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コロチウムを求めて

 渦巻状に掘られた鉱山を下っていき、ガーゴイルが出てくるという穴へと向かった。

 途中でガーゴイルが何体も降下して襲ってきたけど、ノールの一振りで瞬殺し、俺も試しにエクスカリバールで叩いてみたら簡単に砕けた。

 エクスカリバールも強化され過ぎて、割と洒落にならない強さになっていると実感するな……。

 鉱山の最下層に到着すると、縦横4、5mはありそうな巨大な横穴が空いていた。

 そこから出てくるガーゴイル達を、色々と試行錯誤をしながら数時間程狩り続け、今に至る。


「もう結構倒したはずなのに、コロッサスが全然出てこないな」


「そうでありますねぇ。希少種のアイアンガーゴイルはそこそこ出てきているのでありますが……」


「あっ、またアイアンガーゴイルが出てきたわ。えい」


 穴から全身銀色の化け物、アイアンガーゴイルが姿を現した。

 直後にエステルが杖を振り、空中に出現した魔法陣から細長い水が放たれ、直撃を受けたアイアンガーゴイルはバラバラに砕け散り光の粒子になる。

 そしてまた俺達は、ガーゴイル1体ほどしか出て来これない大きさになった穴を見ながら、次の獲物が来るのを待つ。


 狩り始めはディウス達と普通にガーゴイルの相手をしていたのだが、縦横4mぐらいある大きな穴だと、あっちこっちから出てきて大変だった。

 飛んだ状態で出てきて、しばらく空中を飛び回っていたガーゴイルには本当に苛々したぞ。

 どうしたものかと考えていた時、この平八に天啓が舞い降りた。

 

 まずガーゴイルが出てくる穴を、エステルの土魔法で壁を作り塞いでもらった。

 その壁に1体だけ通れる大きさの穴を開けてもらい、その前で待ち構え、通常のガーゴイルが出てきたら俺とノールでぶっ叩き、アイアンガーゴイルだったらエステルの魔法を叩き込む。

