お宝発見?
下へと続く洞窟内を進んで行き、いよいよ魔物がいる地点に到達した。
ここにいるのはアステロピスキスと呼ばれる星型の魔物……姿かたちはヒトデだ。
ただし例によって大きさは普通のヒトデの数倍以上である。
――――――
●種族:アステロピスキス
レベル:50
HP:3500
MP:250
攻撃力:900
防御力:400
敏捷:70
魔法耐性:0
固有能力 なし
スキル キルスター
――――――
試しに攻撃してみると、回転しながら飛んできて襲ってきやがった。
避けると壁に突き刺さるぐらい先端が鋭いようでまるで手裏剣だ。
こんなのが壁や天井のあっちこっちに張り付いていたら、安心して探索なんてできたもんじゃない。
けど、俺達には無関係だ。壁に張り付くアステロピスキスを横目に、洞窟内を探索していた。
「やっぱり魔物のすぐ横を素通りできるのは不思議な感覚ね」
「元々相手から襲ってこない魔物もいますけど、気性の荒い魔物まですっかり大人しいです。守護神様の威光にひれ伏していますね」
「襲ってこないというよりは、逃げてる感じがするもんな」
俺達がアステロピスキスに近づくと、ジッと動かなくなるか壁から飛んで逃げていく。
サハギン達もそうだったけど、海の守護神の加護のおかげで全く先制攻撃されないから助かるぞ。
その代わりこの称号のまま魔物を攻撃すると、いつも以上に死に物狂いで攻撃してくる気がする。
恐れている相手から攻撃されてるから、決死の覚悟で挑んでくるってことなのかな。
普通に戦う分には称号を外した方がいいのかもしれない。
「にしても、探してもお宝らしいもんは何にも残ってないな。ここも探索済みなのか?」
「魔物がいるといってもあんまり強くないでありますからね。冒険者なら倒しながら探索ぐらいできるでありますよ」
「その分見落としも多少あるようだわ。入り口付近よりは荒らされた形跡がないもの」
確かにまだ探索された跡がない隠し部屋はいくつかあった。
今いるこの部屋もその1つで、フリージアとシスハが物色し回っている。
残された物品も色々とあって、今もフリージアがよくわからない物体を持ってはしゃいでいた。
「あはは! ルーナちゃん、また置物があったんだよ! お宝だぁー!」
「ガラクタだ。捨ててこい」
何か見つけるといちいちルーナに報告して呆れられている。
今持っているのはうねうねした取っ手の付いた三角の物体。
紫色で全体にまだら模様が施されていて、そんな感じの置物がいくつも転がっていた。
放置されていた感じからしてもあまり価値も感じず、お宝とはとても呼べたもんじゃない。
シスハも張り切って探していたけど、見つかるのは似たような置物ばかりで溜息を吐いている。
「はぁ、探しても変な置物かボロボロの道具ばかりで、全く漁りがいがありませんね。どうして隠し部屋にあるのが置物なんですか」
「宝探しなんてそんなもんだろ」
「けっ、しけてますね」
おいおい、何てこと言ってやがるんだこいつは……実際しけているとは思うけど。
荒らされていない場所でもこんなんじゃとてもお宝がありそうにない。
ダメでもともとを承知で来ているから当たり前なんだが、それはそれでなんか悔しいぞ。
そう思いながら地図アプリで他にも隠し棚や隠し部屋がないかじっくりと観察していたのだが……地図上に奇妙な点があるのを見つけた。
「ん? この地点に何か埋まってるみたいだぞ」
「あら……地面の下に何かあるようね」
本当に小さな点のような物体が地面の下に表示されている。
周囲に空間がなくがっちりと地面と一体化しているようだ。
隠し部屋の探索を後にして、その物体が表示されている部屋へと移動する。
そこは隠し部屋ではなく何の変哲もない通路の途中で、埋まっている地点を見てもただの地面にしか見えない。
シスハが周囲をしらみつぶしに探していたが、物が埋まっている痕跡は見つからなかったようだ。
「どうやら開けるような仕掛けはありませんね。本当にここに何かあるんですか?」
「ああ、だけど隠し扉とかじゃなくて直接地面に埋められてるようだぞ」
