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今後の目的

「私、凄く重要なことに気が付いたのでありますよ」


「ん? なんだいきなり」


 起床し、朝食を食べていると突然ノールが呟いた。重要なことってなんだろう?

 俺としては昨日の会話をどこまで聞かれていたのか、それの方が重要だ。

 朝から特に変わりなく接しているので聞かれてはいないはずだが、これがノールの優しさで触れないようにしているだけなら恥ずかしいぞ。


「実は……大倉殿の目的を聞いていないのでありますよ!」


「あら、そういえば私もまだ聞いたことなかったわね」


「あれ? そうだったっけ?」


 だいぶ前に言った覚えがあるような、ないような……。


「あぁ、そうだな。俺の今後の目的は……目的は……なんだっけ?」


「いや、それを私達に聞かれても……」


「忘れるってことはそれほど重要なことじゃないのかしら?」


 改めて考えてみると、俺何を目指していたんだっけか? ガチャだっけ?

 とりあえず戦力増やす為にガチャを引くってことだけは覚えている。

 エステルが言うように忘れるなら大したことじゃ……あっ。


「あー、そうだそうだ。元の世界に帰れる方法を一応探すことだった」


「いやいや、それ忘れるっておかしいでありますよ!?」


「なんか凄く軽いわね……」


 自分でも驚くぐらいにすっかり忘れていた。

 それを聞いた彼女達は少し引き気味な感じになっているが仕方ない。

 元の世界へ帰る為には色々なことをしないといけないと思って、仲間を増やそうとしていたんだっけ。

 今じゃガチャ回すのに必要な魔石集めの効率上げる為に仲間欲しい状態になっていたわ。


「いや、案外こっちの生活も楽しいし、ガチャも回せるからな。……あと今更帰ってもあっちがどうなってるのか考えると怖い」


「なんだか悲壮感が漂ってるのであります……」


「現実逃避しているみたいね。そっとしておきましょ」


 ガチャ回せることや、GCのキャラ達が仲間になっていることに興奮していたから気楽にやってきた。

 しかし考えてみたらここに来て既にかなりの日数が経過している。

 仕事、借りている部屋、その他のことを考えるともう帰らなくてもいいんじゃね? って正直思ってきた。帰るの怖い。

 帰った後に今までどこに居たのかとか聞かれて、異世界行ってました! なんて言ったら病院に隔離されてもおかしくない。

 でも両親に会いたくなることもあるかもしれんし、アニメやゲームやPCとかに未練はちょっとある。


「それで、帰る方法と言っても当てがあるのでありますか?」


「全く無い。可能性としてはガチャかな? 来た時もガチャから出たアイテムが原因だし」


「ガチャからの排出となると気が遠くなる話ね」


 結局この世界のことについて特に調べることなくここまで来た。

 魔王やらそういうのがいるなら、そいつ倒すことで帰れるってのはありそうだがこの世界にはいなそうだし。

 多分ガチャから出るのかもしれないが、そうだとしてもURだろうし狙って出すとなったらかなり厳しいだろう。

 もし有ったとしても確率が0.001%とか頭が吹っ飛んでいるような設定の可能性だってあるし。


「まあそれなりに帰る方法は探すさ。帰るかは方法が見つかってから考えるわ。だから一応この世界でも生活できるようにはしておきたいな」


 今はこのままこっちに居たい気持ちの方が強い。可愛い女の子達と一緒にいられるなんて、戻ったら二度と有り得ないぞ。

 それに俺が帰るとしたら、出したユニット達はどうなるのか気にもなる。

 もしこのまま置いて帰ることになるようなら、責任を持って彼女達がちゃんと生活できるようにしてあげたいしな。


「さて、それより今日はどうしようか。また北の洞窟行くか?」


「うぅ~、せっかくガチャも回し終えたのでありますし、他の場所に行きたいのでありますよ」


「そうね。最近サソリの足音が幻聴として聞こえ始めたし、もうそろそろ他の場所にしない?」


 まあガチャだった場合は魔石を万単位使ったとしても出るかわからんので気長にいこう。……その頃には帰る気完全に無くなってそうだけど。

 

 今日も経験値稼ぎしながら魔石集めでもしようと思ったが、確かに何十日もあそこに通っているからそろそろ気分転換がしたいな。


「うーん、そうだな。じゃあ迷宮って所にそろそろ行ってみるか?」



「すいません~」


「ひゃん!? お、大倉さんですか……ま、またスティンガーですか? 今日は随分とお早いですね」


「あっ、いえ、違います。今日は迷宮って場所についてお聞きしようかと思いまして」


 迷宮の話を聞く為に、詳しそうな冒険者協会へとやってきた。

 いつも通りに後ろを向いて何か作業をしていたウィッジちゃんに声を掛けると、声を上げてビクンとしている。

 俺を見て顔を引きつらせているのはなんだか悲しいな。ヘコむぞ……相変わらず良いお胸をしていらっしゃる。


「あー、迷宮ですか。あそこはBランクが最低基準なのですが、大倉さん達でしたら大丈夫ですね」


 そうしてウィッジちゃんの迷宮講習が始まった。

 迷宮はハジノ迷宮と呼ばれ南の森のはずれにある。地下に潜るようになっていて、1層ごとに生息する魔物は違うようだ。

 そこでドロップするアイテムは、外の魔物とは違い全く魔物に関係ない物まで落ちるらしい。前に買ったパジャマのように。

 階層はどこまで有るか判明しておらず、今のところはAランク冒険者達によって40階層辺りまでは突破されている。


「という感じです。そういえば大倉さん達に1つお願いがありまして……」


「はい? なんでしょうか?」


「失礼なことかもしれませんが、できたらそろそろランクを上げていただけないかなーと」


 話も終り、それじゃあ行くかと意気込もうとしたが待ったが入った。

 おふ、ついにランク上げてくれと言われたか。やっぱりEランクのままBランク討伐対象倒しまくっていたのはまずかったか?


「そうですね。そろそろ上げようかなとは思っていましたよ。それにしても何か問題でもありましたか? ご迷惑をお掛けしたのなら申し訳ありません」


「あっ、いえいえ、そういう訳じゃないんです。大倉さん達が毎日スティンガーの討伐証明を持ってくるので、それが協会の職員間で噂になってまして」


 あんだけ持ち込んでたらそりゃ話題になるよね。


「それを協会長が聞いて、大倉さん達程のパーティをいつまでもEランクにしておくな! って言われてしまいましたよ、あはは」


「あー、それはなんと言うか……申し訳ありません」


 なんか大物が出てきたぞ。それにしてもウィッジちゃんに迷惑をかけてしまったようだな。

 迷宮探索は一旦止めてランク上げを先にしておこうか。

 たしかDランクの昇格は協会指定の依頼を受けることだったっけな。場所によって依頼内容が変わるから、ブルンネとは違う奴かな。


「元々ディウス様との競い合いの時点で目に留めてはいたみたいですけどね。どうしますか? 今日もうDランク昇格用の依頼受けてしまわれますか?」


「それじゃあ受けさせていただこうかと」


「あはは、ありがとうございます~」


 了承して彼女からDランク昇格用の依頼書を受け取った。

 依頼書にはフロッグマンの討伐と書かれている。まあ今の俺達ならばなんの問題も無さそうだ。

 

 にしても協会長から言われるなんてな。

 あんなことしてたら目に留められてもおかしくはないけど、それでランク上げさせろってなんだか嫌な予感が。

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 行動指針の設定は大切です
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