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坑道の先へ

 ゴールデンガーゴイルを倒した後も居住区らしき場所を探索したものの、短剣以外にドワーフと関連のありそうな物は微塵も存在しなかった。

 この日はここでディメンションルームを使い休息を取り、居住区を抜けて先の道へ進むのを再開。

 その後も少し道を外れて小規模な居住区や休憩スペースなどを探索したが、全て放棄されて風化しており何も残っていない。

 やはりどこにも襲われた形跡はなく、ここにいた人達は自らの意思で計画的にこの場所を放棄したというのが今の俺達の考えだ。

 鍛造をする工房のような施設はピンポイントで1つ残らず壊されていて、どのような物を作っていたのかすら判断できない。


 ここで採れる鉱物が尽きたから撤退した可能性もあるけど、ガーゴイルの湧く魔物の巣窟になってるしそう単純なものとも思えない。

 そんな考えに頭を悩ませる俺やエステルであったが、その一方でフリージア達はというと……度々現れるゴールデンガーゴイルを狩って喜びの声を上げていた。

 今もまた遭遇したゴールデンガーゴイルをバラバラに砕け散らせて、ドロップした金塊を手にはしゃいでいる。


「えへへ、金塊が沢山なんだよ! 坑道探索って楽しいね!」


「クックック、魔物から金が入手できるとは素晴らしい! 我が深淵の領域を彩る資金源となそう!」


「ふむ、倒した分は私達の小遣い。ベッドメイキングだ。平八、全て倒してしまっても構わんだろう?」


「あ、ああ……けどあれを倒すのを目的にするんじゃないぞ」


「全く、マルティナ達金に目が眩んでるじゃない。困っちゃうわね、ノール、シスハ」


「むふふ、これで美味しいご飯を……ふぇ? な、なんでありましょうか?」


「うふふ、ここはちょっとしたボーナスですね。奮発してお高いお酒を買っちゃいますかね」


 フリージア達だけじゃなく、ちゃっかりとノールとシスハもゴールデンガーゴイルを狩っていたのか金塊を手にしていた。

 その姿を見てかエステルは呆れたように頬に片手を添えてため息を吐いている。

 普段から小遣いはちゃんと渡しているからある程度の物は買い放題のはずなんだけどなぁ。

 いつも皆で狩った魔物の素材とかは俺が代表して売り払って、基本的に共同の資金として貯蓄してある。

 あのガーゴイルから採れる金塊はかなりの値段になりそうだから、遠慮なしに使える収入としてはちょうどいいから好きにさせておこう。

 ……それにゴールデンガーゴイルは希少種で魔石も手に入るし、ノール達が喜々として狩りをしてくれるなら都合がいいぜ。

 坑道を埋め尽くすぐらい大量に出てきてほしいぐらいだ。

 

 やる気満々なノール達の寄り道気味なガーゴイル狩りをしつつ更に進んでいると、また地図アプリに変化が訪れた。

 蟻の巣のように脇道の通路などが入り乱れていたのがなくなり、1本の太い道が地図アプリの範囲外まで続いているのが表示されている。


「もう少し進んだところからなんか様子が違うみたいだぞ」


「あら、本当ね。さっきまで蟻の巣のようだったのに、この先は一本道のようだわ」


「むむっ、ようやく終わりが見えてきたのでありましょうか。ついにドワーフの地下都市なのでありますね!」


「ですがここまでドワーフの地下都市へ繋がる証拠がまるでありませんでしたね。本当にこの先がその道なんでしょうか? 掘っている途中の坑道で単純に行き止まりの可能性もありますよね」


 確かに居住区みたいな場所に全くドワーフのいた痕跡もなかったし、この先に地下都市があるのかちょっと疑問だな。

 シスハの言う通り採掘途中の通路ってだけで、先に進んでも行き止まりっていうのは十分に考えられる。

 何日もかけて坑道から地下に潜り込んだのに徒労で終わるのは嫌だなぁ。

 この道がドワーフの地下都市に繋がっているのを祈るしかないか。

 