 この狩り方が1番効率が良かった。

 土の壁が壊れないか心配だったが、エステル印の壁はアイアンガーゴイル程度の攻撃じゃビクともしないようだ。


「こんな狩り方したの、冒険者になってから初めてだ……」


「むしろこんな狩り方したことある人なんて、今までいなかったと思うなぁ……」


 そんな俺達を見てディウスとミグルちゃんは、なんだかなぁ……、と言いたそうな目で座っていた。


「君達はよく狩りをしているって聞いていたけど、ここまでやるとは思ってなかったよ」


「もうかなりの時間続けているけど、エステルちゃん大丈夫? 疲れてない?」


「ええ、このぐらいなら全然平気だわ。いつもの3分の1にも満たない時間だもの」


「大倉殿と狩りをすると、朝から夜までやるのが当たり前でありますもんね……」


「朝から夜まで……?」


 ミグルちゃんが困惑した表情で俺を見ていた。若干顔が引きつっている。

 Bランクからしても朝から夜までの狩りは異常らしい。


「大倉、どうしてそんな狩りをしているのか知らないけど、長時間の狩りはあまりよくないと思うよ?」


「そうであります! もっと言ってあげてほしいのでありますよ!」


「ぐっ……さ、最近は反省して控え目にしているだろ!」


 ディウスの言葉に、ノールがもっとやれやれ! と言いたそうに片手を上げて前後に動かしている。

 前に比べたらだいぶ緩和しているだろうに……。


「それにしても、最初は血迷ったことを言っていると思ったけど、君達ならあの中へ入っても平気そうだね」


「そうでもないぞ。今は出待ちして狩ってるから一方的だけど、中に入ったらそうもいかないだろう。さすがにアイアンガーゴイルは俺やノールでも攻撃がそんなに通らないし」


「普通のガーゴイルでも殴って砕いてる時点で異常なんですけどね……」


 ガーゴイルが簡単に倒せるからこのままなら中にいけるかと思ったのだが、希少種の方はやはりそれなりに強かった。


――――――

●アイアンガーゴイル 種族:ガーゴイル

 レベル:55

 HP:6500

 MP:0

 攻撃力:1400

 防御力:6200

 敏捷:130

 魔法耐性:0

 固有能力 無し

 スキル 切り裂く爪

――――――


 ここまで硬いとノールですら攻撃がほぼ通らないから、エステルの魔法で処理をしている。

 穴をガーゴイル1体しか通れない大きさにしたのも、こいつに魔法を確実に当てる為だ。

 空を飛んでそこそこの速さで攻撃してくるもんだから、最初の方はちょっと苦戦した。

 この横穴の中に入るとなると、正々堂々と戦わないといけないから今は厳しい。

 シスハがいれば何かあっても治療してもらえるから、少しだけでも中へ入るか検討したのだが……。

 あいつは神官として働くことは少ないけど、いるといないとじゃ安心感が違うな。

 そんなことを思いながら、空が夕暮れ色になるまで狩りを続けた。


「うーん、来たのが遅いからもう日が暮れそうだな」


「そうでありますね。残念でありますが、今回はここで終わりでありますか」


 到着したのが昼頃だったから、まだ半日分も狩りをしていない。

 それなのにノールはもう終わるつもりでいる。このままで良い訳がない。


「何言ってるんだ? 今日は近くで夜営して、明日は朝一からまた狩りだぞ」


「えっ……ま、まだやるつもりなのでありますか!?」


「はは、2日掛けて来たのに数時間狩りをした程度で終われるか。出てくるまでやるに決まってるだろぉ」


「お兄さんの変なやる気に火が点いたみたいね……」


 せっかく日数掛けてここまで来たのに、数時間狩りをしただけで終わりはないだろう。

 今回は絶対にコロチウムをディウスに渡してやりたい。

 少量ずつとはいえ、彼らから送られてきた魔石は結構な量だ。

 このお礼は必ず返しておきたいのだ!

