもんなんだなぁ。

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― 新着の感想 ―
ちょっと思いついて読み返してみたけどプレミアムチケット2枚手に入れてるじゃないか SSR以上確定のプレミアチケット使わない訳ないと思うのに全然使っていない 使ったけど既知のSSRだったから省略したのか…
[気になる点] 平八よ…… 確かに試験は必要だが、回数限定なら1発くらいはモフットスキルで高倍率ガチャやっとくべきだったのでは……? 勿体なくない?
2024/06/07 14:09 通りすがり
[良い点] ガチャ回が毎回とてもワクワクして読めてとても楽しい [気になる点] 神魔コイン1枚でコストダウン、スキルアップ 神魔コイン3枚でプレミアムチケット の価値だったはずなので、おまけの3~5…
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