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手掛かり発見?

 坑道探索を始めてから3日目、休憩を挟みながらのゆったりとした探索ではあったが未だに坑道の終わりは見えない。

 相変わらずガーゴイルやコロッサスの襲撃はあるものの、特に危なげもなく新たな発見もなく地図アプリとマルティナ頼りに進むのみ。

 だが、ある程度奥に進んだところで急に地面や壁、さらに天井まで綺麗な平らに掘られた場所になった。


「ふぅ、本当に蟻の巣みたいな坑道だな。数日探索しても全体像が見えないとかどんだけ広いんだよ。けどなんかこの辺りから妙に壁とかが綺麗だな。こんなの本当に人が手で掘ったのか?」


「うーん、こんな平らになっているのは、多分土魔法などを使って掘っていたのではないでしょうか」


「そうね。掘っただけじゃなくて壁とかも魔法で手を加えた痕跡があるわ。崩れないように補強もしていたようね。空気の流れを作る魔法陣も入り口に残っていたから、魔法は確実に使っていたはずよ」


「先行して魔法で大々的に通路を掘って、後から鉱物とかを手作業で採っていく方法があるって聞いたよ。この世界でも似た手法なのかな」


 なるほど、この世界は魔法があるんだからそりゃ色々なところで使われているか。

 スコップやツルハシを使うよりも、魔法で掘り進めた方が断然早いだろうな。

 山に渦巻き状に掘られた穴も同じような感じで掘ったのかね。

 坑道に入る前にエステルが魔法陣を発見していて、それを利用して坑道内の空気なども循環してある。

 なのでこの坑道を作るのに魔法が使われているのは間違いない。

 

 そんな考察交じりの雑談をしながら歩いていたのだが、ルーナがクイクイと服を引っ張って訴えかけてくる。


「私は疲れた。いつまで探索をすればいい。平八、本当にこの道であっているのか?」


「いやー、行き止まりじゃない道を選んでるだけだから正解か言われてもなぁ」


「大丈夫なんだよ! こっちで合ってる感じがするよ!」


「フリージアの直感は当たるでありますからね。きっと大丈夫なのでありますよ!」


 本当に複雑に入り組んでいる坑道だから、今進んでいる道が正解なのかわからない。

 一部が通路が埋まっていたり塞がれていたりしていたけど、ディメンションホールを使って突破している。

 地図アプリに見えない範囲はマルティナのゴーストを飛ばして確認してもらっているが、分岐していたりゴーストすら飛ばせない範囲だったりで不確かだ。

 終わりの見えない探索に不満を露にするルーナをなだめていると、ようやく地図アプリに変化が訪れる。

 通路とちょっとした小部屋しかなかった坑道内に、かなり大規模で広い空間が表示された。

 しかも立体的に見ると坑道内なのに複数の建物まで存在していて、明らかに拠点とも思える場所だ。


「なんか広い空間が地図アプリに映ったぞ。建物もあるみたいだが……」


「おお! ついにドワーフの都市なのでありますか!」


「うーん、けど地図で見た感じ都市って程の規模に見えないわね。中継地点ってところかしら?」


「ようやく手掛かりらしい場所が見つかりましたね。そこならドワーフに関する何かが残っているかもしれませんよ」


 確かに広い場所で建物もあるけど、地下都市と言うほどとは思えないな。

 エステルの言う様に恐らく地下と地上を繋ぐための中継点ってところだ。

 今まで進んでた道でいいのか不安だったが、ドワーフの地下都市と繋がっているならここを通っていた可能性は十分にあるから正解と思っていいだろう。

 さっそくその広間を目指してガーゴイル達を蹴散らしながら進みあっという間に目的地に到達。

 暗い場所だったのでエステルに魔法で照らしてもらうと、地図で確認した通りそこは建物がいくつも立ち並ぶ場所だった。

 ここも地面や壁が綺麗に均されていて上も見上げる程天井が高く、2階建ての大きさの建物が多くて普通に住めそうな住居に思える。

 だが、所々壁などが崩れていたり壊れかけの荷車があったりして、放置されてからかなり年数が経っているようだ。


「おー、地下にこんな建物があるなんてな。見たところ採掘した鉱石とかをここに1度運び出していたのか?」


「だいぶ荒れ果てていますがその名残は感じられますね。他にも似た休憩スペースみたいなのはありましたが、ここは住居の役割をしていたのでしょうか?」


「建物も風化しているだけで物理的に破壊されたように見えないでありますよ。ここも放棄された場所なのでありましょうか?」


「採った鉱物とかも残ってなさそうだわ。放棄する前に持ち出したのか、それとも誰かが持って行ったのか……でも戦闘の形跡はないようね」


「うん、ここにも霊体はいないみたいだよ。これでは僕の死者の助言が発揮できないではないか!」

「血の匂いも残ってない。争いごとはなさそうだ」


 マルティナとルーナが言うなら間違いなさそうだな。

 魔人がここに攻め込んできて戦ったなら戦闘の形跡がありそうだし、ここは単純に使われなくなって放棄されただけなのだろうか?