 ……これで装備が向上すれば、希少種を狩りやすくなるだろうという思惑もあるのだが。


「大倉……いいのかい? 僕としてはありがたいけど、君達にそこまで時間を使わせてしまうのは申し訳ないよ」


「気にしなくてもいいぞ。ここまで来て諦めるなんて悔しいじゃないか。出るまで狩ってれば確実に出てくるんだ、何日でもやるぞ」


「また訳のわからないことを言っているのでありますよ……」


「お兄さんが変なことを言うのは、今に始まったことじゃないもの」


「さ、流石に何日もやるのはどうかと思うよ……」


「大倉さんってこんな人だったんだね……」


 俺は出るまで狩るぞと意気込んでいたが、その意見は却下されて明日だけ狩りをして帰ることに。

 シュトガル鉱山から少し離れた場所まで移動し、そこにテントを張った。


「あまり戦闘で活躍できなかったから、夜のご飯は私も手伝わせていただきますよ!」


「おおっ、じゃあ一緒に美味しいご飯を作るのでありますよ!」


「あら、それなら私も――」


「駄目だよ! エステルちゃんは魔法で頑張っていたんだから休んでて!」


「大丈夫よ。あの程度で疲れる私じゃないわ」


 夜食はノール達が作ってくれるみたいで、女の子達だけでワイワイとやっている。

 ノールは楽しそうによく1人でやっているけど、皆でやるのも好きなのか楽しそうだ。

 そんな光景を見送り、俺はディウスの隣に座り声を掛けた。


「ディウス、コロッサスが出てくる頻度は知らないのか?」


「うーん、ちょっとわからないかな。僕も実物を見たことはないからね。聞いた話だと、軍がここで鉄を採る時極稀に出てくるそうだよ」


「へぇ、それってどのぐらいの期間狩りをしているんだ?」


「そこまで詳しい訳じゃないけど、最低でも10日以上はやるんじゃないかな。かなり大規模な人数でやるみたいだから、数日程度じゃないと思うよ」


 そこまでやって稀にしか出てこないのか……。1日2日やった程度で遭遇できるもんでもなさそうだな。


「明日頑張っても出てくるか怪しいところか」


「そうだね。でも大倉達の狩る速度は異常だから、出てくる可能性は十分にあるはずだよ。いくら軍でも、出てきた途端に瞬殺はできないと思う」


 直接中に入るのと比べると遅いとは思うけど、今の状態でもそれなりの速さで狩れているはずだ。

 軍も人数が多いから遅くはないと思うが、出待ちからの瞬殺しているから俺達の方が速いだろう。


「コロッサス自体の強さはどうなんだ?」


「実際に戦ったことがないから、僕もそこまで詳しくはないかな。たしか協会の基準だと、Bランク推奨だったね。見た目と違って動きが速いって話だよ」


「そこそこ強そうだけど、倒すよりもあそこから出てくるのを待つ方がめんどくさそうだな」


「わかってはいたけど、Bランク推奨って聞いてその反応はおかしいよ……」


 ディウスが呆れた声を出しているが、実際倒すよりも遭遇する方が大変そうだから仕方ない。

 そんな話をしていると、ミグルちゃんがこっちへ小走りでやってきた。


「ディウス、あれ貸して!」


「ああ、えっと……ほら」


「ありがとー」


 ディウスが鞄から赤い粉の入った小瓶を取り出して、ミグルちゃんへ軽く投げ渡した。

 受け取った彼女は料理をしているノール達のところへ戻り、瓶を見せながら何やら説明している。

 見た感じ香辛料かな? それにしてもだ……あれ、だけで何が欲しいのかわかるなんて。以心伝心ってやつか?


「ディウスとミグルさんって付き合い長いのか?」


「えっ……まあ、一応幼馴染だからね。冒険者になる前からの知り合いだよ」


「へぇ、だからいつも仲が良さそうなんだな」


「悪くはないと思うけど……そう見えるかい? 出発前にあったような喧嘩だってしょっちゅうしているよ」


 ディウスは眉をひそめているけど、それは喧嘩するほど仲が良いってやつなんじゃないかな。

 それから彼の昔話などを聞きながら談笑をし、出来上がった夜食を食べ終え、明日に備えて交代で眠りながら夜を過ごした。



 翌日。


「ちっ、もう夕方だっていうのにまだ出てこねぇ!」


「むむぅ、ここまでやって出ないとなると、コロッサスは希少種の中の希少種なのでありますかね?」


「狩りをするのは楽だけど、いつ出てくるのかわからないのは辛いわね」


 朝一からまた塞いだ穴の前へやってきて、ひたすら出てくるガーゴイルを倒していた。

 そして日が暮れるまでノンストップで狩っているのだが、それでもまだコロッサスは姿を現さない。

 魔石は確実に1個1個貯まっていくから頑張れるけど、いつ湧いてくれるかわからない魔物を待つのは辛いものがあるな。


「見てディウス。こんなに鉄鉱石が手に入ったよ」


「はは、ホントだ。どうやって持って帰ろうか」


 ディウス達は倒したメタルガーゴイルが落とした、サッカーボール並の大きさの鉄鉱石を積み重ねて笑っている。

 昨日の分と合わせると、大体40個ほどはあるはずだ。


 それよりも、そろそろ日が落ちるから帰らないとまずいな。

 だけどまだコロチウムは手に入れてないし……。


「ディウス、どうする? 明日もやってみるか?」


「……いや、残念だけど今回は諦めて帰ろうか」


 ディウスが望むならもう1日やってもよかったが、彼は申し訳なさそうに顔を伏せて頭を横に振った。

 本人がそう言うのなら仕方がない。今回は大人しく帰るしかないな。

 後日俺達で狩りをして、その時コロチウムが手に入ったらディウスに渡すとするか。

 

