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意外と真面目

長期間体調を崩していたため更新が遅れてしまいました。

大変申し訳ございませんでした。


それと5月31日に漫画版7巻が発売致しますので、是非よろしくお願いいたします!

 冒険者協会で話を終えた俺とエステルは帰宅し、図書館に来て本を読みながら話をしていた。


「こうやって自宅に図書館を追加したばかりなのに、この世界でも図書館に行くことになるなんてね」


「人に聞くだけだと限界もあるし何を調べてるのかあまり他人に知られたくもないしな。まず本で調べられるならそれが一番だろう」


「そうね。そうなると連れて行くならマルティナがよさそうだけれど……」


 そう言ってチラッとエステルが視線を移した先には、黙々と1人漫画を読みふけるマルティナがいた。

 邪魔するのも悪いと思って気が付くまで待とうと思っていたが、既に1時間経っても気が付くことなく読み続けている。

 机の上にも十数冊も本が積み重なっていて、あれを全部読み終わるまで気が付きそうにない。

 仕方ない、そろそろ声をかけるとするか。


「おーい、戻ってこーい」


「うわっ!?」


「ほんと本を読み始めると自分の世界に入り込んじゃうみたいね」


 顔の前で手を振って驚いたのか、読んでいた本を宙であたふたとさせながらキャッチしてホッと息を吐いている。


「い、いつの間に帰ってきてたんだい?」


「もう図書館に来てから1時間以上は経ってるんだが」


「いつになったら気が付くかと思ったけどずっと気が付かなかったものねぇ。本も凄い数積み上がってるじゃない」


「教えてもらった漫画が凄く面白くてつい夢中になっちゃって……。こんな素晴らしい物を教えてくれてありがとう!」


「おう、そんな感謝されるほどのことじゃないんだがな」


 目を輝かせてまでお礼を言ってくるとは、それほど漫画にドはまりしているようだ。

 もう俺が最初に教えた宝を集める作品は読み終えたようで、今は海を旅して回る海賊の漫画を読んでいる。


「それで僕に何か用があったのかな?」


「ああ、今度色々調べるためにこの世界の図書館に行こうと思うんだが、お前にも同行してほしいんだよ」


「行く! 絶対に行きたい!」


「予想はしていたけれど凄い食い付きね」


「本なら何でも読むのが楽しみだからさ! もう僕ここに定住したって構わないよ!」


 乗り気なのは助かるけど、こいつは本当に図書館に住み着きそうだから注意しておかないとな。

 さっそくさっき協会長から教えてもらった図書館の話をすると、マルティナはうんうんと頷いている。


「なるほど……この国の図書館はそういうタイプなんだね」


「俺の世界だと割と誰でも気軽に本を読んだり借りたりできたから驚いたぞ」


「本の価値とかで色々と変わってくるからね。僕も色々な国や町で入れる図書館なのかよく確認してたよ」


「そこまでして本を読もうとする執念は凄いわね」


 あまり驚いた様子がない辺り入館料や許可が必要な図書館は珍しくもないのか。

 マルティナは逃亡生活で沢山の町や国に移動してたから経験も豊富そうだ。

 逃亡しながらも本を読みたいから図書館に行こうとしてたのはある意味凄いかもしれない。

 それに死霊術師の力を駆使すれば、許可が必要なエリアの本を確認する抜け道だって作れそうだ。


「マルティナがいれば図書館の特別なエリアも普通に忍び込めそうだな」


「そうね。どんな本があるのかゴーストとかに見てもらえば手間が省けそうだわ」


「えっ、それはできない。決まりはちゃんと守らないとダメだよ?」


 真顔で言うマルティナに俺とエステルは思わず顔を見合わせてしまった。

 こいつならノリノリで任せてくれ! って言いそうなのに決まりは守らないとダメって……そりゃ決まりは守らないといけないけどさ!