 そもそも人が使っていたのかドワーフが使っていたのかすらわからないからな……とにかく何かドワーフの痕跡がないか探してみよう。

 ここには魔物もいないみたいだから全員手分けして探すことになった。

 どの建物も大部分が土で作られていて、内部はしっかりした作りで風化していると思えないぐらい頑丈そうだ。

 これも土魔法で作って強化でもされているのだろうか。

 そもそもこんな広い空間なのに天井は全く崩落した形跡もないし、相当強固に作られていそうだな。

 色々と観察するようにある程度探してはみたものの、俺は特に何か手掛かりになりそうな物は見つけられなかったので一旦シスハ達と合流した。


「どうだ? 何か情報になりそうな物は残ってたか?」


「こちらには何もありませんでしたね。ですがベッドや机などが残っていましたから、人かドワーフがいた場所なのは確かでしょうか」


「あっちに鍛造する工房だったような場所が複数あったよ。でも全部壊れちゃってて何も見つからなかったよ。多分あれは意図的に破壊されてるね」


「この空間に魔法が使われている形跡もあったけれど、空調や光を使う物で特に変わった物はなかったわね。強いて言うならこの場所は他のところよりちょっと強固に壁とかが作られている程度かしら。かなり優秀な土魔法の使い手が関わっていたんだと思うわ」


「ふむ、地下だけあってなかなか居心地がいい。寝るならそれなりに適した場所だ」


「ルーナは一体何を探していたのでありますか……。私は特に変わった場所は見つけられなかったのでありますよ」


 やっぱりシスハ達も何も見つけられなかったみたいだな。一名ちゃんと探してるか怪しいが。

 このまま更にここを探索するか、それとも先に進むか迷っているとこの場にいなかったフリージアが片手を上げながら駆け寄って来た。

 その手には何やら短剣が握られている。


「ねーね! 短剣が落ちてたよ! はい、あげる!」


「おっ、そんな物があったのか。どれどれ……」


「むむっ、放置してあったのにこれ程の状態を保っているとはなかなかの業物でありますね。ここで作られた物なのでありましょうか?」


「私にはよくわからないけれど、ノールがそう言うならかなり良い物みたいね」


「ドワーフが作った物の可能性も十分ありそうですよ。ですが、これではドワーフとの関わりがあるか今は判別できませんね」


 フリージアが持ってきた短剣は、刃の金属部分に模様が入った物だった。

 後から描き込んだ物とかじゃなくて、金属そのものの模様みたいだ。

 柄の部分は若干風化しているのかボロく見えるが、金属は艶めいていて切れ味は鋭く思える。

 ノールが業物って言うとは、ガチャ産のR品を重ねてちょっと強化した物にも匹敵しそうな質か?

 こんな物がその辺に落ちているなんて、やっぱりドワーフとここは何か関係がありそうだな。

 

 他にも何かないか探そうとしたのだが、地図アプリを見ると通路に赤い点が表示されていてこの場所に向かってきていた。


「ん? おい! あっちから魔物が来るみたいだぞ!」


「あら、ここを住処にしていた魔物でもいるのかしら」


 魔物は1体だけだったが、こういう場所にいる時は出現するのは大体変わった魔物ばかりなのがお決まりのパターンだ。

 来ている通路の前に陣取って全員で待ち構えていると、通路の奥の方から光が迫ってくるのが目に入った。

 段々とその光は強くなってきてその発光源がこの広間に入ってきたのだが、それは黄金に光り輝く金色のガーゴイル。

 なんだあの金々のガーゴイルは!? あんな奴までここにいるのかよ!

 と、とりあえずステータスオープンだ!


――――――

●ゴールデンガーゴイル 種族:ガーゴイル

 レベル:65

 HP:8000

 MP:600

 攻撃力:1400

 防御力:4500

 敏捷:150

 魔法耐性:60

 固有能力 魔法反射

 スキル 黄金の煌めき

――――――


「わぁー! 金ぴかだ! 金の魔物なんだよ!」


「金のガーゴイル!? あんなの絶対逃がす訳にはいかない! 頼んだ友よ!」


「私に任せろ。金落とせ」


 まずマルティナが瞬時にゴーストを張り付かせてゴールデンガーゴイルを地面に落下させて動きを止めると、続けてフリージアとルーナが矢と槍を放った。

 避ける暇は当然なく絶命の声すら上げる瞬間もなく、攻撃を受けてガーゴイルはバラバラに砕け散ってしまう。

 光の粒子になって消滅した場所には拳大の金塊が落ちていて、フリージア達はそれを拾いワイワイとはしゃいでいる。

 ……こっわ、喜ぶ姿は微笑ましいけど、目にも止まらない速さの連携で瞬殺とか恐ろしいぞ。


「ルーナ達って意外と金に抜け目ないんだな」


「うーん、珍しそうだから倒したくなったんじゃない? 金を落とす魔物となれば私もちょっと倒したくなるかも」


「あんな魔物がいるなんて思いもしませんでしたね。冒険者協会でも聞いたことないですよね?」


「ああ、アイアンガーゴイルとコロッサスぐらいしか情報は聞いてないな」


「ここまで奥深くに来た人がいないからでありましょうか? それとも何か異変が起きて新しく出てきた魔物だったりも……」


 元々ゴールデンガーゴイルはいたけど発見されなかっただけか、もしくは精霊樹にいたイータートレントのような異変で発生した魔物なのか。

 まさかここも迷宮化してたりしないよな?

 ドワーフの地下都市を探しに来ただけなのに……また嫌な予感がしてきたんだが。

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― 新着の感想 ―
[一言] 可愛いルーナ達の姿を見るために犠牲になった金ガーゴイル様に黙祷
[一言] ヒャッハー金塊の時間だー!やはら時代は金。現金溜め込んだところで紙屑になったら終わりよ。 短剣使いキャラ実装フラグはよ?
[一言] 金ゴイルさん......南無です。
2022/11/28 08:11 アダンソン
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