 そう思い、帰る前に塞いだ横穴を元に戻しておこうとエステルに声を掛けようとした時だ。

 ドンッ、と鈍い音が土の壁の向こう側から聞こえた気がした。


「……ん? なぁ、何か聞こえないか?」


「そうかい? 別に何も聞こえないけど……」


「諦めが悪いでありますね。幻聴でも聞いて……あれ?」


「あっ、お兄さん。穴のところに何かいるわよ」


「ああ!? あ、あれって……」


 エステルが指差す先を見ると、ガーゴイル用の穴から派手なオレンジ色の物体が見えた。

 見える範囲だけでも相当大きく、穴から手を出して外に出ようともがいている。

 あれがコロッサスか……ステータスの確認だな。


――――――

●種族:コロッサス

 レベル:70

 HP:2万6000

 MP:0

 攻撃力:2600

 防御力:8000

 敏捷:180

 魔法耐性:0

 固有能力 ハイパーアーマー

 スキル 縮地

――――――


 俺がステータスを見たと同時に、コロッサスは手を引っ込めて見えなくなった。

 諦めて中に戻ったのか? ステータス的には防御力が異常に高いぐらいで、他に特出しているものはない。

 それでもこの攻撃力はエステルにとって脅威だから、しっかりと守ろう。

 ディウスやミグルちゃんも、普段はガウスさん頼りで防御しているだろうから、その代わりを俺がしないとな。

 理想は開幕で瞬殺することだが……あれ?

 このスキルの縮地って……。

 

 俺がそのスキルに気が付いた瞬間、横穴を塞いでいた壁が轟音と共に砕け散る。

 そして土煙が上がり、その中から3mはありそうな人型の巨大な銅像が歩いて出てきた。

 縮地は一気に前へ進むスキルだ。こいつ、それを使って壁にタックルしやがったな!?

 だから一旦中へ戻っていきやがったのか!


 すぐに鍋の蓋とエクスカリバールを構え、俺はエステルの前に出た。

 ディウス達も自分の武器を手に取り、言うまでもなく俺の後ろへと下がる。

 コロッサスがその動きに反応し、俺の方を向いたかと思うと、急に体を発光させ――。


「なっ――ぶほぉ!?」


 気が付けばコロッサスが俺の前にいて、同時に石柱のようなぶっとい足で前蹴りをしてきた。

 だが、それを見てから俺は鍋の蓋でギリギリ攻撃を受け止める。

 あっぶねぇ……エクスカリバールの行動速度+のおかげで間に合った。


「ノール!」


「任せるであり――ま!?」


 いつものパターンでまずノールに動きを遅くしてもらおうと攻撃させたが、彼女は妙な声を上げて剣を持つ手を震わせている。


「し、痺れたのでありますぅ……」


「おまっ!」


 遅くするだけでいいのに、思いっきり斬り付けやがった!

 ノールが手を痺れさせてモタモタしている間に、コロッサスは攻撃してきた彼女に標的を変えたのかそっちを向く。

 そしてまた体を発光したのを見て、すぐに止めさせようと俺が動いたところで――コロッサスの頭部に矢が飛んできた。

 さらに追撃で見えないが何かが当たった音がして、体の発光は治まる。

 