「というのは半分冗談だけど、正規で入る手段があるのにわざわざ危険は冒したくないかな。前にそれで酷い目に遭ったからね……」


「まあ言い分はよくわかるがただの図書館だぞ?」


「甘い、その考えは凄く甘いよ。図書館によっては魔導師や神官による結界が張られていたりするんだ。やろうと思えば色々と手段はあるけど、僕はそれで追われて逃げ続ける羽目になったこともあるから……」


「それなら私やシスハが協力すれば突破はできそうだけれど、正規の方法で入れそうならそこまで無理する必要もないわね」


 くっ、許可が必要なエリアもゴーストなら楽々突破できると思ったが厳しそうだな。

 そりゃ魔法とかがある世界で貴重な物がある場所だったら、それを使った警備が敷かれてるのは当然か。


「何にせよいきなりゴーストを使って周辺を探るのはおススメできないよ。誰に見られるかわからないのに町中で不用意に力を使いたくないからね」


「ゴーストを他人から見えないようにはできないのかしら?」


「やろうと思えばできるけど集中力と負の力が結構必要なんだ。神官のように見破ってくる存在もいるしね。あと少なからず負の力で他人に影響も出るし。例えばゴーストが近くにいると肌寒かったりするから、友達も不用意に出歩いてないんだ」


「ほー、ゴーストだからって人の目を気にしない訳でもないんだな」


 確かに家の中ですらゴースト達が徘徊してるのをほぼ見ていないな。

 今も図書館で本をせっせと運んではいるけど、大体マルティナの近くから離れてない。

 神官から追われる逃亡生活を送っていたんだから人目を気にするのも当然か。

 それなのにさっきの口ぶりからしてゴーストを使って何かやったようだが……。


「ちなみに追われてまでやったのは何だったんだ?」


「隠されたお宝に関しての情報を調べるのに一部の情報が必要で、それを無理矢理ゴースト達にお願いしたんだ」


「へー、お宝探しだなんて面白そうなことをしていたのね。一体何が欲しかったのかしら?」


「よくぞ聞いてくれた! 追い求めた果てに手に入れた物こそ、このモルスファルクスなのさ!」


 立ち上がりどこかから取り出した大鎌を持ってマルティナは胸を張り誇らしげにしている。


「宝探しをして手に入れたのがその専用UR装備だったのか。その大鎌もやっぱり普通じゃないのか?」


「冥府の神の使いが異界から持ち込んだ大鎌らしいよ。旧世界の英雄との対決の時に使われて、現世と冥府を切り離したって伝説があるんだ」


「なんか思ってたよりヤバそうな鎌だなそれ……というかよく見つけたなそれ」


「物語としてその時の話が伝わっていてさ。冥府の神の使いに打ち勝った人達が二度と使われないようにって封印したとされていたんだ。そこで本当にあるんじゃないかと探したら見つけちゃってさ」


「本当にあると思って探して見つけ出す時点で凄まじいわね……」


「ククッ、こう見えてトレジャーハントは得意だからね。よく死者から宝に関しての情報をもらっていたんだ」


 なるほど、死者から情報を聞き出せるなんてある意味トレジャーハンター向けの能力に思えるな。

 道半ばで倒れた人や昔の人から情報を引き出せるとか反則もいいところだ。

 その力を使えばこの世界でもトレジャーハンターできる気がするのだが……今度試してみようかな。

前書きでも書きましたら5月31日に漫画版7巻が発売しますのでよろしくお願いいたします!

今回の表紙はルーナとなります。かっこかわいいので是非見ていただけると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新ありがとう [気になる点] 一般冒険者のアルグト山脈までの移動時間はどれくらいなのか、平八たちは1日何時間魔法のカーペットを飛ばしていたのか分からないけど、8時間飛ばしてたら移動距離が…
[一言] 本を読んでいると、周りが目に入らなくなる というのは少し分かる気がします。 流石にマルティナ程ではないですが… どうかご無理をなさらず、お体にお気をつけください。
2022/05/20 14:19 アダンソン
[一言] 紙がまず機械化されてないと手間がすごいし原材料で生産に上限があるし 内容も印刷無いと手書きだしで情報の希少性を置いといても 一冊のコストがすごいから警備も相応になるよね
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