「ほほお、それはまた手間のかかった隠し方ですね。お宝に違いありませんよ! 地面をぶち破って取り出すとしましょうか!」
「待ちなさい。私が魔法で取り出してあげるわ」
シスハが拳を握り締めて地面を殴りつけようと構えたが、エステルが制止して杖で地面を突いた。
足元に光が広がり埋まっている物がある場所に魔法陣が形成される。
すると徐々に四角い箱が地面から浮き上がってきた。
「わあ! お宝、お宝!」
「小さな箱だ。期待できない」
「こんな風に埋まっているなんて、魔法でも使ったのでありましょうか?」
「ええ、他の地面と馴染むように埋められていたみたい。箱も特別な物のようだし、これじゃあ魔法で探知するのもかなり難しいわ。隠し部屋とかは囮で、本命はこうやって魔法で地面に埋めたのね」
「このシスハ・アルヴィの目をもってしても地面の変化を見分けられないとは……鍛錬をし直さないといけないようですね」
「一体何の鍛錬するつもりだよ……とりあえず中身を見てみるか」
片手で持てる程度の小箱に蓋はなく、開ける部分すら見当たらない。
コンコンと叩くと鉄のように固く、こじ開けるのも難しいだろう。
だが、我らがエステルさんによって箱を魔法で丁寧に破壊してもらった。
そして箱の中に入っていた物は……黄金に輝く丸い硬貨だ。
「金貨じゃないですか! お宝ですよお宝!」
「本物のお宝だ! やったねルーナちゃん!」
「ふむ、悪い気分じゃない」
入っていた金貨を見てフリージア達は嬉しそうにはしゃいでいる。
見たところ50枚あるかないかぐらいか?
本当にお宝が残っているとは……やったぜ。
「いつも報酬で金貨を貰ってるのに嬉しいもんだな」
「少なくてもお宝はお宝でありますよ。記念に使わないで残しておくのであります」
「けど、ただ金貨を埋めたにしては随分手間がかかっていたわね。もしかすると特殊な金貨かもしれないわよ」
確かに大金には変わりないけど、こんな手間をかけてまで隠すほどの物か?
あの小箱も魔法で探知できない物らしいし、ただの金貨じゃない可能性は十分にあるか。
確認しようかと思いきや、その前にフリージアが声を上げた。
「あれれ、黒いのが混ざってる。これなんだろう?」
「金属とかではないようですが随分硬いですね。硬貨のように思えますけど……」
「昔に使われていた物かしら? 金貨も模様も大きさも違うし、今使われている物ではなさそうね」
黒い硬貨をシスハが指先で弾いて確認している。
金貨の方もよく見てみると、エステルが言うように俺達が普段使っている金貨と模様と大きさが違う。
昔に使われていた金貨ならそれも納得できるけど、あの黒い硬貨は何なんだ?
俺も触ってみたけど鉄よりも硬そうで普通の材質には思えない。
うーん、とりあえずこれは貰っておいて、後で冒険者協会で聞いてみるとするか。
発見した金貨を仕舞うと、フリージアが声高らかに片手を上げて叫び出す。
「よし! 次のお宝探しに行こう! 洞窟を探索し尽くすんだよ!」
「この洞窟のお宝1つや2つじゃなく、根こそぎいただいていきましょう!」
「ははは……金貨を見つけたせいでさらにやる気になっちまったか」
「たまにはこういう探索もいいでありますねぇ。色々とホッとするのでありますよ」
「せっかく来たんだから隅々まで調べたいわね。お宝が残っているのもわかったもの」
「うむ、今回は最後まで付き合おう」
宝があるとわかればそりゃさらに張り切るよな。俺としてもちょっとワクワクしてきたぞ。
まだまだ下にこの洞窟は続いているから、行けるところまで行くとしよう。
いつもお読みくださりありがとうございます。
また宣伝で申し訳ございませんが、8月31日に小説書籍9巻とコミカライズ版4巻が発売いたしました。
是非お読みいただけると嬉しいです! 小説書籍版は完結となります。
アンケート特典として【Girls corps ノール編】を書かせていただきましたので、アンケートにお答えいただいて併せてお読みいただけると幸いです。
今更ながらですが、実は各巻10冊ずつサイン本を書かせていただいたりしていました。
お持ちになっている方がいるのか気になるところです……。