「エステルちゃん今だよ!」


「わかってるわ! えいっ!」


 ミグルちゃんの声に返事をするエステルの声が聞こえ、コロッサスの足が土に沈んでいく。

 慌てて俺とノールはその場から飛び退くと、すぐに火球が飛んでいき、コロッサスに当たると軽い爆発を起こした。

 それでもなお巨人の像は健在だったが、続けざまに2発、3発と火球が直撃すると、ついに全身にヒビが広がっていき砕け散る。

 全身が粉々に割れて光の粒子になって消滅すると、その場にはオレンジ色の巨大な鉱石が落ちていた。


「ったく、硬い相手に何やってるんだよ」


「み、見た目がそこまで硬そうに見えなかったでありますし……それに、ようやく出てきたから嬉しくてつい力が入っちゃったのでありますよ」


「確かに私も出てきた瞬間、嬉しさでちょっと気が抜けたかも」


 メタリックな色をしているアイアンガーゴイルと比べると、そこまで硬くは見えないのは少しわかる。

 嬉しくって力が入ったっていうのも……ノールのポンコツぶりを考えればあってもおかしくはないか。

 油断して対応が遅れちまったし、ステータスを見た時点でちゃんと伝えられなかった俺にも負い目はある。


「ディウス、助かったぞ。ミグルさんもありがとうございます」


「いえ、私達は殆ど役に立てなかったので……」


「少し気を逸らしただけだけど、ノールさんが無事でよかったよ」


「うぅ、面目ないのであります……」


 矢はミグルちゃんの攻撃で、見えなかったのはディウスのソニックブレードだったんだな。

 俺じゃ攻撃は間に合わなかっただろうから、2人が攻撃してスキルを中断してくれたのは助かった。

 コロッサスの攻撃の直撃を食らってもノールなら平気だけ思うけど、あまり痛い目には遭ってほしくないからな。

 

 さて、お目当てのコロチウムを手に入れたんだ。じっくりと確認しようじゃあないか。

 オレンジ色をしたゴツゴツとした岩で、全体が光り輝いてなんともいえない高級感がある。

 大きさは……バランスボール並だ。鉱石にしてはでか過ぎるだろ。


「これがコロチウムか……」


「僕も鉱石の状態の物は初めて見たよ」


「ほほぉ、これが鍋になるのでありますか。次に手に入ったらこれで調理器具を作ってもらうのでありますよ!」


「希少な鉱石で調理器具を作るのはどうかと思うわね……」


 全くだ。まあ、俺達はガチャ産の装備で固めてるから、これで装備を作ったり強化したりすることはないだろう。

 けど、合成機で混ぜられるのかは気になるな。


「これ、どうやって持って帰りましょうか? 流石に抱え――」


「うん、しょ。とりあえず近くの村まで運ぼうか」


「あっ……はい」


 ミグルちゃんが何か言いかけていたが、俺がコロチウムを抱え持つと黙り込んだ。

 パワーブレスレットにエステルの支援魔法があるから、このぐらいなら持ち上がる。

 本当はマジックバッグに入れたいところだけど、あまり知られたくないからここは大人しく手で持っていこう。


「いやぁ、ギリギリだったけど手に入ってよかったな」


「そうだね。取り分はどうしようか? 正直僕達はあまり役立たなかったから、大倉達が好きに決めてくれ」


「ん? 全部ディウスが貰ってくれよ」


「えっ……そ、それを丸々1個くれるのかい!?」


「ああ、その為に来たんだしな。あっ、金とか取るつもりはないから心配はしなくていいぞ」


 あれれ? 最初にそういう約束でここ来てたんじゃ……あっ、俺がそのつもりでいただけで、口に出して言ってなかったかもしれない。


「さ、流石にそれはちょっと……これを売ったら最低でも500万Gはくだらない代物だよ?」


「これだけで500万か……まあ、その程度協力してもらってるのに比べたら安いもんさ」


 そう聞くとちょっと惜しい気はしてきたけど、魔石集めを手伝ってくれるありがたさは何物にも代え難い。

 だが、俺の気持ちとは裏腹に、返事を聞いたディウスはミグルちゃんと顔を見合わせて青白い顔をしている。


「ミグル……ぼ、僕達は一体何の手伝いをしているんだろうね。ちょっと怖くなってきた……」


「わ、私も……」


「えっ!? べ、別に危ないことは何もないぞ! ただ最初に欲しい素材を手に入れる手伝いをするって約束したし、ディウス達の装備がよくなれば希少種狩りも……そ、そんな目で見ないでくれ!」


「過剰なサービスも考え物よね」


「そうでありますね。ここまでされると逆に怪し過ぎるのでありますよ」


 ど、どうしてそんな反応されるんだよ!? ガチャの為にやっているという裏はあるけど、やましい気持ちなんてこれっぽちもないのに!

 それから村に帰るまでの間に、ディウス達の不安を取り除く為に色々必死になって言い繕った。

 うーむ、あまりにも条件が良過ぎると、逆に不安にさせちまうんだなぁ……。

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