 俺達が向かう前に確認のため先行してマルティナのゴーストを飛ばしてもらっていたが、突然彼女は大きな声を上げた。


「あっ!?」


「うおっ、急に声上げてどうしたんだ?」


「これ! これを見てよ!」


 そう言って慌てた様子でマルティナは俺の体に触れてくると、ゴーストとの視界共有で景色が瞬時に切り替わった。

 そして目に入ってきたのは濃い緑色に地面や壁が発光した先の見えない通路。

 坑道と境界線のようにキッパリと分かれていて、見るからに異様な雰囲気なのがゴーストの視界を通しても伝わってくる。


「……マジかよ」


「むー! 何が見えてるの! 私も見たいんだよ!」


「騒ぐなって! 多分だけどこの先迷宮があるっぽいぞ」


「えっ、迷宮でありますか!?」


 この壁や地面が緑色に発光しているのは迷宮の特徴と言ってもいい。

 マルティナもそう思ったから慌てて俺に視界共有で伝えてきたのか。

 続くようにエステル達も視界共有でその景色を見せてもらっていたが、ほぼ俺と同じことを思ったようだ。


「見た目は迷宮だけどまだそうだって確定した訳じゃないわよね。何にせよこの先で何か起きてるのは確実だわ」


「まさかドワーフの地下都市じゃなくて迷宮があるとは思いませんでしたね。ちょっとワクワクしてきましたよ」


「迷宮があるってことはここは都市に繋がっていないってことでありましょうか? ドワーフを探しにきたのに見当違いだったでありますなぁ」


「無駄骨か。もう帰ろう。迷宮探索はしたくない。もう帰ろう」


「えー! 迷宮探索も面白そうなんだよ! ここもスパッとクリアしちゃお!」


「僕も深淵を探求する者として迷宮は是非行ってみたいね。それにこんな地下奥深くにあるなんて、お宝が眠っていそうじゃないか! ゴーストレジャーハンターの血が騒ぐというもの!」


 勝手に死霊術師からゴーストレジャーハンターとか胡散臭いジョブにチェンジしないでくれませんかねぇ。

 ドワーフを探しに来たのに迷宮が見つかるとは、ガーゴイルが坑道に出てくるのもここが原因なのか?

 今は迷宮探索なんてしてる場合じゃない……と言いたいところだけど、せっかく見つけたんだしちょっと覗いていくか。

 坑道の感じからして精霊樹の迷宮のように活性化してなさそうだし、簡単に攻略できるかもしれない。

 迷宮の報酬は美味しいから是非ともクリアしておきたいぞ。

 

 さっそく迷宮らしき場所の境目まで進んでみると、やはり地面などが濃い緑色に発光していて見るからに迷宮。

 試しにエクスカリバールで叩いてみてもビクともせず、エステルも軽く魔法を撃ちこんでみたが全くの無傷だ。

 

「うーん、やっぱりどう見ても迷宮だよな。壁が俺のエクスカリバールでも傷すら付かないぞ」


「私の魔法でも破壊できそうにないから、迷宮と思って間違いなさそうだわ。迷宮を見つけられたのはいいことだけど、ドワーフの地下都市の当ては外れちゃったわね」


「グラリエさんの言っていた地下都市に続く道とやらは別の場所だったのでしょうか? ですがそれらしい入り口はここ以外にありませんでしたよね」


「むむむっ、何だかややこしいことになってきたでありますね。途中で道を間違えたのでありましょうか」


「この迷宮がいつからあるのかも気になるね。迷宮が出てきたから坑道が放棄されたのか、放棄された後に迷宮が出てきたのか。くぅー、こういう謎を追うのもロマンを感じるよ!」


「わーい! 今回は謎解き探索なんだね! 坑道の秘密を解き明かしちゃうよ!」


「やれやれ、めんどくさい。何故いつもこう面倒ごとが起きる」


 うーん、当初の目的とは違ったけど、とりあえず迷宮の中を確認してから攻略するか検討しよう。

 ドワーフの地下都市はないって雰囲気になりつつあるが、本当にこの坑道内に道は存在しないのか?

 グラリエさんの話が間違っていたのかもしれないし、俺達が別の入り口に入ってしまった可能性もある。

 それなら坑道内にドワーフの痕跡が殆どなかったのも納得できるが……なんか引っかかる気がするんだよなぁ。

 はぁ、拍子抜けするぐらい簡単に情報が手に入ったと思ったけど、やっぱ思い付きでドワーフを探すのは無謀だったのだろうか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] これってもしかして、さっきの廃墟に住んでたドワーフが、 近くに迷宮出来て、ちょっと試したら居心地良い事に気づいて 皆で迷宮に引っ越したって落ちじゃない?
[気になる点] 迷宮を抜けた先にドワーフたちの都市がある可能性もあるんだが? 迷宮を防壁代わりにしてるとかさ!
[一言] ゴールデン種には勝手に魔法抵抗力が高いイメージがある不思議。 迷宮化したところに住み着いて嬉々として素材を漁るドワーフさんたちの姿が見えるようだ。
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